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日本・オーストリア友好150周年記念 ハプスブルク展

2020年01月11日
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日本・オーストリア友好150周年記念
ハプスブルク展
600年にわたる帝国コレクションの歴史

2019年10月19日(土) - 2020年1月26日(日) 国立西洋美術館

13世紀後半にオーストリアに進出後、同地を拠点に勢力を拡大し、広大な帝国を築き上げたハプスブルク家。15世紀以降は神聖ローマ皇帝の位を独占し、同家がオーストリア系とスペイン系に系統分化した16-17世紀には、後者がアジアやアフリカ、南アメリカにも領土を有したことにより、まさに「日の沈むことのない帝国」となります。ナポレオン戦争を引き金とした神聖ローマ帝国の解体後は、オーストリア帝国(1867年にオーストリア=ハンガリー二重帝国に改組、~1918年)を統治しました。数世紀にわたって広大な領土と多様な民族を支配し続けた同家は、まさに欧州随一の名門と言えるでしょう。
ハプスブルク家の人々はまた、豊かな財とネットワークを生かして、質量ともに世界屈指のコレクションを築いたことでも知られます。このうちオーストリアを拠点とし続けた同家本流による収集品の主要部分は、オーストリア=ハンガリー二重帝国「最後の皇帝」ことフランツ・ヨーゼフ1世肝煎りで1891年に開館したウィーン美術史美術館の礎となりました。オーストリアと日本の国交樹立150周年を記念する本展では、同館の協力のもと、絵画、版画、工芸品、タペストリー、武具など100点、5章7 セクションによって、そのコレクションをご紹介します。個性豊かなハプスブルク家の人々や、当時の宮廷生活の紹介も行いつつ、時代ごとに収集の特色やコレクションに向けられたまなざしのあり方を浮き彫りにしていきます。数世紀にわたってヨーロッパの中心に君臨した、帝室ならではの華麗なるコレクションの世界をご堪能いただければ幸いです。


13世紀頃からのヨーロッパの歴史をハプスブルグ家で辿る企画展…感じでしょうか。
支配され、統合され、また分割され、現在の国の単位ではくくれないヨーッロパ。
美女列伝!マルガリータ王女、マリア・テレジア、マリー・アントワネット、エリザベート…おなじみの登場人物たち多数登場。

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甲冑(かっちゅう)コーナー
ロレンツ・ヘルムシュミット《神聖ローマ皇帝マクシミリアン1世の甲冑》他(アウクスブルク、1492年頃、鉄、鍍金された真鍮、皮革、鉄、鍍金された真鍮、皮革)

へえ…と、あっさり通り過ぎるつもりでいた甲冑コーナーは、とても見応えがありました。これまで映画などでよく見てきたわけですが、全然違います。今回目の前に展示された甲冑は、現物の迫力といいますか、重厚です。存在感といい意匠いい、ゴージャスで大きな宝飾品のよう。鉄や真鍮、当時の最高技術の高さもわかります。
日本の兜と同じく、権威の象徴でもあるので、デザインもすばらしく、細部まで作り込まれてます。

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アルブレヒト・デューラー『騎士と死と悪魔』(1513年)

空間恐怖症的なデューラーの版画、あまりにいろいろ詰め込まれ、それぞれのモチーフに意味が込められており、何度見ても新しいものに気がつきます。時間制限がなければ半日くらい見てられそう。

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ディエゴ・ベラスケス《青いドレスの王女マルガリータ・テレサ》1659年、油彩/カンヴァス

今回の企画展を見に来た目的はこちら、ベラスケスの描くマルガリータ王女。結構大きい。
王女の肖像画は、幼少時代にすでに決まっている嫁ぎ先へ、今こんなに美しく成長してますからね…という写真の役割だったらしい。折にふれ描かれています。
ただベラスケスの肖像画、特にマルガリータ王女を描いた肖像画は、画家と王女という関係以上の絆が感じられて、いつも見入ってしまいます。

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ディエゴ・ベラスケス《スペイン国王フェリペ4世の肖像》1631/32年、油彩/カンヴァス

マルガリータ王女の父、娘は同盟を結びたい国に嫁がせる、そんな時代。
文化芸術を愛し、ベラスケスを宮廷画家に任命、そこで数々の傑作がうまれました。
マルガリータを目的にやって来ると、たいてい父フェリペ4世の肖像画もついてくるので、もう何回いろいろなバージョンを見てる(笑)

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マルティン・ファン・メイテンス(子)《皇妃マリア・テレジアの肖像》1745-50年頃、油彩/カンヴァス

ハブスブルグ家といえばこの方、政治家としてもすぐれていた女帝マリア・テレジア。立派な肖像画はもちろん美化しているんだろうと思いますが、国母といわれるほどの人間性、その雰囲気を表していますよね。

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マリー・ルイーズ・エリザベト・ヴィジェ=ルブラン《フランス王妃マリー・アントワネットの肖像》1778年、油彩/カンヴァス

マリー・アントワネット。白い肌、純白に輝くドレス、高貴で美しいです。
マリア・テレジアの娘にして、フランスのルイ16世に嫁ぎ、後にフランス革命によって断罪され処刑。私の世代ですと「ベルサイユのバラ」でよく知っている…つもり。
贅沢三昧、庶民が飢えている聞けば「パンがないならお菓子を食べればいいじゃない」と言ったとか、いろいろ逸話が。
アントワネットの贅沢が国の財政を傾けたというのは言い過ぎで、それ以前にここの財政は危なかったっていうのが、正しい説のようですね。

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ヨーゼフ・ホラチェク《薄い青のドレスの皇妃エリザベト》1858年、 油彩/カンヴァス

オーストリア皇后エリザベート、こちらも舞台や映画でおなじみですね。彼女の人生は幸福だったのか不幸だったのか?ドラマだけではわからない。
生涯美に執着し、努力を惜しまなかったとか、見よこの細いウェスト!

肖像画はたくさん展示されています。ティツアーノ、ファンレイン、ティントレットなど豪華なラインナップでした。

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《シャーベット用センターピース》ウィーン、1736-40年

宝飾品や豪華な食器などもたくさんあり、見応えがありました。
シャンデリアかと思うほどゴージャスな意匠が施されたシャーベット用の器。カメオまでついている、贅沢ですよねえ。

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生誕120年・没後100年 関根正二展

2019年10月01日
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関根正二《子供》1919年 石橋財団アーティゾン美術館(旧ブリヂストン美術館)

関根と言えばバーミリオン、貧しかった関根は、バーミリオンなど高価な絵の具はなかなか買えず、画家仲間の家を訪ねた時に、高価な絵の具をパレットにひとすくい、かっぱらうようにもらってきた…そんな話をしてくれたのは美術教師だったかな。
この作品は、近くでじっくり見たかったのでうれしい。
子どもは無表情、虚無感すら感じられ、すでに人生の過酷さ…みたいな。頬は赤いけれど、血の通った赤みというより、炎の照り返しのようにも見えます。
かわいいとは言えませんが、一度見たら忘れられません。

生誕120年・没後100年 関根正二展
2019年9月13日~11月9日
福島県立美術館
 今から100 年前、宗教的感情にみちた作品を描き、20 歳2カ月で夭折した画家・関根正二(1899–1919)。彼は福島県白河に生まれ、東京移住後16 歳でデビュー、19 歳のときに描いた《信仰の悲しみ》(重要文化財)が二科展樗牛賞を受けますが、翌年スペイン風邪で急逝しています。対象を刻み込む卓越した素描力と、朱や青緑色の鮮烈な色彩による神秘性を漂わせた作品群は、今なおわれわれの心をとらえて離しません。
 展覧会は関根の作品約100点、資料約20点、書簡約40点に加え、同時代の文学者や画家たちの作品と資料約50点をあわせて展示します。新たに発見された作品や資料を含む、過去最大の回顧展となります。


大正時代の夭折画家、20余年の生涯を追って。関根正二の回顧展が福島県立美術館ほかで開催へ 美術手帖

牛舎
《牛舎》1915年頃 福島県立美術館

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《自画像》
1918年 福島県立美術館

福島県白河市出身、福島県立美術館にも所蔵作品があり、子どもの頃から知っている画家です。
私が10代の頃、美術教師が好む油彩画はこうしたタッチ、画風で、印象派の絵画といっしょに、教材としてよく引き合いに出されていたように思います。
10代の自画像はセザンヌの影響を感じます。思春期特有の暗さがあり、まあぶっちゃけ好きではないのだけれど、その暗さは自分の来た道でもあり、どこかなつかしい。

15歳からおよそ5年間のが家人生。
貧しく暗い青春時代、健康を害し若くして亡くなる…早世の画家、そんな型にはめて見てしまいますが、こうして回顧展としてみると、作品の見応えも共に、働いて、放浪して、恋をして、また影響を受けた人々も紹介され、彼の生き生きとした人生が感じられて良かったです。

大樹
《大樹》1915年 福島県立美術館

木登りの子どもたちが楽しそう。このデッサンはデューラーっぽいんですよね。

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《死を思う日》1915年 福島県立美術館

ちょっとゴッホの糸杉を思わせるタッチ。
この作品は常設展でずっと見ていて、小さな人影は思春期に悩む関根本人だと思っていたのですが、改めてみると、背中が丸くて、老人を描いたものなのかもしれません。

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《姉弟》1918年 福島県立美術館

赤いほっぺはいかにも田舎の子ども。
実際に見ると色彩があざやかで、ファンタジーといってもいいくらいの創造性を感じます。
色というのは不思議なもので、自分の性にあう色をひたすら使い続けるものです、
関根のバーミリオンや(たぶん)カドミウム系の色は高価な絵の具なので、制作は大変だったと思われます。

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《三星》1919年 東京国立近代美術館

謎めいた作品、真ん中が関根、3人の微妙な関係性が感じられますね。

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《神の祈り》
1918年頃 福島県立美術館

代表作の一つ。《信仰の悲しみ》と共に、キリスト教へのあこがれから描かれた作品。
しかし実際の宗教とは違う、関根から生まれたファンタジーですよね。
関根といえばセザンヌの影響を指摘されますが、このあたりの作品は、シャガールに近い感じ。

この時代なら、少ない情報をむさぼり、そこから想像、妄想を膨らませていった時代。想像力も鍛えられますね(笑)
(ゴッホが日本の浮世絵に理想の世界を見たように)現実とは異なり、実際以上に美化することもあったでしょう。それもまた画家の個性となっています。

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《信仰の悲しみ》 1918年 大原美術館
*《信仰の悲しみ》(大原美術館所蔵)は、10月8日からの展示になります。

こちらは日程の都合でみられず。機会がある方はぜひご覧下さい。

伊東深水との意外な関係、東郷青児と恋人をあらそったり、関根の人生に影響を与えた人物がいろいろわかっておもしろかった企画展でした。
デッサンや静物画も展示、花瓶のチューリップが渋くて素敵でした。

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ウィーン・モダン クリムト、シーレ 世紀末への道

2019年08月12日
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日本・オーストリア外交樹立150周年記念
ウィーン・モダン クリムト、シーレ 世紀末への道

国立新美術館 
2019年4月24日(水)~8月5日(月)

先月見てまいりました「クリムト、シーレ 世紀末への道」東京はとっくに終わり、現在大阪で開催中。

 本展では、時代を18世紀中頃にまでさかのぼり、のちのウィーン工房に影響を与えたビーダーマイアー時代の工芸や、芸術都市へと発展する起源となった都市改造計画など、ウィーン世紀末文化に至るまでの歴史背景にスポットライトを当てます。絵画や工芸はもちろん、建築、デザイン、インテリア、ファッション、グラフィックデザインなど、当時の写真や資料、本展のために特別制作したウィーン市の都市変遷映像など、“芸術の都”ウィーンで育まれた芸術世界を網羅的にご紹介します。

 クリムト、シーレ、ココシュカらウィーン世紀末の巨匠が遺した作品の数々を一挙、ご紹介します。クリムトが最愛の女性を描いた≪エミーリエ・フレーゲの肖像≫をはじめとする油彩画に加え、素描、ポスターなどのグラフィックを通して、モダニズムの黄金時代を築いた作家たちの作品世界に深く迫ります。  また、クリムトに影響を与えた画家ハンス・マカルト(1840-1884)による1879年の皇帝フランツ・ヨーゼフと皇后エリーザベトの銀婚式記念パレードの絵画、作曲家アルノルト・シェーンベルク(1874-1951)が描いた絵画作品なども見どころです。


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フランツ・ルス(父)《皇帝フランツ・ヨーゼフ1世》1852年 油彩/カンヴァス
フランツ・ルス(父)《皇后エリーザベト》1855年 油彩/カンヴァス

目玉はなんと言ってもクリムトですが、18世紀、地方都市だったウィーンが華やかな都になっていく歴史など、あまり知らなかった内容も。
美女の誉れ高いエリザベートの肖像画もありました。
フリーメイソンもこの頃誕生したんですね。

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ビーダーマイアー時代のウィーン

19世紀前半、ビーダーマイアー時代のウィーンの調度品など、驚くほどシンプル。
シューベルトのメガネなど、レアな展示もあります。

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マクシミリアン・クルツヴァイル《黄色いドレスの女性(画家の妻)》1899年 油彩/合板

とても印象的だった黄色いドレスの女性。

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グスタフ・クリムト《パラス・アテナ》1898年 油彩/カンヴァス

そしてクリムトによる新しい芸術運動「ウィーン分離派」の誕生。
パラス・アテナはその象徴として描かれた作品。
「芸術と学術の庇護者、女神パラス・アテナは、手には「ヌーダ・ヴェリタス(裸の真実)」の化身を持ち、首には恐ろしい風貌のゴルゴンを纏った姿で描かれています。」
胸元の金の顔はゴルゴン、見る人を石に変えてしまうとギリシャ神話の怪物。笑顔が恐い。
金箔を施された豪華な作品、そして強くて、全体として恐い作品、闇の世界へ連れてかれそうな気がする。
今の時代では、人気画家クリムトの代表作として見ていますが、当時とすれば、主流から外れるという気概や、なにものにも惑わされないぞという強い気持ち、そういうことの表れなのかもしれません。

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グスタフ・クリムト《エミーリエ・フレーゲの肖像》1902年油彩/カンヴァス

クリムトと(精神的に)もっとも親しかった女性エミーリエ・フレーゲ。思った以上に大きい。そして撮影OK。
どこから見てもクリムトなんですが、この頃の作品に常に漂っているエロスや死のイメージがあまり感じられません。
一人の人間としてしっかりと捉えているというか、男女の関係があったとしても、それよりも友情や信頼を感じます。

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エゴン・シーレ《自画像》1911年 油彩/板

楽しみにしていたエゴン・シーレ。常に性と死がつきまとう作品は、実際目の前にしてもそうでした。
作品から早世の相があふれているとうか、命を絞り出すような作品をどう受け止めていいのか、ちょっと時間下さいって感じです。
クリムトを尊敬していたシーレ、似てないようで二人には、死とエロスという共通点があり、素描の多くに見られる、あからさまな性的描写はかなり近いです。

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エゴン・シーレ《ひまわり》1909-10年 油彩/カンヴァス

生命力あふれるひまわりも、シーレが描くと枯れ、いびつさと死が全面に。
そのようにしか描けない、それがシーレ。

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やなぎみわ展 神話機械

2019年08月10日
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《女神と男神が桃の木の下で別れる:川中島》(部分) 2016年 作家蔵

やなぎみわ展 神話機械
2019年7月6日[土]~9月1日[日]
福島県立美術館
 現代美術のみならず演劇界でも忘れられないアートシーンを作り出してきた美術家やなぎみわ(1967- )。《エレベーター・ガール》で注目を浴びたやなぎは、《マイ・グランドマザーズ》や《フェアリー・テール》といった写真作品シリーズで世界的に評価を受けました。2010年からは演劇プロジェクトを手がける一方、2016年からは日本神話をモチーフに、福島市内の果樹園の桃を撮影してきました。桃の文化史的な意味を背景に、人間の歴史や運命を問いかける新シリーズを今回日本で初めて発表します。また本展に向け、京都、高松、前橋の大学、高専、そして福島県立福島工業高校と連携した「モバイル・シアター・プロジェクト」が立ち上がり、マシンによる神話世界が会場に生み出されます。
 待望された約10年ぶりの本個展では、これまで以上にやなぎの汲み尽くせぬ創造の泉に迫ります。


私としては、久しぶりの現代アートです。
万人受けとは言いがたいし、何かと理解されにくいことも多い現代アートのですが、やなぎみわはそれなりに知名度あると思うけれど、どうだろう?
この既成に囚われない発想、経験とか知力とも違う、やなぎのの体、命の中から生み出されるような作品。その魅力は、作品を前にして、大きさや音や光も体感してこそ味わえるものです。
理解しようとしてもいいし、好きや嫌いの感情に任せてゆだねるのも自由。それが現代アートの醍醐味でもあるので、考えすぎずに、多くの人に触れて欲しいと思います。

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《次の階を探してⅠ》(部分)1996年 高松市美術館蔵

出世作エレベーターガールのシリーズ。もう20年以上になるんですね。
感情を表すことのないアンドロイドのようなモデル達は、彼女達がそうしているのか、社会がそう見ているだけなのか。
エレベーターガールが、現代の虚無を表しているようで、逆に底知れない心の深さを感じたり。
男性では描けないんじゃないかな…最初に見た時にそう感じたことを今でもよく覚えています。

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My Grandmothersシリーズ

代表作と言えばこちらでしょうか。
若い女性達が50年後にこうなっていたいという夢を、やなぎが特殊メイクなどでビジュアル化。
青年とバイクで旅する老婆となった女性、荒廃した未来都市で何かを語るような老婆。いずれの老嬢もアグレッシブで、なんかすごい。

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フェアリー・テールシリーズ「エレンディラ」2004年 

最初はそれほどでもないんですが、なんかあと引く作品。
童話の主人公少女と邪悪な魔女は表裏一体、あるいは同体なのかも。少女なのか、老いた魔女なのかよくわからないビジュアルも印象的。

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《神話機械》

4つのマシンが自動的に動く「神話機械」。「わたしはヘラクレス」…謎めいたせりふと音楽からはじまります。
足(にしか見えないマシン)がのたうち、震え、何かが始まる。瓶が音を鳴らすシャンデリアのようなマシン。ベルトコンベアで運ばれたどくろは、投擲マシンで壁に投げつけられる。
何かが生まれるわけでもなく、その動きが繰り返されるだけ。
神話というより、どこかの惑星、生命が誕生する前の宇宙のような空間です。

「やなぎみわ展」開幕 福島のモモ!写真シリーズも展示 2019年07月07日 福島民友

ポスターなっている「女神と男神が桃の木の下で別れる:川中島」は、福島の果樹園で撮影された作品。

「桃」の新作は、人間たちが生まれる以前の神々の話である。古事記において桃の木は黄泉の国との境に立っていて、そこで男女の神は決定的な決裂をする。

ということらしい。
夜の果樹園という発想がなかなかないですよね。闇に浮かぶ桃がエロチックであり、禍々しくもあり。

Miwa YANAGI やなぎみわ



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伊藤若冲展

2019年05月07日
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右上《百犬図》個人蔵

東日本大震災復興祈念 伊藤若冲展
2019年3月26日(火)~5月6日(月・祝)
福島県立美術館 企画展示室
 江戸中期、町民文化が花開き日本が世界に発信する芸術文化を生んだ時代、独学で自らの画風を創り上げた天才絵師・若冲。その繊細で華やかな作品は今も高い評価を得ている。
 1716(正徳6)年、京都の青物問屋の長男として生まれた若冲は、家業のかたわら狩野派、中国の宋原画などを学び、絵師として独自の画風を確立していく。動物や植物など生きものたちの命の輝きを見つめ、その繊細なタッチと華美な着色に彩られた画風は見る人の心を捉えた。
 3月26日に開幕する展覧会は、東日本大震災復興祈念として開かれ、1788(天明8)年の京都大火災(天明の大火)で焼け野原となった故郷を目の当たりにした若冲と、東日本大震災に見舞われた福島の復興への思いを重ね合わせた展覧会となる。
 京都から大阪に避難した若冲が描いた西福寺のふすま絵・蓮池図には、荒れ果てた京都への一筋の希望が託されている作品として展示される。
 伊藤若冲作品の単独展となっており、全国の美術館、博物館、寺社、個人所蔵の作品のほか、海外美術館所蔵作品加え、のべ約110点を展示、若冲の生き様や人柄が伝わる展覧会となる。

東日本大震災復興祈念 伊藤若冲展 福島県立美術館 

期間ギリギリで見てまいりました、若冲展。期間中10万人越えだとか、さすが若冲ですね。
若冲と言えばアレ、動植綵絵やにわとりがぎゅうぎゅう詰めを連想。そうした豪華絢爛、極彩色の作品が少ないのが物足りないとの知人の声もあるのですが、そこは並外れた表現力、自在な作風、十分見応えのある企画展でした。

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〈群鶏図〉

若冲と言えば鶏、艶やかな羽の一枚一枚の緻密さには感嘆します。躍動感のある体と猛禽類の鋭い目つきは凶暴で、襲われそうなくらいに怖いです。
実際このように見えるのかというと、そうではないですよね。もっとざっくり見てしまうのが人間の目です。若冲の鶏は写実以上、鶏以上に鶏、鳥の祖先恐竜時代まで遡るような迫力です。羽、目、くちばし、脚…。西洋絵画のような緻密さは見ていて飽きません。
この作品がそうですが、鶏のお尻を描くところもおもしろい。また正面からのちょっとオマヌケな顔は漫画っぽいのもあります。鶏のあらゆる動き、ポーズを研究し尽くしています。そういえばモデル歩きみたいな鶏もありました。

ポスターにもなっている「百犬図」は、犬の顔がほとんど同じで、キャラもののような(笑)
これはわざとなのか、ちょっと不気味でもあります。犬よりあきらかに鶏が好き!…それはわかる。

鶴を描いた作品もありますが、翼、羽の隅々までとてもエレガントな曲線でみとれました。
白いオウムの作品は、若冲の白の作り方がよくわかります。
鶏、叭々鳥、鯉、鶴…動物は描いているというより、その瞬間、動物が若冲に乗移っているような、そんな生きた動物の本気が感じられます。

水墨画多数。太い筆で一気に描く、大胆な筆致、大胆でも鳥の目や脚はリアルで怖いくらいの写実です。
線描やかすれ、たらしこみや筋目描きのような緻密な計算がなければ描けない技術。その技術を総動員して…、大胆さと緻密さが融合させるのが若冲、そして時々現れるユーモア、表現は自在です。すべてが計算なのか、考えていないかのかもわからないですが、天才と言うのはこういうことか。

生き生きとした動物もあれば、薄墨で描いた「蓮池図」このような渋い作品も。
朝顔を描いた作品では、葉が黒々した墨で描かれ、花は薄墨で目だたない、とてもデザイン的です。すぐりやびわの淡い筆致も魅力的。

乗興舟(拓版画)は美しいグラデーションが魅力、シンプルで思索的もあります。
若冲の基礎は中国の絵画の模写から、やがて地元京都の自然を描くようになりました。若冲がどこに美や魅力を感じるか、そのポイントが個性でもあるのかなと思います。

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重要文化財《果蔬涅槃図》

これは見ているだけで楽しい、部屋に飾りたいです。絵本のようなタッチも若冲。

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《象と鯨図屏風》MIHO MUSEUM

大作の屏風、現物を見ると大きさに圧倒されます。大胆すぎる象は真っ白で神獣のような感じ、それでいておおらかで、ふざけてるような気もします。
この巨大な象をどうやって描くのか、立ち会ってみたいと思いました。

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