FC2ブログ

アンドリュー・ワイエス展  オルソン・ハウスの物語

2012年07月17日
qrolof8qw7 77
丸沼芸術の森所蔵 アンドリュー・ワイエス展
オルソン・ハウスの物語

2012年5月26日(土)–7月22日(日)宮城県美術館
〈企画展HPより〉アンドリュー・ワイエス(1917-2009)は、アメリカの原風景とそこで暮らす身近な人々を描き続け、心に深く響く作品を残しました。中でも《クリスティーナの世界》は、アメリカ美術を代表する傑作として知られており、モデルとなったクリスティーナと弟のアルヴァロが住むオルソン・ハウスは、ワイエスの最も重要なモティーフのひとつです。今回は、その創作を解き明かす鍵として、重要性が世界的に評価されている丸沼芸術の森所蔵の「オルソン・シリーズ」から水彩と素描の代表作120点を紹介します。
本展覧会は昨年4月からの開催予定でしたが、東日本大震災の発生により中止を余儀なくされました。しかし丸沼芸術の森、株式会社丸沼倉庫より復興支援として多大なご協力を頂き、このたびの開催が実現したものです。


丸沼芸術の森所蔵のワイエス作品は何度か見ているし迷っていたのですが、ワイエス好き過ぎな自分だし、やはり行かねばと(笑)
これまで見た作品と多少かぶりはあるものの、見応え十分、良かったです。
こうしてまとめて見ることでわかることもあるし、その世界観に浸ることも出来ました。

丸沼芸術の森では、ワイエスの習作を多数所蔵、今回はワイエスの代表的なシリーズ「オルソン・シリーズ」に焦点を当てています。
メイン州の海沿いの片田舎に住む、体の不自由な姉クリスティーナと、姉を支えながら家を守る弟アルヴァロ。ワイエスとのつきあいは30年。
姉弟の質素な暮らしぶり、風雨にさらされ寂れた家、壊れたままの窓、古ぼけた農機具、周囲の景観も豊かな自然環境というよりは、寂れた印象。
この「絵にならない」と思える世界が、ワイエスの創作意欲をどうかきたてたのか、そんなことを想像しながら見ていました。

wq-987665klhdswethbaus99
クリスティーナの世界 習作 1948年
参考/クリスティーナの世界(ニューヨーク近代美術館)

今回のメインはあの有名な「クリスティーナの世界」の習作です。
鉛筆や水彩、多数の習作からどのような過程を経て作品になったのかがわかります。この習作はクリスティーナだけですが、完成版を見ると、クリスティーナと家(オルソンハウス)のレイアウトで模索していた様子がわかります。
限られた世界で生きるクリスティーナの孤独…というには単純すぎるし、悲しいとか運命というのも大げさだし…なによりクリスティーナに弱さは感じない、習作では筋張った腕や強情そうな後姿に力強さを感じます。

cio mz;: kop
青い計量器1959年

ワイエスの作品には、使い込まれた道具がよく登場します。薄暗い納屋の、どれもこれも古びた道具をワイエスは愛情込めて丹念に描写します。
人物にしても家や道具、厳しい自然にしても、ワイエスは愛情を持ち描いていますが、同化はしない。あえてなのかそうでないのかわかりませんが、いつだって対象への尊厳をイメージさせる距離感があります。

iuaqow8jvc
カモメの案山子(1954年)

ワイエスの作品はたくさんありますが、私は彼の風景画が特に好きです。
黒々とした森、暗い色の海、光と影、いずれも褐色から黒を中心に地味な色彩で描かれ、武骨で華やかなものは何一つないような風景。水彩の習作は特に荒々しく孤高の美しさがあります。
ワイエスの風景画は、ずっと見ていても飽きない、イマジネーションが広がります。
ワイエス自身もこの風景に、尽きない魅力を感じ、創作へと駆り立てられたのかと思うと、その視点に少しは近づけたかも…と、身勝手な満足感が(苦笑)

今回の企画展に大作はないのですが、この作品点数は圧巻、ワイエスとオルソン・ハウスの物語の中にどっぷり浸ってまいりました。

関連記事
アート・美術館 | Comments(2) | Trackback(0)
Comment
久々
アンドリュー・ワイエス、あ~すごく久しぶりに見ました。忘れもしない「海からの風」。窓にかかったレースのカーテンが風に揺れている絵ですけれど、この絵を見た時の感動を思い出しました。
>matie さん
今回の企画展は、水彩や鉛筆などの習作がほとんですが、「海からの風」の習作もありました。
この作品は、オルソン・ハウスの3階の窓なんですよね。

http://www.artchive.com/artchive/w/wyeth/wind_from_the_sea.jpg

管理者のみに表示