ポーラ美術館コレクション ―モネ、ルノワールからピカソまで

2018年05月16日
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(ポスター)レースの帽子の少女(1891)オーギュスト・ルノワール

ポーラ美術館コレクション―モネ、ルノワールからピカソまで
2018年4月28日(土)~6月24日(日)
福島県立美術館
2002 年、箱根に開館したポーラ美術館は、西洋近代絵画をはじめ、日本の洋画・日本画、ガラス工芸、 東洋陶磁など、約1万点にもおよぶ美術品を所蔵しています。
この展覧会では、同美術館が誇る西洋美術のコレクションより、19 世紀後半から 20 世紀まで、フラ ンスを中心に活動した計 20 名の美術家たちの作品 72 点をご紹介します。うつろいゆく光の表現を追求 した印象派から、色彩の解放を目指したフォーヴィスム(野獣派)、造形の冒険を試みたキュビスム(立 体派)まで、西洋美術の個性豊かな展開をたどります。
同美術館を代表するルノワールの《レースの帽子の少女》をはじめ、モネ、ルノワール、ピカソは各 8 点、そのほかピサロ、セザンヌ、ゴーガン、マティスなどが出品されます。選び抜かれた珠玉の作品 を会場でお楽しみください。
出品内容
カミーユ・ピサロ、クロード・モネ、ピエール・オーギュスト・ルノワール、ポール・セザンヌ、ポール・ゴ ーガン、アンリ・マティス、パブロ・ピカソなど、計 20 作家、72 作品を出品予定


ポーラ美術館から、日本でもよく知られる印象派を中心とした企画展。
万人向け、既視感といえばそうだけど、有名どころをじっくり見られるのはうれしいです。

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「花咲く堤、アルジャントゥイユ」(1877)クロード・モネ

モネの色彩には癒されます。
印象派は、写実やテーマ(宗教・肖像・歴史など)が明確な時代において、とんでもなく革新だったわけですが、こちらとしては、子どもの頃から教科書で見慣れている画風、時代とはこうもかわる。
遠景に描かれているのは工場、この頃モネは、産業化によって風景が変貌し、また下水で汚染されたセーヌ川が嫌になり、郊外のジヴェルニーに越していったらしい。

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ジヴェルニーの積みわら(1884)クロード・モネ

私が美術館に出向いた日は晴天、緑あふれる美術館の周辺も美術館の中の作品も光があふれていました。
色彩、光と影のコントラストが外の日差しと同じというのもいいじゃないですか(笑)

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「砂糖壷、梨とテーブルクロス」(1893-1894) ポール・ゼザンヌ

遠近感、構図がおかしいセザンヌの典型的な静物画。

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「アルルカン」(1888-1890)ポール・セザンヌ

やはりちょっと不思議な構図ですが、この色彩はとても好きです。静物画も不思議だけれど、人物を描くとより変人っぷりがわかるような気がする。

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「浴槽、ブルーのハーモニー」(1917)ピエール・ボナール

明るい浴室で体を洗う女。モデルはパートナーのマルト、親密でなければ描けないですよね。
一日の時間のなかに埋もれてしまいそうは、あまりにも日常的なシーンを作品にしてしまうことが革新なわけだ。
ただ、マルト的にこれでいいのか?…って余計なお世話か?(汗)

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「中国の花瓶」(1922)アンリ・マティス

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「襟巻の女」(1936)アンリ・マティス

マティスの作品がいくつか。のびやかな曲線、明るい色彩に、見てるこちらの気持ちも明るくなるような。
とてもデザイン的、おしゃれです。

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「ドーヴィルの競馬場」(1935-1940)ラウル・デュフィ

競馬場の雰囲気が好きでなければ描けない作品。
軽やかなリズムが感じられます。透明感のある色彩もすてきです。

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「母子像」(1921)パブロ・ピカソ

印象派の画家達が、俗っぽくなったパリから去り、代わってパリには、外国人の画家達が多く住むようになったらしい。ピカソや藤田嗣治など。
ロシア貴族出身のオルガと結婚したピカソは、裕福で安定した生活をおくっていました。暮らしを反映するように作風も王道、コンサバに(笑)
モデルは妻オルガと息子パウロ、新古典主義時代の作品。

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「花売り」(1937)パブロ・ピカソ

名作「ゲルニカ」や「泣く女」を描いた頃の作品。妻オルガとはとっくに破綻、この頃の恋人はドラ・マール。この極端な変化がピカソ大先生。
ただしこの作品のモデルは、詩人エリュアールの妻。
四角い太陽、三日月みたいな顔、デフォルメを超えた形、激しい色彩、ピカソはこうでなくては(笑)


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飯舘村「オオカミ絵に会いに行く」バスツアー

2018年03月30日
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飯舘村主催のイベントに参加して参りました。
「美術ライター 橋本麻里さんと山津見神社のオオカミ 絵を鑑賞するバスツアー」
飯舘村山津見神社の拝殿には、オオカミの天井絵がありましたが、原発事故後の2013年に焼失、その後、拝殿と天井画が復元されました。
芸大大学院を中心に復元された天井画は、設置される前、2016年福島県立美術館の企画展で見ていました。狼信仰の神社が福島県にあることをその時初めて知りました。そして天井に設置された所を見てみたいなあとずっと思っていました。

以前の記事 よみがえるオオカミ 飯舘村山津見神社・復元天井絵 2016年07月01日

山津見(やまつみ)神社
福島県相馬郡の山中、虎捕山に鎮座する神社で、永承6年(1051年)創立の古社です。
 山津見神社は山の神を祭る神社で、山神は山仕事の守護、および農業の守護、産業守護などを司ります。また、山津見神社の眷属は白狼であり、御眷属様と呼ばれて信仰の対象となっています。御眷属の狼は、火伏せ、また盗賊除けの力があると信じられています。
麓の拝殿は明治時代の建設で、拝殿天井には二百を越えるさまざまな姿の狼画が描かれています。


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福島駅集合、バス2台で飯舘村に向かいます。
年齢、男女、雰囲気様々…地元の年配の方、20代くらいの方、雑誌のライターらしい方…。
私が乗ったバスは遠方からの方が多く、一番遠いのは神戸(!)関東方面も多い。遠方から来るのは、オオカミ信仰、山岳信仰などに興味のあるマニアックな方々か?

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道すがら、村のあちこちには除染土の山も見られますが、この日は晴天、どこもかしこも明るく、太陽の光がみちあふれてました。
バスの中では飯舘村役場の方のお話。飯舘村は原発事故の全村避難から、一部を除いて帰還可能になりましたが、戻っているのは約1割、そのほか福島市などからここ似通っている人を入れると2〜3割ではないかとのこと。
農業もぼちぼち再開しているとのこと。

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昼近く、飯舘村交流センターに到着、郷土料理の昼食と地元の方のお話を聞きました。

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地元の方が打ったそばと郷土料理(みそかんぷら、なます、干し大根の煮物、凍み餅など)
まあ、我家のおかずとそう遠くないかも(笑)ただ、白菜の粕煮(白菜漬けと塩鮭と酒粕で煮る)は初めて食べました。

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テーブルには飯舘村特産のアルストロメリア。

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いよいよ山津見神社へ。杉花粉が…(涙)

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こちらが復元された拝殿。

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拝殿の前には狛犬ではなくオオカミ、みんな狼撮影に夢中。

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真新しい拝殿で、橋本麻里さんのお話を聞きます。
山の神の使い白狼は「御眷属様」…守り神のような存在だったらしい。
オオカミ信仰は、実は歴史が浅く江戸中期から、農業において害獣を追い払うことから信仰の対象になったらしい。
氏子の方に、昔はこのあたりにオオカミがいたんですか?と聞いたみたのですが、「俺は聞いたことねえなあ」と(笑)
ニホンオオカミは1905年(明治38年)に奈良県で確認されたのが最後、絶滅しています。山津見神社の拝殿は明治時代の建設、すでに滅多に見られない神の使いだったのかもしれません。

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これが復元された狼の天井画、数の多さに圧倒されます。もちろん全て違います。天井画は中国の絵を参考に想像で描いたらしい。ポーズは猫を参考…どうりでかなんかかわいいのか(笑)
天井画は花がモチーフであることが多く、オオカミはまれだとか。

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オオカミ信仰はまだわからないことも多そう。
それゆえ引きつけられる人も多いのかもしれません。

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虎捕山(とらとりやま)鎮座山津見神社
私たちは拝殿見学だけですが、背後には虎捕山、30分〜1時間くらいの山道で山頂の本殿までいけるらしい。
山頂からは太平洋が見える…つまり、海からも虎捕山が見えることから、海の神様、漁業の神様として進行されているらしい。

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帰り道のバスの中から、遠く雪の残る安達太良山が光っていました。
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山津見神社オオカミ天井絵復元プロジェクト
東京電力福島第1原発事故以来全村避難となっている福島県相馬郡飯館村佐須の山津見神社で、2013年4月に焼失したオオカミ天井絵を復元するプロジェクトです。
山津見神社拝殿のオオカミ天井絵は1904年に当時の宮司、久米中時氏が旧相馬中村藩の御用絵師に描かせたとされ、237枚の杉板にオオカミが自然の中で生き生きと暮らす情景が描かれていました。焼失直前に天井画を調査していた和歌山大学観光学部加藤久美教授、写真撮影した同サイモン・ワーン助教が三井物産環境基金の助成を得、NPO法人「ふくしま再生の会」、佐須地区の皆様の協力を得て復元企画を進めてきました。
復元作業は東京藝術大学大学院保存修復日本画研究室の荒井経准教授を中心として同大学院の学生たちで行い、今年8月完成予定の拝殿に来春、237枚のうち96枚の復元天井絵が納められる予定です。
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テオ・ヤンセン展 in ふくしま2018

2018年03月14日
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テオ・ヤンセン展inふくしま2018
会期:平成30年3月3日(土)~平成30年5月6日(日)
会  場:アクアマリンふくしま
● テオ・ヤンセン/THEO JANSEN
1948年にオランダ・スフェベニンゲンで生まれたキネティックアーティストのテオ・ヤンセン。 大学では物理学を専攻して学び、1975年に画家として活動を開始した。 1990年より制作を開始し大きな反響を呼んだ「ストランドビースト」は、計算し尽くされたプラスチック・チューブの骨格をもち、風力で動作する巨大なアート作品。 テオ・ヤンセン氏は、「ストランドビースト」を通して自然との共生や自然エネルギーの偉大さ、廃材が生み出す生命力を表現している。
● ストランドビースト/STRANDBEEST
オランダ語で、砂浜を意味する”Strand”と生命体を意味する”Beest”の2語を繋げたテオ・ヤンセン自身による造語。 風などの自然エネルギーを原動力とし、海水の水位上昇から砂浜を守る人口生命体。 テオが創る”生物”の総称。

企画展「テオ・ヤンセン展inふくしま2018」アクアマリンふくしまで開催!

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ストランドビーストは、以前TVやネットの動画で見て、一度は生で見たいなあと思っていました。
思ったより小さいという方もいますが、大小いろいろ、大きいものは相当大きい、これが生き物のように歩く様子はやはりおもしろいです。

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外に面したフロアに並ぶストランドビーストたち。

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足がいっぱい。

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連結部分を見るとわりと力技な作り。

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一日2回動くところが見られます。午前11時、ギャラリーも増えてきて、さあさあ動きますよ!

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ガサガサってと横歩きで壁際に。意外と速い。

室内展示の限界は感じます。
動画のように、美しい海辺を優雅に歩くビーストを見たいですが、つうか、ここに詰めかけたファンは、あの動画にハート鷲掴みされた人がほとんどだと思うけれど。
MC(?)のお姉さんが、新たな生命体「ストランドビースト」の世界観について熱弁しますが、その世界観にしらけると楽しめないテオ・ヤンセン展なのです(汗)
水族館に来て、たまたま通りかかった人が不思議そうに見てたり。

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動力はペットボトルの空気。

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くいくいっと頭が動く、対面でコミュニケーションをするような2体のビースト。
鳥類の求愛行動みたいで、楽しい(笑)

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誰でも引いていいビースト。意外と軽そう、うねうねしながら動くので生き物っぽいのです。

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羽ばたきそうな背中。ハチとかカブトムシとか…昆虫っぽい。

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足元は砂浜に対応。

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帆が広がったり、たたんだり、風を受けて動くのは帆船っぽいですねえ。

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このボロボロがロマンなのじゃ!

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これはどんな風に動くのかな?

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水族館の巨大金魚水槽とビースト

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美しいですねえ。
窓辺のビーストは、室内ではなく、外に出たくてたまらないように見えました。

動画
美しい海辺を歩くストランドビースト、音楽の効果もあり、すてきです!こういうロケーションで見たいものです。
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Tribute to Theo Jansen's kinetic sculptures
STRANDBEEST EVOLUTION 2017
テオヤンセン展覧会in沖縄2017プロモーション用 ver.1
Theo Jansen's Strandbeests - Wallace & Gromit's World of Invention Episode 1 Preview - BBC One

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山本二三展

2018年01月16日
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日本のアニメーション美術の創造者 山本二三展
2017年12月6日(水)~2018年1月28日(日)
とうほう・みんなの文化センター (福島県文化センター)
絵映舎
アニメーションの背景画家・美術監督として活躍する山本二三氏の作品展。映画『天空の城ラピュタ』、『火垂るの墓』、『もののけ姫』、『時をかける少女』などの背景画や準備段階で描かれるイメージボードなど、作者自らが選んだ初期から最新作までの作品約220点を一堂に公開!山本二三氏が本展示のために描き下ろした風景画「葉月の磐梯山」も展示されます。

名前を知らなくとも、ジブリの美術監督ということで迷わずやってきた「山本二三展」
なつかしいラピュタの背景画は、こんなにも緻密だったか。
いずれの作品も原画の迫力はすごいです。
共同作業アニメの、背景という一つの分野ですが、クオリティの高さに恐れ入るばかり。

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「時をかける少女」

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「時をかける少女」

ジブリにつられてやってきましたが、山本二三さんは、もちろん他の作品も手がけているわけで…
「時をかける少女」の美術もそうなんですね。
TVで一度なんとなく見ただけで、そういえば背景きれいだったなと、今さら。
庭の木漏れ日、花盛りの家、ありふれた町の青空には白い雲…すさまじい写実、原画でこそわかる描き込みです。

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「時をかける少女」

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「もののけ姫」

けれど圧巻は、やはりジブリ、「もののけ姫」の森の描写はすごいです。
屋久島がモデルと聞いた事がありますが、ファンタジーですからどのようにやってもいいわけで。
森の美しさやリアルは当たり前、それ以上に深い森の奥行き感、精霊たちが住む、神秘的でが生がうごめく感じがすばらしい。

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「火垂るの墓」

「火垂るの墓」は悲しい映画でした。
戦争で親を失った兄と妹は親戚に預けられますが、食料難の時代、やっかいものとして辛い仕打ちをうけ、親戚の家を出て2人で池のほとりの防空壕(?)で暮らすことにします。
暖かい日差しと緑に包まれた防空壕は居心地が良さそうで、親戚の家なんかよりずっといいじゃないかと、私は映画を見ながら思いました。
けれどもそれは、子どもだからの浅はかな決断で、生活環境は劣悪、食料も手に入らず、次第に衰弱していく妹に、兄は何もしてやることができません。

この映画はずいぶん前、8月の終戦記念日の頃にTVで見ました。
夏休みのあの日、我家には食べ盛りの甥や姪、親戚などがたくさん集まってきました。盛大な晩ご飯(量的に!)を食べ終わった頃、映画が始まったのですが、飢えによって妹を失う物語を、マックスに満腹な状態で見た時は、ただただ申し訳ない気持ちでいっぱいになりました。
兄妹が暮した防空壕の原画を今回見て、あの日のことがはっきりと思い出されました。

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「火垂るの墓」

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有名なアニメ作品の他にも、オリジナル作品、絵本など多数展示、見応えがありました。







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日曜美術館「ワイエスの描きたかったアメリカ」

2017年09月17日
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アンドリュー・ワイエス 「クリスティーナの世界」1948年
石膏ボードにテンペラ ニューヨーク近代美術館

日曜美術館「ワイエスの描きたかったアメリカ」
NHK Eテレ 10月10日(日)9:00〜
再放送 10月17日(日)20:00〜
今年生誕百年を迎え、注目を集めるアメリカの国民的画家、アンドリュー・ワイエス。力強く生きる移民の姿を描き続けた。今ワイエスの絵が問いかけるものとは。
建国以来およそ240年、世界中から多くの移民が渡ってきて活力を生み出してきた国、アメリカ。そうした移民の姿を描いたある画家に今注目が集まっている。アンドリュー・ワイエス。今年生誕100年を迎え、記念切手が発売され、記念展覧会では多くの人を集めている。かつて彼は「アメリカ人にアメリカとは何かを示したかった」と語った。言葉の裏に込められた意味とは?作品から読み解く。
【ゲスト】岐阜県現代陶芸美術館館長…高橋秀治,バイオリニスト…五嶋龍,【司会】井浦新,高橋美鈴


移民に厳しい政策を打ち出した現アメリカ大統領を絡めながら、ワイエスを見直す番組。
ワイエス含め、移民による革新や変化によって発展してきたのがアメリカなんですよね。
そうは言っても、ワイエスはどう考えても、描きたいものを描いてきただけ。彼は誰とでも仲良くなるタイプではなく、モデルも親交のあった人たちがほとんど、その彼にインスピレーションを与えてくれたモデルが、たまたま社会的弱者であったり、孤独な人が多かっただけだと思います。
イデオロギーや社会的な取り上げ方は後付け、もっともその生き方そのものがアメリカの歴史ですが。

代表作「クリスティーナの世界」は、どのような生き方にも尊厳がある、そう感じさせる作品です。
ワイエスは孤独や貧困に、同情でも共感でもなく、もっといえば協力もしないし、相手に踏み込むこともしない。相手を認める、ただそれだけ。
私が好きなワイエス作品はヘルガシリーズですが、やはりモデルとは、そんな距離感があります。むしろ距離をおいて見ることが大切だったのかもしれません。

人の気配だけを描くのもワイエスの手法という話に、ゲストのバイオリニスト五嶋龍君が、
「音楽もそのまま伝えるのではなく、音の無い部分に意味がある時がある」
「アーティストの役割は、聴く人(見る人)のクリエイティビティを生み出すことが究極」
と、それまで気楽そうしていたんですが(笑)とても深いところに突っ込んできて、さすがだなあと思いました。
私も心ひかれる芸術作品には、作品と対話、フィードバックしている感覚になるので。

また五嶋龍君は、SNSに慣れすぎて、短時間で判断しがちとして
「(ワイエスは)一瞬でわかるものではなく、裏になにかあるのではないかという。戸惑わせる」
考えてない天才肌にように思っていると、思慮深い五嶋龍君に高橋アナがなんかうっとりしてました(笑)


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