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2012年の春 菜の花とひまわり

2012年03月17日
昨年の春、ひまわりや菜の花を植えて放射性物質セシウムを吸着させ、除染しよう…そういうプロジェクトや運動が盛り上がったのですが、残念ながら日本の土壌では効果が薄いことがわかりました。
ひまわりや菜の花は丈夫な植物です。誰にでもできそうなことで除染できるならいいのですが…きれいだし(笑)
ただこの話、日本人として知っててもいいと思うので、私なりにまとめてみました。

参考にしたのは、これまで見聞きしたことと、3月11日放送の「ザ!鉄腕!DASH!!」から「 DASH村 ~チェルノブイリ~ 」。
山口君がチェルノブイリと農地が汚染されたベラルーシの農家を訪ねる旅。農業と放射能の関係がわかりやすく、見応えもありました。

山口達也、DASH村再建にかける思い「縁側で昼寝が夢」朝日新聞デジタル 2012年3月3日
 日本テレビ系の「ザ!鉄腕!DASH!!」で、TOKIOのメンバーが昔ながらの生活を実践していた福島県浪江町の「DASH村」が、東日本大震災で事実上閉鎖されてから1年。再建にひときわ強い思いを寄せているのが、現地で震災に遭遇したメンバーの山口達也だ。
 村は計画的避難区域にある。震災後、プロデューサーらは「再開は無理だろう」と思っていたが、山口が「このままでいいのか」と訴えたのをきっかけに、ヒマワリによる除染実験などが動き出した。


●菜の花(orひまわり)を使ったプロジェクト。
セシウムで汚染された農地で口に入る作物は作れない。ではチェルノブイリを参考に、除染効果のある植物を植えよう。
なぜ菜の花なのかというと、成長過程で養分として吸収する養分カリウムとセシウムの原子が似ており、間違えてセシウムを吸収するから。
実った菜種(orひまわりの種)からは、バイオ燃料(植物油)を精製する。この燃料は放射性物質を含まないことがわかっている。絞った滓はコンパクトに低レベル放射性廃棄物として処理する。この過程を何年も続けていけば、だんだんと除染され安全な農地に戻っていくはずという考え。
ところが…

●日本とチェルノブイリの違い
チェルノブイリ(の事故で農地が汚染されたベラルーシ)では、土壌のカリウムが元々少ないため、セシウムを吸着しやすい。しかし日本の場合、農地の栄養素であるカリウム濃度が元々高い、また化成肥料としてカリウムを多く与えてきたので、植物はセシウムではなくカリウムを吸収する。結果として菜の花での除染は効果が期待できない…ということに。
ベラルーシでは効果があったのは事実。

●もう一つの問題
セシウム吸着の効果が期待できないとしても、どうせ作物を作れないならバイオ燃料を作る目的で菜の花を植えたらいいのではないか?という動きも見られました。
ところが、菜種やひまわりの種から製油(バイオ燃料)するにはプラントが必要、それをすぐ作れるのか?
原料をプラントに集める→バイオ燃料を作る→販売・使う→ゴミ(かす)の処分…までのシステムが出来ていないのに、菜種を植えても、刈り取った時点で低濃度の放射性廃棄物が増えるだけとなってしまう。

たとえば野菜の作付け制限をもうけず、どんどん作って基準値を超えたら国と東電に買い上げてもらえばいい…という話も聞きますが、この場合も低濃度放射性廃棄物が増えるだけになります。
基準値を超える放射性物質が野菜に移行しても、土壌の総量からすれば微量、除染効果は薄いようです。
廃棄物の処分場が全く進んでいない現状では現実的ではありません。

●セシウムとカリウム
このことは別の意味もあります。日本の土壌の場合、セシウムが植物に移行しにくいという事実です。
福島ではこの1年、産品(野菜・米・海産物など)の放射性物質を調査し、ニュース、新聞やウェブ上で公表してきました。夏にはトマトやきゅうり、秋には米といったように、その時期収穫できる産品の数値と出荷制限をうけている産品がわかります。
結論からいえば、野菜や米は当初危惧されていたより放射性物質の濃度はずっと低いことがわかりました。これは農家にとってうれしいことでした。

逆にカリウムの少ないベラルーシの農地では、カリウムを入れることで、作物がセシウムを吸収するのをブロックするという試みも。
日本でも、セシウムが多く含まれた作物がでた畑は、カリウムの濃度が低いことがわかってきました。
※カリウムはただ撒けばいいとうことではなく、作物や条件によって変わってくるようです。

●有機栽培・無農薬栽培
有機栽培や無農薬、無肥料栽培は、おおざっぱに言って化学肥料(カリウム含む)を使わず自然に近い状態で作物を育てます。種類にもよりますがこのような畑ではカリウムが少ないため、作物はセシウムをより吸着しやすい、より放射性物質含んだ野菜ができやすくなるようです。
セシウムの対策としてカリウムを撒くことは、化学肥料を使うことに等しい。いま福島県で自然のままの農業を成立させることは難しいかもしれません。

●キノコはちょっとヤバイ
DASH村でもふれていましたが、ベラルーシでも野生のキノコはまだ危ない。菌類がセシウムを吸着しやすいのか、地表を舐めるように繁殖するからか、安全基準をうわまっているようです。昨年は福島でも一部(会津地方など)を除き、野生のキノコを食べないよう告知されていました。

●まとめ
除染はまだまだ未知の分野です、日本では菜の花やひまわりの除染効果は期待できないというのが結論です。
チェルノブイリは参考になりますが、日本の土壌、山の多い地形、雨の多い気候では、そのままあてはまらないんですね。

ところで、現在の日本で公表されている放射線量は、放射性セシウム134と137の合算です。
137の半減期(人体への影響が半分くらいになる)は約30年ですが、134の半減期は約2年、つまり事故後26年のベラルーシで現在検出されるのはほぼセシウム137のみです。
説はいろいろありますが、福島の事故で放出されたセシウムは、134と137が半分づつ位、あるいは134が70%位と言われています。
仮に半分づつだとすると、134は2年後半減期で合算で75%以下、実際は除染や気候などによりもっと低い。昨年春から2年後、最大で半分位の放射線量になるのではと推定されています。
現在避難区域である自治体のいくつかが、2年後をメドに町に戻りたいという根拠の一つはここにあります。
実際私の生活圏での空間放射線量はかなり下がってきています。ただ土や茂み、森などは低いとはいえません。
除染方法は、たくさんの試みがなされていますが、未だに決定打がない。そして廃棄物処分場がないことがもっと問題なのです。

昨年夏、各地でたくさんのヒマワリ畑を見ました。
除染を期待して、また畑を何もしないで放置するよりはと植えられたひまわり。ただゴミになるために植えられたと思うと、胸苦しさが…感傷的すぎますかね(苦笑)

ほっとするニュース:ヒマワリの種と激励 全国の人から10トン・1万通 飯坂線で展示 2012年2月28日毎日新聞
「菜の花が地域と地球を救う」2012年03月14日朝日新聞
オランダ企業、福島にバイオ燃料植物の生産を計画 ポートフォリオ・オランダニュース
早川由紀夫の火山ブログ フクシマとチェルノブイリの比較(改訂版)



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