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雪の森で

2021年02月12日

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しぶき氷に続く猪苗代の湖畔の森は、深い雪に覆われていました。晴天のこの日、真っ白な雪に太陽の光が差し込み、森はは輝き、とてもきれいでした。
雪は音を吸収するのであたりは静かで、時おりしぶき氷を見にやってきた方たちの話し声が聞こえるくらいです。
雪中のウォーキングは楽しくて、ずっと歩いていたいくらいでした。


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この深い雪の森のイメージ、何かに似ているなあと考えていたら思い出しました。
子どもの頃に読んだナルニア国物語「ライオンと魔女」の始めの方です。
古い屋敷の大きな衣裳だんすに入ると、そこは雪の降りつもる別世界(あらすじより)





戦争をさけて、田舎の古い屋敷にやってきた4人のきょうだい。広い屋敷を探検するうちに、末っ子のルーシィは、空き部屋にある衣装だんすに入りこんでしまいます。毛皮の外套をおしのけて奥へ進むと、いつしかルーシィは、雪のふりつもる森に立っていました…。そこは別世界ナルニア。かつて、偉大なライオン、アスランがつくった自由の国。ところがそのナルニアは、白い魔女によって永遠の冬に閉ざされていたのでした。


タンスから雪に覆われた異世界へ、雪の森はこんな感じだったのではないでしょうか。
今は装丁が変わったり、新訳出たりで昔のイメージではないかもしれませんが、映画に登場する雪の森はかなり原作に近いイメージでした。


ナルニア国物語 第一章:ライオンと魔女 予告編(吹き替え版)


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猪苗代でタムナスさんには会いませんでしたが(笑)

いそうな雰囲気はありましたよ(笑)

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安野光雅さんを偲んで

2021年01月19日
とても好きだった画家・絵本作家の安野光雅さんがお亡くなりになりました。
思えば子どもの頃から絵本に親しみ、大人になってからもずっと好きな画家でした。TVなどで知る人柄は、飾らなく率直、知的でユーモアにあふれていました。エッセイもおもしろかったです。
作品は今も色あせることなく、これからもずっと愛されていくのではないかと思っています。
心よりご冥福をお祈り致します。

【評伝】絵を描くため生きた 画家・絵本作家の安野光雅氏 2021.1.16 22:22 産経WEST
“絵本のノーベル賞” 安野光雅さん死去 海外でも高い評価 2021年1月16日 NHK
安野 光雅(著者詳細情報) | 絵本ナビ | 作品一覧・プロフィール
安野光雅美術館 - 津和野町


子ども時代、最初に触れたのがたぶん「ふしぎなえ」。エッシャーに触発されたという絵本。
流れ落ちたはずの水を追っていくとまた流れ落ちるエンドレス!


中高生くらい、部活で絵を描いたりしていた頃、デザインってなんだろうと思い始めていた頃に見ていた本。
美しいアルファベットの形、緻密な飾り罫に折りこまれた動植物や物たち、全てが美しい本。


ページをめくる度、中世の天動説が地動説へと変わっていく過程がわかります。
SFを集中して読んでいた10代に出会った本。科学の歴史が美しい絵本になるということがすごいなと思いました。


もしかして海外旅行にも行けそう?そんな大人になりたての頃に見た本。こんな風景の場所に行ってみたい、ヨーロッパへのあこがれが強くなってきた頃です。歴史を象徴するいろんなものが隠されるように描かれていて、探すのも楽しい。


花の色、木の実の形、草いきれ、野山で遊び回っていた子どもの頃、大人になって忘れかけていた野の植物の魅力をを思い出させてくれた本。
水彩画のよさがわかります。美しく活けられた花ではなく、自然のままの草花しか描かない安野さんでした。

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安野さんで特に好きなのがこれ、野葡萄(野の花と小人たちより)。自然の中には宝石のような色があるのです。


故郷津和野を描いた美しいスケッチ集。田舎のありのままの風景を愛していた安野さん。
やたら観光地化、エンターテイメント化されたり、おもてなし、おもてなし言うのもどうかなあと思い始めた私にしっくりくる本でした。
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「白銀の墟 玄の月 十二国記」 小野 不由美著

2020年03月21日

戴国に麒麟が還る。王は何処へ―乍驍宗が登極から半年で消息を絶ち、泰麒も姿を消した。王不在から六年の歳月、人々は極寒と貧しさを凌ぎ生きた。案じる将軍李斎は慶国景王、雁国延王の助力を得て、泰麒を連れ戻すことが叶う。今、故国に戻った麒麟は無垢に願う、「王は、御無事」と。―白雉は落ちていない。一縷の望みを携え、無窮の旅が始まる!

十二国紀「18年ぶりの書下ろし新作」いやはや、すごい久しぶり、そして長い、全4巻(汗)
シリーズ全てを読んできたもの、ここまであいていると、どんな世界、登場人物だったかうろおぼえです。
Amazonのレビューを読んでも長いという感想多数。いきなりこの巻を読む人はほとんどいないはずで、ここまでのシリーズを読んできたファンだと思います。

戴国では王は消息を絶ち、麒麟もいない6年の間、偽王が統治する国は荒れ果て、人々は疲弊しています。
天命をよって麒麟が王を選び、霊獣や妖魔が登場するファンタジーでも、物語の展開は非常にリアル。出世競争あり、追われても忠義を貫く登場人物は大河ドラマや時代小説のよう。
戦争は戦略や軍隊の規模が具体的でかつ理論的に勝ち負けが決まります。主要な登場人物達は皆悩み嘆き、くじけそうになる。奸計を企み人を陥れ、人を操る偽王、そして損得から従う取り巻き達。
ヒーローが一発逆点なんてことはありません。そういうリアルな人間ドラマが十二国記。
国の産業としての鉱山、それを仕切る土非(ヤクザ)、商人、宗教や寺院も登場し重要な役割をします。
圧倒的な世界観、今回は特にファンタジー色が薄いように感じました。

私にとって今回の見所は泰麒。善なる存在の麒麟が、命がけでその存在を賭けるような選択をする。
小説自体はおもしろいのですが、とにかく4巻は長い(汗)2巻にしてテンポよく展開してくれてもいいのではと思います。
似たような登場人物も多いので、途中どんな人だっけ?とわからなくなる。
登場人物の設定リストがほしい、せめて複雑な国の組織図(内閣の組織図みたいなの)がほしい。

敵も味方も、僧侶も貧しさにあえぐ庶民もそれぞれに人生があり、思いがある、そういうひとりひとりを丹念に書きたいという作者の思いもわかりますが、それは別の巻で書いてくれてもいいんじゃないかと思う。
特に前半の王を探す部分が長いのと、後半登場人物がどんどん死んでいくのが辛い。
ラストもここで終わるのか?という気もします。

舞台を考えると、作者が生きている限りシリーズは続けられそう。
新シリーズでまた新しい展開を示してくれていいけれど。
…結局新作また読みたい自分(笑)
十二国紀が名作であることに変わりはないのです。







小野不由美「十二国記」新潮社公式サイト
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「アルテミス」アンディ・ウィアー著

2018年07月11日




人類初の月面都市アルテミス──直径500メートルのスペースに建造された5つのドームに2000人の住民が生活するこの都市で、合法/非合法の品物を運ぶポーターとして暮らす女性ジャズ・バシャラは、大物実業家のトロンドから謎の仕事の依頼を受ける。それは都市の未来を左右する陰謀へと繋がっていた……。『火星の人』で極限状態のサバイバルを描いた作者が、舞台を月に移してハリウッド映画さながらの展開で描く第二作。

タフで賢いけど、イマイチついていない破天荒なヒロイン、ジャズが月面都市の巨大陰謀に巻き込まれていくストーリー。
資源開発のため、いつの日か月面都市が建設されるだろうなあとは、今現在でも想像つくわけですが、さらに未来は、観光都市にもなっている。そして俗っぽくて、犯罪もあるし、貧富の差も激しい…なるほど、ありそうです(汗)

前半は月面都市のあらまし、重力が弱い月での生活や力関係の描写が長い、ジャズのドタバタも長くて、ちょっと飽きる。まあ月の環境や資源開発があってのストーリー展開なので、わかるのですが、ここをサクサクいってほしかった。
後半は、一発逆点を狙ったものの、気がつくと陰謀のど真ん中にいた!もいかしてはめられた!?
…ここからジャズの快進撃が心地いい。

前作「火星の人」がおもしろ過ぎたので、今回も過剰に期待すると…あれ、でも、ちょっとトーンダウンか(汗)
月面のプラントやドーム型都市の仕組みなどが想像できないとちょっと辛い、あと人種間のあれこれとか…ビジュアルがあれば、すいすい進むんですが。
そういう意味で日本のアニメの原作に向いてそうな作品。

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「自生の夢」飛 浩隆 著

2018年06月22日


73人を言葉の力で死に追いやった稀代の殺人者が、怪物〈忌字禍(イマジカ)〉を滅ぼすために、いま召還される───
第41回星雲賞日本短編部門受賞作「自生の夢」他、今世紀に発表された読切短編のすべてを収録。
最先端の想像力、五感に触れる官能性。現代SFの最高峰、10年ぶり待望の作品集。
「この作者は怪物だ。私が神だったら、彼の本をすべて消滅させるだろう。世界の秘密を守るために。」───穂村弘
その他の収録作品:

◎「海の指」第46回星雲賞日本短編部門受賞
霧が晴れたとき、海岸に面した町が〈灰洋(うみ)〉となり、異形の事物は奏でられていく。
◎「星窓 remixed version」日本SF大賞受賞第1作
宇宙空間からぽんと切り抜いたガラス板を買ってきた。
◎「#銀の匙」「曠野にて」「野生の詩藻」
天才詩人アリス・ウォンの生み出したもの、遺したもの。
◎「はるかな響き」 人類誕生以前に行われた犯罪、その結果、人類を殲滅させるに至った犯罪。


グランヴァカンスで、すっかり惚れこんだ飛 浩隆さんの短編集です。
短編でもその世界は濃密、ゆっくり丁寧に読みました。

「海の指」は、以前ネット配信で読み、その世界に飲み込まれそうな気持ちになりました。まだ地球があったとして、「世界」が存在するとしたら、ここは辺境の離島だろうか?ちゃぶ台にブラウン管のテレビ…昭和の風情の町で、平凡につつましく暮らす志津子。ところがこの町は人知が及ばない「灰洋(うみ)」に囲まれていて、異形の「海の指」によって人も町も書き換えられていく。
人々はたくましく、灰洋(うみ)を利用し、生活の糧にしているものの、灰洋と「海の指」は予知できない、決してコントロールはできない存在。灰洋は人や物だけでなく、記憶、喜びや悲しみ、嫉妬や恨み、感情さえも飲み込み、やがて「海の指」となって、再び町を飲み込み、町や人を改変していく。
圧倒的な世界観、湿った空気感、海辺の町の匂い、志津子のエロス。受け入れ、耐えることでしか強くなれない。日本という土壌でしか誕生しえないSFのような気がしました。

「星窓」はこれぞ短編、きらきらときらめく一夏を捉えたような作品。
「#銀の匙」「曠野にて」「野生の詩藻」「自生の夢」は連作、長編のような読み応えです。人はどこまでが人なのだろう。人の意志や感覚とはなんだろう。性格や記憶も操られていく世界がすぐそこにきているような。「羊たちの沈黙」のような怖さもあります。
「はるかな響き」も含め、感覚や言葉の世界に踏み込んでくる短編集でした。
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「第38回日本SF大賞・受賞のことば」、「選考経過 選評」、「スタッフ」が公開されました!
2018年6月22日

第38回日本SF大賞
小川哲『ゲームの王国』(早川書房)
飛浩隆『自生の夢』(河出書房新社)

飛は2度目のSF大賞受賞、異例もことらしい。でも充分その意義があると思います。

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