「渋谷でチョウを追って~動物行動学者・日高敏隆のまなざし~」(NHKハイビジョン特集)

2008年09月24日
私が敬愛してやまない動物行動学者、日高敏隆。
一般的には、ローレンツ「ソロモンの指輪」、ドーキンス「利己的な遺伝子」などの翻訳、遺伝子をテーマにしたしたエッセイ「そんなバカな!」の著者で、日高氏の教え子である竹内久美子氏との共著などが知られています。日本における動物行動学の草分けです。

敬愛なんて言ってますが著書を読んでいるだけ、まして全部読んでいるわけでもないので、本人について詳しく知っているわけではありません。
再現ドラマっぽいシーンが、クサイ、泣かせる演出だったら嫌だなと思ってましたが、そんなことはなく淡々として、深刻な話も淡々として、今現在の日高氏のシンプルさと違和感がなく(苦笑)、ホッとしました。学者としては有名ですが、芸能人ではないし普通のおじいさんなので…すみません日高先生。
生い立ちについては「ぼくにとっての学校」を、チョウについては「チョウはなぜ飛ぶか」を元に番組は作られています。「ぼくにとっての学校」は、いい本なんですがAmazonでは現在品切れですね。
結構しんどい事も多かったらしい子ども時代から青年期、こうして映像と共に取り上げられると、そうですね、改めて教育の大切さを思い知らされます。そして月並みですが、転機となる大切な人との出会いでしょうか。

日高敏隆を知ったのは、私が動物の行動に興味を持ち始めた頃、(その分野の勉強はしたことないので)素人でも手軽に読める本はないかと探していた時でした。
当時からローレンツの「ソロモンの指輪」は有名な本でしたが、すでに年代物とは言わないまでも古い本で、なんとなくその訳者である日高氏に目を留めたのがきっかけだったと思います。
彼の本業は動物行動学ですが、読みやすいエッセイを書いており、エッセイで多数の賞を受賞しています。動物行動学から社会や人を見る視点は、とてもユニークで楽しく、その後もう少し専門分野に踏み込んだ本を読む時の呼び水にもなったような気がします。

現在は研究の一線は退き、環境問題などにも取り組んでいます。
例えば、(環境問題などに対し)社会や人がどうあるべきか問う前に、「人間はどういう動物なのか」を知りたいという彼の冷静な視点は、とても大切だと思います。

著書は多数あり、私が最初に読んだ本がどの本だったか、すっかり忘れてしまいました。一般書として出版されている本には、専門書に近い内容のものから軽いエッセイまであります。
昨年から日高敏隆選集として、ハードカバーの立派な本が出版されていて、人気の高さを感じます。
私はすでに持っている本をハードカバーで買い直す気はないのですが、大体読んでいるような気がするものの、読んでいない名作があったら…と考えると…。
これって、お気に入りのミュージシャンのベストアルバムを買うかどうか悩むのとほとんど一緒ですね(苦笑)


チョウはなぜ飛ぶか 日高敏隆選集 I (日高敏隆選集 1)チョウはなぜ飛ぶか 日高敏隆選集 I (日高敏隆選集 1)
(2007/12/20)
日高敏隆

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ミスユニバースにスポーツを見る

2008年09月24日
「私はこうして“世界一”の美女をつくる」(NHKスペシャル)
ミスユニバースは、おととし知花くららさんが第2位になり、昨年は森理世さんが1位に…すごいな、ついに日本人もここまで来たかと思いました。
この時(うろ覚えですが)スタッフの方が、頑張った、努力が報われた、私達はいいチーム…というような、まるで「オリンピックで金メダル」を勝ち獲ったようなコメントをしていたことが、ずっと気になっていました。日本代表になれば、美に磨きをかけるとか、洗練された振る舞いなどをトレーニングすると何となくわかっていましたが、「美」とは天然のもの、プラス原石を磨く様なもの、個人的な努力と思っていたので、チーム一丸となって「勝ち取る」というこのコメントの背景を知りたかったのです。

番組は私の好奇心に十分応えてくれました。
数々のスーパーモデルを育てたというミスユニバース日本代表ディレクター、イネス・リグロンは、誰も完璧ではない、見た目の美しさではなく、日本人らしい美しさ、内面の個性を磨くことで、新しい美の価値観を作りたい。普通の人(とは言っても条件はいっぱいあるはずだけど)が、内面から自信を持つことで美しくなる、ミスユニバースにもなれると言います。

番組では、2008年の日本代表に選ばれた美馬寛子さんの、代表決定から世界大会までの半年間を取材しています。ウォーキングや化粧、立ち振る舞いの徹底的なトレーニングは、審査という大舞台に自信を持って臨めるように…ただそれだけのためといっても過言でないほど、メンタル重視のトレーニングをしているのが印象的でした。
寝食を共にするフランス合宿、全力で取り組み、時に激しい言葉を投げるイネスは、まるで外国人鬼コーチ、これはもうスポーツですね。
見ている途中から、北京オリンピックのシンクロ日本代表と中国代表のこと、私の大好きなフィギュアスケートを連想していました。外国の有名コーチにつくなんて、ほとんどフィギュアスケートの世界ですね。
きれいな顔や長い手足は努力をして手に入るものでもなく、長らく日本選手は立ち姿から欧米の美しい選手に差をつけられていると言われてきました。大ざっぱですが、日本選手は常にここへの挑戦をしてきたのではないでしょうか?
最近では、(ミスユニバース日本代表を含め)見た目に遜色のない日本選手も多くなりましたが、美も採点対象となるシンクロやフィギュアスケートで、素晴らしい実績を残すようになってきた背景には、欧米のマネではなく、日本人らしい美や個性を追求すると同時に、どうやって自信を持つかというメンタルの強化がカギをに握ってきました。
もっと突き詰めれば、美しいだけでも勝てないし、個性や技術だけでも勝てないということですね。
北京オリンピックのシンクロ日本代表(チーム)は、技術的にはトップクラスでした。日本人らしい美とパワーあふれるプログラム、気迫あふれる演技、今できる最大限の事ができたと思いました。しかし4位という結果は「負け」と言っていい。
私の個人的な感想は「マンネリ」なのではないのかと思います。空手をテーマにしたり、独創性とパワーで世界に衝撃を与えたのは素晴らしいけれど、それは過去のこと、同じパターンを続けていてもインパクトは弱くなる一方、他国も努力と工夫を重ねているわけですから。勝つためには新鮮な印象が足りなかったのではないかと思いました。
何をすべきか、その答えの一つ(あくまで手段の一つ)が、下記ののベネズエラ代表ディレクターの言葉にあるような気がします。

女性の「美」とは何なのか。
番組のもう一人の主役、ベネズエラ代表ディレクターは、「見た目のインパクト」と言いきります。ナチュラルビューティーコンテストではないのだからと。
…ああそうか、ナチュラルは関係ない、そういうことか、私がミスユニバースに抱いていた疑問がここで解けました。
賛否はあるでしょうが、ミスユニバース常連国、ミスコンは国技かという勢いのベネズエラでは、美しさこそが女性の価値といった感じなんですね。そして、ディレクターによって徹底的に作り上げられたベネズエラ代表の華やかな美しさといったら…抵抗できないですね(苦笑)。

「美」の考え方は人それぞれだけど、もしかして「生き方」なのかもしれませんね。
2008ミスユニバース世界大会はベネズエラが優勝、日本は入賞を逃しましたが、半年間のトレーニングを経た美馬さんは、堂々として魅力にあふれ、とても素敵でした。
大会を終え「あなたを誇りに思う」というイネスと、泣きながら抱き合う美馬さんの姿は、やっぱりオリンピック中継を見ているみたいでした。
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プラハ室内歌劇場「魔笛」 いわき公演

2008年09月22日
オペラを生で見るのは、本当に久しぶりです。モーツァルト「魔笛」は初めてですが、テレビでもたびたび放送されているし、有名な曲も多いので、かまえずに物語の世界にすんなり入ることができました。
生演奏で生歌は、やっぱりいいですね、贅沢です。
夜の女王がちょっと物足りないかなという気はしました。魔笛は有名ではあるけれど、ストーリーは結構強引なので、夜の女王が悪役ぶりを発揮するか、悲劇の女王っぽくしてくれたら説得力が増すような。最初の登場も普通で、最後にザラストロにうち負かされるところも普通に退場だったので、若干存在感が薄いような、もっとドラマチックな仕掛けがあってもという気がしました。
気がつくと衣装がオブジェになってたり、3人の侍女と少年の演出がえ~?なことになったり、魔笛は演出によって千差万別ずいぶん違いますね。
パミーナはお姫様っぽくて良かったのでは。そしていつ見ても聴いても、パパゲーノとパパゲーナは楽しい、かわいい。このウキウキした気分を持ち帰りたいと思いました。

オペラをみたいと思っても、チケットの高さ&地方在住、交通費をかけて大きな都市に行く以外、なかなかチャンスはありません。今回はチケットもそう高くはなく、この機会にという人が多いのか、早いうちにチケットは完売しました。観客も大盛り上がりで、スタオベもちらほら、公演としては大成功でした。

その上で、気になったことがあります。
事前告知チラシの主要キャストと、実際のキャストが全員違っていたことです。有名歌手が出演予定になっていたわけでもないし、私が告知チラシの歌手を知っていたわけでもありません。
同行の友人が、プラハ室内歌劇場日本公演のHPを見たところ、いわき公演のキャストの紹介がないことに気がつき、また翌日の仙台公演「フィガロの結婚」のキャストも、事前告知と全く違うことを確認しました。
購入しませんでしたが、プログラムのキャスト紹介には、いわき公演のキャストは載っていたのだろうか?
後日、チラシや主催者HPなどに小さな文字で「正式な配役は当日発表」とあるのに気がつきました。
私はオペラ初心者ですし、プラハ室内歌劇場がどの程度の力量、知名度であるかも正直わかりません。
結局のところ、公演内容が良かったら、満足できたらそれでいいわけですが、ここまで違う告知をしてしまうことに抵抗をおぼえました。どうせ知らないのだからではなく、誠意という意味で。
それともオペラの世界では、当たり前のことなんでしょうか。

いわき芸術文化交流館アリオス
この春オープンした新しいホールです。複合というよりクラシックのためのホールと感じました。
大ホールは、太平洋に面した港町いわき市らしい、帆船をイメージしたデザイン(たぶん)、照明が帆の形、壁面が船の内部みたいでおしゃれです。音響は期待したほどではなかったけれど、悪くはないです。
大ホールのロビーは公園に面していて、休憩時間にベランダから外に出ることもできる開放的な設計で気持ちいいです。
マークのデザインが、アーティストとしても活躍している石井竜也(米米クラブ)で、彼はいわきからそう遠くない北茨城出身、お母さんがいわき出身ということなので、そういう縁があったのでしょう。
きれいなマークですが、彼のデザインにしちゃわりと平凡(スマン)…公共施設のマークということで緊張したのかな?それともプレゼンはいっぱいしてて、平凡なのが決まってしまったのかな(苦笑)。
ショップが充実していてます。ミュージアムショップみたいで、ぶらぶら見ているのも楽しいです。おもしろい変なオブジェがあるなと思ったら、石井竜也のグッズでした。

いわきアリオス
http://iwaki-alios.jp/index.html

アリオス
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フェルメール展 東京都美術館

2008年09月18日
フェルメールはかなり好きな画家です。しかし作品点数も少ないし門外不出か…、全て見るとなると欧米各国巡り(オランダ→ドイツ→イギリス→アイルランド→アメリカ)でもしないとだめなのかと、学生の頃考えてました。ところがここ10年位でも結構な数が日本にやってきて、ありがたいですね。

フェルメールの魅力をあれこれ言葉にしてみるのですが、すでに言い尽くされているような気がして、書くのをちょっとためらってしまいますが。
室内の人物画は、向き合った時に、その場面に引き込まれていくような力があります。とても静謐でありながら、奧深いドラマを感じる。それも説明的ではなく、今どんな気持ちなのか、どんな時間なのかなと、見る人にあれこれ想像させる。とても完成度が高く完結してるように見えて、ずっと見ていたい気持ちにさせます。タッチは似ていても、そこが同時代の他の作家と違うところでしょうか。
風景画もまた引き込まれていく魅力がありますが、今回展示された「小径」は、色合いや質感も美しいし、想像以上に魅力的でうれしくなりました。生で見る喜びと言えますね。こうなるともっと評価の高い「デルフトの眺望」をぜひ生で見てみたいものです…オランダ・ハーグか。

他の作家では、全く知りませんでしたが、ファブリティウスが良かったです。
人気のある「絵画芸術」は保存の悪化が懸念されるということで、オーストリアから許可が下りず、残念でした。「特に温湿度の変化に…」とは、たしかにヒートアイランド東京の夏は辛いかも、と一人納得したりして。
でも追加出品などもあり、フェルメール展として、十分満足できました。
強いて言えば、東京都美術館はこれでもずいぶん改善されたのですが、人の流れが溜まりやすく、見るのに若干難儀したとうことか。

東京都美術館・フェルメール展サイト
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「オランダの光」と「真珠の耳飾りの少女」

2008年09月18日
フェルメール展を記念して2つの映画が、美術館で上映されるようです。

東京都美術館・フェルメール展公式サイト


「オランダの光」
フェルメールに代表される、オランダ絵画の時代と、現代の光は違うのではないか?あの時代の光はもう失われてしまったのか。そもそも(画家にとって)光と色とは?「オランダの光」はあるのか。
ドキュメンタリー映画ですが、静かな思索の旅といった感じです。
乾いた空気のイメージがあるヨーロッパでも、オランダは運河と湖が多数あるため、湿度や水蒸気によって光に絶妙なニュアンスを与えています。長期にわたり湖を定点カメラで撮影し、光の変化を確かめようとしたり、砂漠に行ってみたり、探求すること=旅することが、この映画のテーマのような気がしました。
決して見やすい映画ではありませんが、フェルメール好きなら、チャレンジの価値はあるかもしれません。

オランダの光オランダの光
(2005/07/08)
ジャームズ・タレル

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「真珠の耳飾りの少女」
この映画は、広くロードショー公開されたので、ご覧になった人も多いのではと思います。
フェルメールの人生は、よくわかってないことが多くて、私の一番の謎は、職業画家のわりに作品数が少なすぎるのはなぜ?なんですが、そういうことにはこだわらず、美しい映像とストーリーを楽しめる映画です。
フェルメールの室内画に登場する背景(と光)が随所にあり、ファンとしてこれは…と楽しめます。アクセサリーや衣装もきれいでした。

「真珠の耳飾りの少女」のモデルとして登場するスカーレット・ヨハンソンの透明感のある美しさが印象に残ってます。
フェルメール役のコリン・ファースは、「ブリジット・ジョーンズの日記」のイケてない彼氏だと気がついたのが、見終えたあとだったのが幸いでした、いえ、ホントに(笑)

真珠の耳飾りの少女 通常版真珠の耳飾りの少女 通常版
(2005/01/25)
スカーレット・ヨハンソンコリン・ファース

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「流転の運慶仏」を見に行く 東京国立博物館

2008年09月18日
今年3月、NYクリスティーズのオークションにかけられ、12億5千万円で落札された運慶作といわれるの大日如来像、ニュースは流し見程度でしたが、この夏、東京国立博物館に展示されていると知りました。同じ敷地内で開催されているフェルメール展に行くこともあり、話しの種に…位のつもりでこちらも見に行きました。

高さ66cmは、決して大きいとは感じません。私は仏教美術に詳しくなく信心深いわけでもありません。それでも対面してみると、この仏像のシンプルな美しさに感銘を受けます。とても優しくて品がある、柔らかい曲線そしてボリュームというか、しっかりした存在感があります。
美しい仏像はどこから見てもバランスがとれていますね。

この大日如来像が運慶作であるという根拠、専門家の鑑定・調査については、先日NHKのドキュメンタリーで詳しく放送されました。
気になったのは、日本人所有で、日本で日の目をみて鑑定されたのに、なぜクリスティーズの競売にかけられたのか?この部分をドキュメンタリーではとりあげていませんでした。
こんな事なら、もう少しニュースをよく見てれば良かったと、やや後悔しながらネットで調べてみたところ。
元々は足利市の樺崎寺にあり、明治初期の廃仏毀釈によってこの寺が廃寺、売り払われたのか、個人の手に渡たのではないか。
芸術新潮(2008.5)によると、40代の外資系(金融関係?)ビジネスマンが、地方の古美術商で数百万で購入、専門家に調査を依頼したところ、運慶作ではないかと結論。文化庁に購入を依頼したが金額が折り合わず、オークションに出品…とあります。
運慶作であれば、ほぼ重要文化財指定、輸出規制の対象ですが、最近見つかった、出どころが怪しい(盗品かも?)ということで、文化庁も慎重にならざるを得なかったようです。
しかし、ここで海外のオークションに出品するという選択ができるというのは、やはりこの所有者はただ者ではないですね(笑)。
そもそも古物商からいくらで買ったのか?文化庁が提示した金額とは?
運慶仏の美しさに感銘を受けたと言いながら、つい下世話な好奇心がわいてきます。
オークションは報道された通り、「重要文化財が海外流出か?」と騒がれましたが、宗教法人真如苑が落札しました。いろいろ読んでみると、コレクションというよりは信仰のシンボルなのかな。施設整うまでの5年位は国立博物館で預かるようです。
ちなみに、オークションで最後まで競っていたのは、アメリカの個人コレクターでした。

ドキュメンタリーは、9月20日(土)NHK-BS2で再放送があるようです。
流転の運慶仏~“大日如来像”の謎を探る~    
http://www3.nhk.or.jp/hensei/program/p/20080920/001/12-1215.html

東京国立博物館 特集陳列 六波羅蜜寺の仏像
http://www.tnm.go.jp/jp/servlet/Con?pageId=A01&processId=02&event_id=5587
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色彩の力/絵画の中の調和と秩序展 いわき市立美術館

2008年09月16日
いわき市立美術館は、地方公共施設の美術館としては後発(1984年開館)、財政的にも潤沢とは言えません。誰もが知っている、たとえば印象派の作品などを購入するには、現実的にチャンスも少なく、また高額過ぎて叶いませんでした。そこで多作で比較的手に入りやすいシャガールやピカソのリトグラフを購入するのは、良くあるパターンです。
そして、この美術館が選んだ道は、評価は受けていても一般的にはさほど知られてない、当時まだ手頃な価格であった現代美術をコレクションすることでした。それが今になり大きな財産になっています。有名どころでは、リキテンスタイン、ウォーホールなどでしょうか。

今回の企画展は、そうした現代美術のコレクションから、「色彩」をテーマに展示しています。
アートは常に時代と共に、その影響を受けながら誕生してきたというルーツがあります。大ざっぱにいうと、19世紀後半の印象派時代があり、対抗して20世紀中盤からピカソやマティス、ルオーなどのフォービズムが生まれ、その影響をうけながら、次に誕生したのが抽象絵画に代表される現代美術、またはモダンアートということになります。
今回の企画展は、印象派以降に誕生してきた作品のルーツをたどるということ。
学芸員のギャラリー・トークによれば、いかにも強力な影響力がありそうなピカソより、マティス晩年の作品「ジャズ」シリーズの方が、その後の現代美術作家に与えた影響は大きいと…なるほど。
マティスの晩年は病気がちで、大作は描けなかったというふうに覚えていましたが、体が不自由であるからこそ、自分の描きたいもの、自分は何を描きたいのか、極限までシンプルに絞り込み、色と形の単純な作品が生まれたということですね。
この「極限までシンプルに絞り込み」という部分が、あいまいさを排除し(作家にとっての)本質を見極めること…まさに現代美術そのものですね。

私は、アートをどんな風に見ても構わないと、考えてますが、大きなキャンバスに円や四角、線だけ、色だけ…ぱっと見、何を描いているのかさっぱりわからない抽象画でも、なぜこうなったかのか?そのの背景を知るとで別の見方、おもしろさが見えてきます。
今回気にいった作品は、モーリス・ルイス「ガンマ・ベータ」、リキテンスタイン「雄牛」、ブリジット・ライリー「ラー」
常設展に、個人的に現物を一度生で見たかった草間弥生の作品があってうれしかった。

コレクションから学ぶ 色彩の力/絵画の中の調和と秩序展
~「印象派」以降:ピカソ、マティスからステラまで~

いわき市立美術館公式サイト
http://www.city.iwaki.fukushima.jp/cgi-bin/odb-get.exe?WIT_template=AC020000&WIT_oid=icityv2::Contents::3051/

モダンアートを見る上で、私にって目からウロコ本を思い出しました。
「脳は美をいかに感じるか」
脳研究をしている神経生物学の教授。
美術全体について書かれていますが、モダンアートの鑑賞についての部分が秀逸です。


脳は美をいかに感じるか―ピカソやモネが見た世界脳は美をいかに感じるか―ピカソやモネが見た世界
(2002/02)
セミール ゼキ

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図書館戦争の作者は? NHK「トップランナー・有川浩」

2008年09月09日

本の検閲が法化され、図書館の自由を守るため武装化する図書館。ありえない設定、ありえない展開、だいたいこんな社会になったらマズイでしょ…と思いつつも、勢いで一気に読んでしまった「図書館戦争」。
私が読んだのは図書館シリーズだけですが、作者がどんな人なのか気になっていました。

私は、暴力的な表現が好きではないのに、武装化する図書隊員が主役の小説を嬉々として読んでいる自分に、少し(苦笑)抵抗がありました。これで作者が、軍事オタクや兵器マニア(そういう趣味を否定しませんが)だったらよけい抵抗が…。まあ、作者はそういう方ではなく、普通の価値観を持った人でホッとしました。
できることなら、人間的な優しさのある人だといいななどと、大変失礼なことを考えてました。
本当に作家になるべくして作家なった「プロ」なんだなと感じました。ライトノベル作家と自分から言っているだけあって、コミックみたいにサクサクと読めてしまいますが、サクサクと読ませてしまうって、かなりの力量ですよね。いい意味で自信に満ちている人だとも思いました。
そして発想…これが図書館戦争シリーズの全てと言ってもいいのかも、この着眼点は素晴らしい。
図書館にはずいぶんお世話になった私ですが、こんな事考える人がいるとは…まいりました。

関係ないですが、番組を収録した中之島図書館、すごく立派な図書館ですね、行ってみたい。

図書館戦争図書館戦争
(2006/02)
有川 浩

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映画「幻影師アイゼンハイム」The Illusionist

2008年09月08日
19世紀末のウィーンにどれだけ浸れるか、この作品を楽しめるかどうかは、全てそこにかかっているような気がします。そのためにも映画館でよかった…と感じました。
とにかく映像が美しい、街並み、劇場、城、森、1カット1カットが絵画のよう。

内容はミステリーでもあるけれど、身分違いの恋を描いたラブストーリーです。
幼い恋人達が身分の違いから引き離され、15年後に再会(まさに恋愛の王道)、クールで謎めいたアイゼンハイム(エドワード・ノートン)がいいですが、冒頭の幼い恋人たちのエピソードがとても素敵で、時を経ても変わらない恋心のバックボーンとして生きています。
(ネタバレしないように言うと)救われるラストもいいですね。
歴史物の重厚な作品にもできそうですが、あくまで上質のラブストーリー、重すぎずエンターテイメントとして楽しめました。
少し欲を言えば、ヒロインの公爵令嬢(ジェシカ・ビール)はもう少し華があってもといいかな…でも知的で品があるのでいいかな…この場合、おバカな美女では台無しなので(苦笑)


舞台となる19世紀末のウィーンは、プラハロケ。一度行ってみたい町のひとつですが、雰囲気があっていいですね。衣装や鍵を握る小道具もよくできてました。
原題は「The Illusionist」ですが、イリュージョンはあくまで重要な脇役です。「幻影師アイゼンハイム」は、原作(といっても短編らしい)の翻訳タイトル「幻影師、アイゼンハイム」からそのままとったようですでが、いい選択だったのではないでしょうか。これが原題のままではピンとこないし、「魔術師アイゼンハイム」や「奇術師アイゼンハム」だったら、なんとなくシラけてしまう、「幻影師」という言葉は、このラブストーリーによく似合うタイトルだと思いました。


公式サイト
http://www.geneishi.jp/


幻影師アイゼンハイム オリジナル・サウンドトラック・アルバム幻影師アイゼンハイム オリジナル・サウンドトラック・アルバム
(2008/04/23)
フィリップ・グラス

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NHK(変顔)特集「幻のサメを探せ~秘境 東京海底谷~」

2008年09月08日
とっくに再放送まで終了して、タイミング逃していますが、あまりにおもしろかったので、やはり簡単に感想書いておこうかと。

深海は調査が難しいこともあって、深海生物の生態がよくわからないんですよね。大都市東京のご近所(東京海底谷)に、深海ザメの楽園があるとは、まるでSFかホラーみたいでわくわくします。
深海生物がいても小さくて地味なのでは?と、想像していると、これがまたにぎやかでびっくり、そして変顔特集かと思うほど、どれもユニークな面構えで…サメもこんなに種類がいたとは知りませんでした。
主役のゴブリンシャークの形相もすごいですが、脇役のサメ、タカアシガニ他、深海にお住まいのの皆さんはどれもいい味出してました(笑)。タツノコプロがキャラクター設定をしたんじゃないかと思うくらいユニークで、楽しませてもらいました。

いつまであるかわからないけれどありました…番組HP
http://www.nhk.or.jp/special/onair/080831.html

今回の番組は研究者の協力を得て、NHKが長期取材、撮影技術も含め、NHKだからこそできることですね。私がブログのカテゴリーに「ドキュメンタリー」と入れたのは、大好きなNHKのドキュメンタリーのことを書きたいと思っていたからで、期待に応えてくれてありがとうNHKです。

感想は放送直後に書くはずが、実は以前出版されて話題になった「へんないきもの」の中に、番組に登場した深海生物がいたかどうか、調べてから書こうと思ううち時間が経ってしまいました。
残念ながら、この本と続編「またまたへんないきもの」には載っていませんでしたが、ゴブリンシャークがもう少し早くに話題になっていたら、きっとこの本に登場したに違いないと思ってます。

へんないきものへんないきもの
(2004/07)
早川 いくを

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諸橋近代美術館のことをもう少し

2008年09月03日
裏磐梯の国立公園の中にあるこの美術館は、建物も美しいですが、周囲の自然環境も見所のひとつです。新緑の頃と紅葉の頃はおすすめですが、観光地なので特に混み合います。ちなみに冬期休館です。
私の場合、思い立って訪れることができる位置なのでいいですが、都心の美術館のように気安く訪れる訳にもいかないのは難点でもありますね。
ただ、ダリが好きなら、わざわざ訪れる価値は十分あると思います。
年に一度、「彫刻さわりまくり」ができる日があります(笑)。もちろん抽選、ブロンズだからできることですね。

この美術館は、企業家諸橋廷蔵氏がコレクションした、ダリのまとまった彫刻コレクションを核として作られたました。日本にバブルという時代がなかったら、この美術館は出来なかったかもしれません。
開館の流れを知っていると言うと少し大げさですが、開館から10年つき合っていると、色々な思いが浮かんできます。

企画展で見る名画や、海外など遠方の美術館にある作品は、何度も見ることはできません。そういう名画をしっかり鑑賞するのもいいですが、近くにある美術館は、気に入った作品を何度も見ることができて別の楽しみ方がありますね。
見方なんて自由だし、自分次第どうでもいいのですが、季節や気分によっても見え方が違ったり、何度も見てわかることもあったり、訪れるたびに新しい発見があったりします。優れた芸術作品は、そういうものかな…と、少し偉そうですね、すみません。
特にダリが大好き…というわけではなかった私も、いつの間にかすっかり彼になじんでしまったなあと思います。ダリ通とまではいきませんが。

諸橋近代美術館公式サイト
http://www.dali.jp/

諸橋近代美術館

美術館の写真は、青空がきれいなものもあったのですが、この写真なんだか18世紀の風景画っぽくておもしろいような気がして。
公式サイトにはもちろん、もっときれいな写真があります。

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ダリの美術館は開館10周年 諸橋近代美術館

2008年09月03日
ダリの彫刻コレクションを日本で一番多く見られる美術館はここ、というのはわかってましたが、ダリの美術館(コレクション)として、世界3番目の規模だと最近知りました…恐れ入りました。多作の方なので、世界3番目って、どれだけ持っているのだ?とツッコミをいれたくなります。

美術の教科書でおなじみの「柔らかい時計」など、ダリは、言ってしまえば奇人変人のタイプなので話題に事欠かないですね。作品は彼自身の内面を反映しているもの、社会の出来事にインスピレーションを得たものなど、それと妻ダリとの関係、奇行など、背景を知って見るとまた別のおもしろさがあります。

今回の「10年の歩み展」では、コレクションされた順、歴史と共に展示、また彫刻以外のダリを多く見ることができました。

休日で、ちょうどギャラリートークが始まるところでした。主任学芸員が解説つきで案内してくれるのですが、私はこの人の解説が大好き、色々なアプローチから話しをしてくれるので飽きません。団体が入るとこの方が解説するので、ちゃっかり団体様に便乗して聞いてます。
この日は、「10年の歩み展」にちなんで、美術館の歴史にそったコレクションのお話、ダリの作品解説の他に、高額な作品のオークションの様子や、購入の動機、修復など、普段聞けない内容もあっておもしろかったです。

カルメンの連作リトグラフは初めて見ました、単純にスペインつながりか。
カルメンは情熱的で猛々しく濃密、そして泥臭いイメージが、私にはあります。ダリのカルメンは、とても洗練された美しい作品で…わけのわからいモチーフもないし、ちょっと意外でした。
でもグラフィック的に見ても本当にきれい、部屋にあっても…うなされないと思う(苦笑)
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高砂ゆり群生地

2008年09月03日
しつこく百合話(苦笑)
高砂ゆりは台湾原産野生種、日本では帰化植物、そのうち群生地を目にすると思っていました。
それらしいユリが咲いていると聞き、見つけたのは自宅からそう遠くないススキの野原。もう九月、さすがに花の盛りは過ぎていました。丈が1m位で花は1~2輪、私が調べた通りの高砂ゆりです。
そして周囲をよく見ると、種がついた枯れた茎が。つまり昨年も咲いていたということか…。
ユリは一般に球根で増えますが、高砂ゆりは種で増えるらしい…さすが帰化植物、たくましい。また来年会えるでしょう。

タカサゴユリ
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