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CIAと革命家、二つの映画

2009年01月16日
「ワールド・オブ・ライズ」(2008年アメリカ)
「チェ 28歳の革命」(2008年スペイン・フランス・アメリカ合作)
たまたまこの2本を続けて見ることになってしまいました。

「ワールド・オブ・ライズ」は、中東で秘密裏に工作活動するCIAエージェント、フェリス(レオナルド・ディカプリオ)と、アメリカで指揮するホフマン(ラッセル・クロウ)が、テロ組織リーダーをとらえようとするストーリーです。

今現在進行している中東の紛争や、世界各地で起こる爆弾テロなど、事実に基づいたフィクションです。
中東の町の路地裏を走り回るフェリスを追跡するスパイ衛星、それをリアルタイムで見ながらアメリカで指示を出すホフマン、中東を舞台に最新の装備、奇想とも思える工作プラン、スリリングな頭脳戦が次々とでてきます。

現場を理解しないホフマンは、まさにアメリカ至上主義の象徴。敏腕エージェントでありながらも中東を愛し、この土地の悲惨さを憂うフェリスは、やがて独自に活動を始めます。
フェリスの役柄はフィクションだからこそですが、「アラビアのロレンス」を連想させる、理想に突き動かせられる設定になっています。
後半フェリスが、現地の女性と恋愛関係になったり、テロ組織に殺害されそうになるところで間一髪助かったりするところは、いかにもアメリカ映画、というかちょっと安易じゃないのか?リドリー・スコット監督さんよ…な部分もあります。

「二大俳優共演で贈るエンターテインメント超大作。文句ナシに楽しめる一本!」と、宣伝文句にありますが、そう簡単に楽しめる内容ではないような気がします。それは映画の題材が時事問題であり、テロはいっこうに無くならず犠牲者も増え続け、中東問題は今も迷走を続けているということにほかなりません。
おもしろくないわけではないけれど、何も解決していなんだよなと考えると、100%エンターテイメントとして楽しめるわけではない、少なくとも私はそう感じました。

ワールド・オブ・ライズ 公式サイト


「チェ 28歳の革命」は、キューバ革命の英雄チェ・ゲバラの伝記映画です。
1955年、若きアルゼンチン医師チェが、キューバで革命を画策するカストロに賛同し、無謀ともいえる革命に身を投じます。
映画はキューバに向かうところから革命を成し遂げるまで。革命後から39歳で亡くなるまでは後編として「チェ 39歳別れの手紙」、2本の作品が相次いで公開されます。
ドキュメンタリーに近い、史実を忠実に再現した作品、チェ役のベニチオ・デル・トロが本人に驚くほどそっくりです。

チェ・ゲバラについては、どんな人物なのか以前から気になっていて、今回見に行くことにしました。見始めてちょっと後悔したのは、映画はチェが革命に参加してからの話で、前置きというか彼のプロフィールや思想的背景が何も描かれていないないんですよね。ネットで検索すればおおよそもことがわかるわけで、キューバ革命の概略くらい読んでおけばよかったと。
一貫して淡々と進むドキュメントという感じで、銃撃戦やゲリラ戦の緊迫したシーンこそありますが、派手なセリフも演出もないので、予備学習しておいた方がより理解できると思いました。

革命以前のチェについては、映画「モーターサイクル・ダイアリーズ」(原作は本人著「モーターサイクル南米日記」)というロードムービーがあったので…こちらもやっぱり見とけば良かったかなと後悔。
チェは大学時代、バイクで南米を旅し、各地の現状を目にしたことでマルクス主義に傾倒するきっかけになったと言われています。

チェ・ゲバラ-Wikipedia

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「チェ 28歳の革命」は、ゲリラ戦シーンがほとんどと言っていいくらいです。
革命のシンボルとして、最前線で一兵士として銃撃戦に参加し、リーダーとして裏切り者を処刑する、そして医者として敵味方なく手当をするチェ、本当によく働くなと。
ストイックで冷徹、有能なリーダーとして誰もが認める存在ですが、愛され慕われたという人物ではないようですね。
そのカリスマ性が高まったのは、やはり39歳という若さで亡くなったからでしょう。生涯を革命に捧げ、ある意味挫折する前に、失敗する前に死んでしまうことで伝説になったのだと思います。
この映画は話題になっており、熱烈なチェ・ゲバラ信者や兵器マニア以外にも、たくさんの人が見るでしょう。
この映画に何を見るのか?淡々と進む展開は、どのようにもとらえることができるのでは?思想、カリスマ性、戦争の悲惨さ、人によって分かれそうです。
もう一つ大事な点は、チェが命がけで実現を願ったマルクス主義、というか社会主義が事実上破綻しているということですね。今この映画を見るとしたら、この視点は外してほしくないと思いました。

チェ 28歳の革命 公式サイト

2つの映画を見て
銃撃戦で人がどんどん死んでいく。ちなみに私は、本来こういう映画を好んで見ているわけではありません。
強いて言えば、二人の著名な監督が、このテーマをどのように作品としたのか気になったということがあります。
フィクションではあるけれど事実をベースにした「ワールド・オブ・ライズ」も、革命家チェも、どちらも「平和」という目的のために働いています。目的を達成するのためには人を殺すことも躊躇しないという考え行動は、やはり私には受け入れられるものではありません。
しかし、今現実に起こっていることだとしたら、この先どうなるのでしょうか、どうすべきなのでしょうか?私には全く予測がつきません。
結論がでない二本の映画でした。

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