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アンドリュー・ワイエスの世界

2008年10月08日
11月から渋谷Bunkamuraで「アンドリュー・ワイエス-創造への道程」が開催されます。これは見逃せないと思っていましたが、来年巡回展があり、私は福島県立美術館で見ることになりそうです。混み合う東京より落ち着いて鑑賞できるので、正直ありがたいですね。
ワイエスは日本でも人気があり作品数も多いので、これまで何度も企画展が開催されています。福島県立美術館、愛知県立美術館はワイエス作品を収蔵しており、その関係で巡回で開催されるのではないかな。
11月からの企画展の内容はまだよくわかりませんが、日本未公開の作品がたくさんあるといいなと、今から期待しています。

Bunkamura ザ・ミュージアム(ラインナップページ)

今回の企画展には出展されてないと思いますが、ワイエスの最も有名な作品「クリスチーナの世界」は、美術の教科書にも載っているので、知らない方でも見れば「ああ…」と思うのでは。

ニューヨーク近代美術館「クリスチーナの世界」

このクリスチーナをモデルにしたシリーズの他に、少女シリやヘルガを描いたシリーズも有名です。
私は人物画ならばヘルガのシリーズが、風景画は特に好きです。
水彩画は大きく余白のあることが多くて、一般的な西洋絵画、具象画では珍しいのではないでしょうか。落ち着いた色調もあり、日本の水墨画や掛け軸に通じるような空間の美があります。水彩画はあっさりしたイメージを想像しますが、ワイエスの水彩画は実際見ると、存在感のある重厚な作品が多いのが特徴です。
「クリスチーナの世界」に代表されるテンペラ画は、細部まで描き込まれた彼の観察力、技術力のすごさを感じます。

ワイエスの作品は、風景画も人物画も一貫して見る側に媚びていないところが美しい。ストイックな、画家としての美学を感じます。
人物の多くはこちらを向いてはいません、目線をそらしています。モデルはもちろんモデルとして(ワイエスに依頼され)ポーズを取っているのは間違いないのですが、作品のためにポーズを取らされているのではなく、今ここにいる意味、この場所、空間に生きていることに意味があり、画家はそこにインスパイアされて描いているように見えます。

風景画も鑑賞者が喜ぶような美しい景観や草花、見る者を圧倒する雄大な自然や珍しい光景を描くことはありません。
身近な自然といえばよいのか、今目の前に拡がる自分の世界を描く、多くはメイン州の人と自然が交じり合う場所を描いています。リアリティかと言うと、あくまでワイエスの心象を通した風景ではありますが。
しかし、美しいものを選んで描くことはしてないのに、何気ないりんご木やラズベリーの茂み、枯れた草むら、黒々とした森など、なんて力強く美しいのだろうと感じます。人が見るために構築された美ではなく、人と野生が交じり合い、結果生まれた美と言えばいいでしょうか。

私にとってのワイエスの魅力は、こうした媚びない存在感にあるような気がします。「饒舌な作品」もおもしろいですが、ワイエスの作品は静かに対話ができるような気がします。
私だけかもしれませんが、考え事をする時ワイエスの風景画はいいですよ。何となく黙って話聞いてくれそうな…(苦笑)

福島県立美術館のワイエス作品は、常設展示の目玉、この美術館の顔といってもいいのではないかと思います。特に「松ぼっくり男爵」は名作、ワイエスのテンペラ作品の中でも、緻密に描き込まれた力作ではないでしょうか。これを目当てに遠方からいらっしゃる方もいるようです。
※たまに出張してますので、「松ぼっくり男爵」目当てならば、あらかじめ展示を確認してからおいで下さい。現在のところ、美術館サイトにワイエス作品の画像はありませんでした。

福島県立美術館公式サイト

ウィキペディア・アメリカ版
適当にリンクをクリックすると作品が見られます。(日本版はリンクもないのでこちらで)

Amazonnのリンクは、何もないと素っ気ないので写真代わりです(苦笑)
表紙はヘルガ
Andrew Wyeth: The Helga PicturesAndrew Wyeth: The Helga Pictures
(1991/02)
John Wilmerding

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