バルテュスと彼女たちの関係

2014年05月20日
works-04_l.jpg
《 夢見るテレーズ 》1938年

バルテュスと彼女たちの関係
NHK BSプレミアム 5月17日(土)午後9時~10時30分
再放送/6月1日(日)午後3時30分~5時(再)
20世紀最後の巨匠、天才画家バルテュス(1908-2001)の人生と美学を、「男と女の物語」としてドラマティックに描く異色の美術エンターテインメント番組。俳優・豊川悦司が、“Cadre(額縁)”という名のパリ在住の美術調査員に扮して、バルテュスがモデルとして描いてきた女たちについて調べる旅に出る。
若き日に暮らしたパリのアパート。少女と隠棲したフランス中部・田園の城館。絵を遠ざけルネサンス期の建築修復に打ち込んだローマのヴィラ・メディチ。ついの棲み家となったスイスの山荘。それぞれの場所で出会うバルテュスの痕跡を前にして、Cadreはどんどんバルテュスの人間くささを嗅ぎ、次第に肉付を帯びていく巨匠の人間的魅力に惹かれてゆく。
事実を追いつつも、フィクションの形を借りて、ミステリータッチで進む巨匠バルテュスをめぐる調査。Cadreが垣間みるバルテュスと女たちの愛の生活。それが画家をどうインスパイヤーし、作品が生まれて来たのか?
賞賛と非難、誤解に満ちた20世紀最後の巨匠の魅力をリアルに浮かび上がらせ、絵を見る喜びを直観的に体感する、新しい美術番組。


works-03_l_201405201104312ab.jpg
《 猫たちの王 》1935年

ドラマ仕立て…ハードボイルドにでてきそうな探偵風の美術調査員(豊川悦司)が、バルテュスの創作の軌跡をたどる。
バルテュスは何枚かは見てますが、どうだというほどのことは知りません。
現在開催中の大規模な企画展に合わせての番組だと思います。ロケも充実して、なかなおもしろかったです。

画家はだいたいが個性的だったりエキセントリックだったりしますが、その割にパターンができてたりしますよね。
バルテュスはそのパターンにはまりそうではまらないところがおもしろい。付き合う女で画風が変わる、女性に翻弄されるところはいかにもですが(笑)、ちょっと違うような。
それにしても…初期の頃から大胆な作品が多くて。…というかモチーフ&ポーズが「挑発的」で目がくぎ付け(汗)
天才ということなんでしょうが、これはなかなか理解されにくいだろうな。

balthus05.jpg
《 白いスカート》

最初の妻アントワネットは、恋いこがれようやく結ばれた恋女房。
彼女がモデルの「白いスカート」は、ずばり愛ですねえ、美しいですねえ。しかし愛は長くは続かない…よくある話か(笑)

企画展ポスターにもなっている「夢見るテレーズ」。少女の挑発的なポーズ、これはやっぱり問題作です。何も知らずこれを見れば、バルテュスのアブナイ方向を想像します。
少女に惹かれることはパートナーとなった女性たちを見ても間違いないと思いますが、エロスと一言では片付けられないところがある。それは、モデルとなった女性たちの、なんというか冷静な言葉からわかりますね。
子どもから少女へ、少女から女性へ、その変容こそが画家の創作をかきたてるもの。それは生涯をつうじて創作への情熱となったようです。
少女だけが持つアンバランスで、どちらにでも振れそうな不安定さ、そこに答や明確なテーマは見つけられない。
謎めいて、その深みが引きつけてやまない魅力なんだろうな。
ただ、TVでは紹介していないところで、もっと危ない感じ、問題作っぽい作品が多数あるようで(汗)、同時代では理解されにくい面はあるんでしょうね。

works-08_l.jpg
《 白い部屋着の少女 》1955年

事実上の妻、フレデリックと過ごしたシャシー村、この古びた城館の風情が
またなんともいい。
フレデリックの肖像が可憐。この時代の風景画もなかなか。

works-10_l.jpg
《 樹のある大きな風景(シャシーの農家の中庭) 》1960年

バルテュスの奥さんは日本人、番組見ながらいつ登場するのかと思えば、バルテュス54歳、節子夫人は当時20歳、年の差カップルだったんですね。
二人がであった頃、バルデュスは離婚が成立していない。フレデリックとは事実婚状態で子どももいる、かなりどろどろ、このあたり大河ロマンかという感じ。

節子夫人は、結婚後なくてはならない存在として画家を支えたらしい。(節子夫人は画家でもありエッセイストで、著作も多数)
ついの住処、スイスの住まいも美しい。
バルテュスの後半生は画家として名声を得て、住処、生き方…セルフプロデュースの方に関心が言っているように見えます。そこに欠かせないのが節子夫人だったよう。

works-09_s.jpg
《 美しい日々 》1944-1946年

しかし残された作品は、謎めいたまま。たぶん暴露されるような秘密があるわけでもない。
時代時代に解釈を変えながら、見る者を揺さぶる。永遠に答がでない作品、それゆえ優れた芸術作品となっているように思います。
---------------------------------------------------------------------------------------------
BSコラム「バルテュスと彼女たちの関係」 by 倉森京子

【関連番組】 日曜美術館 「バルテュス 5つのアトリエ」
5月25日(日) Eテレ 午前9時~9時45分
<再放送: 6月1日(日) 午後8時~8時45分>

バルテュス展
2014年4月19日(土)~6月22日(日) 東京都美術館

関連記事
アート・美術館 | Comments(0) | Trackback(0)
Comment

管理者のみに表示