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「百花繚乱 -花言葉・花図鑑-」展

2013年04月24日
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荒木十畝《四季花鳥》

「百花繚乱 -花言葉・花図鑑-」展
2013年4月6日(土)~6月2日(日)
〔前期展示4月6日(土)~5月6日(月・休)、後期展示5月8日(水)~6月2日(日)〕
日本における季節の草花への関心と、それを造形化しようとする意識は古くから知られています。人は花の美しさを讃え、時には自ら育てる喜びをも享受し、時代ごとに様々な花の表現を生み出してきました。
四季をめぐる日本の風土の中で、花は季節を示す重要な要素です。とりわけ物語絵や風俗画には、春夏秋冬の草花を愛でる人物や、日々の生活の営みとともに描かれる豊かな花の表現がみられます。一方、花鳥画や草花図には、本来異なる季節に咲く花々を一つの画面や対の画面に同時に描く趣向の作品が少なくありません。四季花鳥図あるいは四季草花図として、日本の自然の風景や植物を織り込みながら、季節の草花や鳥を一つの情景として捉える様式が形成されたのです。こうした花鳥画や草花図の伝統は、中国から伝来し、掛軸から巻子、屏風まで様々なかたちで表現されてきました。屏風に種々の草花を自然景として配した江戸琳派の鈴木其一《四季花鳥図》(前期展示)、池田孤邨《四季草花図》(個人蔵・後期展示)、中国絵画に学んだ花鳥画に装飾性を加味した荒木十畝による大画面の4幅対《四季花鳥》は、ユートピア(楽園)のイメージとも重なります。さらに、明治以降になると、速水御舟《名樹散椿》【重要文化財】や山口蓬春《梅雨晴》のように、近世の花鳥画や草花図に内在する美意識を踏襲しながらも、斬新な構図や色彩など近代的な感覚を取り入れた新たな花の表現が模索されました。
本展では、「物語でたどる人と花」、「ユートピアとしての草花と鳥 」、「四季折々の花」という3つの切り口から花を描いた作品を厳選し、花言葉や花の特徴、花を題材とした和歌や画家の言葉とともに、その魅力をご紹介します。満開に咲き誇る花の表現を通じて、美術はもちろんのこと文学や園芸の視点からも作品を読み解きながら絵画をお楽しみいただける展覧会です。


重要文化財から、著名な作家の小品まで、美術館所蔵から個人蔵まで、この充実ぶりはさすが山種美術館だなと思います。日本画ではありがちなテーマの企画展なのですが、見応えありました。
基礎知識がなくとも十分楽しめます、日本画専門の美術館が敷居高いと思っている人にもおすすめです。

ポスターなどでメインで使われている荒木十畝《四季花鳥》は、印刷で見ると華美な印象ですが、実際目にすると、豪華さの中に重厚感とすばらしい技術力。デザイン的でありながら写実的、花鳥画とはこうだ!という感じですね。

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菱田春草 《桜下美人図》

作品の美しさを楽しみつつ、時代の風俗をあれこれ想像しながら鑑賞するのも楽しい。

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奥村土牛「吉野」1977年

巨匠奥村土牛の最晩年の作品。
色彩と形が全てが春霞に滲んでいくような、いかにも晩年らしい作品、このような作品で終えていく画家人生は幸せに違いない。

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田能村直入「百花」1869年

植物好き、花好きにはたまらん作品。
描かれている植物名が表示されていますが、すべて見つけるのは、知識的にも時間的にもちょっと不可能。
これでもかというくらい密に描かれた花々、百花繚乱とはこのことか。しかこの空間恐怖症かと思うような描き込みは、西洋的だと思う。ウィリアム・モリスとか。

小品ですが洋画もいくつか、薔薇をたくさん描いていた中川一政。梅原龍三郎「向日葵」は、あきらかにゴッホの「ひまわり」を意識した作品でおもしろかったです。

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酒井抱一「扇面夕顔図」19世紀

これまた渋い作品。しみじみ味わい深いです。
しかし酒井抱一を目の前にしているという喜びのほうが勝るかも(笑)

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作者不詳《竹垣紅白梅椿図》

想像していたより大きいというか、とても迫力ありました。
全体は渋い色調なんですが、とても動きがある印象。ずっと見ていても発見があり、角度をかえて眺めたり、飽きませんねえ。

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速水御舟 《名樹散椿》1929年【重要文化財】 
山種美術館の解説/《名樹散椿》も昭和52(1977)年に重要文化財に指定された。昭和期の作品で重文に指定されたのはこれが最初である。
この椿は、京都市北区にある昆陽山地蔵院(俗称椿寺)の古木を描いたもの。白・紅・桃色・紅白絞りと種々の華麗な花を咲かせ、しかも山茶花のようにひとひらずつ散る五色八重散り椿として有名である。御舟が写生した当時、樹齢400年程の老木だったが、現在は枯れて同所に2代目の木があるが、初代の古木のような趣は無い。


今回のメイン、これが見られるならと来たようなものです。
老木と思われる太い幹に、今が盛りの椿の花。
太い幹に近い所は葉もまばら、咲いている花数は少ないけれど大輪の椿がちらほら。
力強く伸びている中程の枝は、今が盛りのように葉が茂り、たくさんの花を咲かせている。
そして左下の方へ勢い良く伸びていく若い枝は、葉も若く花も小さい、そしてたくさんのつぼみをつけている。
太い幹は人生の集大成、そこから勢いのある若い枝へと、人生を遡るような時の長れを感じます。華麗に咲き誇るだけではない、この椿一本に人生の全てがつまっていると思いました。そう見ると、散り落ちた花びらがなんとも味わい深い。
よく見ると、金地は太い幹のあたりでは光沢は鈍く、若木の背景ではより光り輝くようになっています。屏風の角度や立ち位置によってに微妙に変わる光も見所、これは実物を見ないとわかりません。

速水御舟「名樹散椿」は豪奢で、想像以上にすばらしかった。こんなすごい作品が、普通に見られる喜びを噛みしめたのでした。
深く考えなくていい、とにかく多くの方に見ていただきたいですね。


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山種
山種は、兜町時代から知っておりますが、
ファンとしては、やはり2代目の千鳥ヶ淵時代が一番でしたね。
ビルの一角にあって、スペース的には非常に狭かったのですけれど、
なんといっても、ロケーションが最高!
 桜の花はある。お堀の水はある。皇居の緑はある。
 並びに千秋文庫はある。イタリア文化会館はある。
 ちょっと歩いて、竹橋(近代美術館)。
 皇居の東御苑を小1時間程散歩して、丸の内の三菱1号美術館。
美、美、美、三昧でした。

恵比寿に移ってからは有名になってしまって、人ばかりが多くて、
絵とゆっくり対峙できなくなった感があります。。
日本画(近現代)好きの底辺が広がるのはよいことなのですが、
ファンにとっては、ちょっとさびしいことなのです。

でも、山種は、すばらしい画を持っています。

>サマーオレンジさん
こちらにもコメントありがとうございます。
兜町の山種には何度か行きました。休日にしか行かないからですが、静まり返ったオフィス街の雰囲気をよく覚えています。年配のお客さんの多い、渋い美術館でしたね。
展示方法など、美術館の機能としては今の方がずっといいと思いますが、兜町の山種も好きでした。
収蔵作品はすばらしいですね、日本の誇りです。

恵比寿は二度目なんですが、実は恵比寿の駅から、前回に引き続き道に迷ってしまって(汗)
もうちょっと駅に近いといいんですが。

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