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空耳の科学

2012年07月18日

空耳の科学 ~だまされる耳、聞き分ける脳~空耳の科学 ~だまされる耳、聞き分ける脳~
(2012/02/10)
柏野 牧夫

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本書は、NTTの研究所で聴覚研究をしている柏野牧夫氏が、横浜市立横浜サイエンスフロンティア高校の生徒9名に向けて行った授業を収録したものです。
講義の目的は音や聴覚に興味をもってもらうこと。「空耳」と呼ばれる錯覚現象や日頃聴いている音楽が、複雑な脳の産物であることを実感してもらうことらしい。

読み上げた音声にあちこち無音にしただけで全く聞き取れなくなる。無音の所に雑音を加えただけで、言葉となって聞き取れる…音を聞いているのではなく、内容を脳が…都合良く作りだしているから、つまり聴覚の研究は、脳の研究をになるという。

人間の五感(視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚)一般的に視覚が最も重要だと言われてきたけれど、どうもそうとも言い切れないらしい。聴覚研究者より視覚研究者の方が圧倒的に多いことも要因にあるらしいですが、視覚と聴覚では情報処理の得意分野が違う。視覚は空間を把握し、聴覚は時間を把握し、相互に補い合っている。
視覚は狭い範囲を詳しく見ることにむいているが、聴覚は360度24時間モニタリングしている。たとえば爆発音がしたら、頭で危ないと思うより先に、体がすくみかがんだりする。身の危険を感じたらいち早く察知して備える、聴覚は重要な役割を担っている。
言われてみればそうですねえ。
爆発音は問答無用で恐怖感を感じさせる。特撮の派手な映画も音がないとしょぼいし、ニュースも音がないと臨場感がない。
映画の吹き替えに違和感を覚えないのはなぜか?
なぜ振り込め詐欺にひっかかるのか?

なるほど〜
「民放のニュースでBGMをつけることがあるが、やりようによっては情報操作になりかねない」という話がありましたが、それ私もよく感じます。
戦争や悲惨な現場に美しいメロディーがつけば悲劇性が増したり、美談っぽくなるし。盛り上がってないイベント(汗)に楽しい音楽をつければそれらしくなりますよね。

絶対音感はえらいのか?もおもしろかったです。
発達障害のアスペルガー症候群には、識字障害やコミュニケーション障害など、さまざま個人差でありますが、こういう方の中には、音を聞く聴覚能力には異常が無くても、聴覚過敏で必要な音を聞き取りにくかったり、人の声を聞き分けられなかったりして、結果コミュニケーションに支障をきたす人も多いという。
障害がなくても、音は同じでも、聞こえ方は様々というのが普通なんですね。

視覚と聴覚があわさって脳が判断したり、都合良く聞こえる空耳になったりする。そうなると、顔をじっと見て話す欧米人と、顔をじっと見ないで話す日本人では、視覚と聴覚のバランスが違うので、空耳も違う…かもしれないという。環境や学習によっても違ってくる…この辺はまだ研究が進んでないのかもしれません。

音とは何かなど、専門的な話も多いのですがわかる範囲でもおもしろかったです。

人間の耳は、音を全て受けて処理しているのではなく、無意識のうちに編集し、必要な物だけを取り出したり、聞こえないところを脳が補ったりして生活している。聴覚はとてもシンプルだと考えていましたが、ものすごく複雑ですね。
目からウロコ…いや、耳からウロコか(笑)


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