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伊砂利彦 志村ふくみ二人展 -染める、織る、最前線-

2008年10月18日
今回は志村ふくみの事だけを書きます。
草木染めと紬織りの技術を独自に開拓した人で、1993年には人間国宝、現在84才、現役で活躍している作家です。
志村ふくみは、ずいぶん昔「一色一生」という本で知りました。
私もずいぶん若く、当時日本の染織が話題になっていたからか、日本伝統の工芸ってどんな世界?と少し憧れたか、読んだ動機はそのあたりだと思います。文庫本で買ったので、すでに「大佛次郎賞」を受賞して話題にはなっていたと思います。
エッセイと言うには軽すぎ、随筆と言うには古くさすぎるか…。彼女の半生、染織家としての出発から現在まで(30代から当時50代位まで)のこと、染織家としての苦闘、思いなどをつづった内容です。
30代で子どもを連れて離婚し、染織家の道を歩むということは、50年前という時代を想像すると苦労は多かったようです。だからこそ、より染織への抑えがたい情熱が浮き彫りになってきます。

私は染織や着物の専門知識がないまま、作品は文庫本の小さな写真だけを見て、読み進みました。自分が進むべき道と決めた染織に対する思いもさることながら、技術的な試み、挑戦、たとえば藍染めを始め、藍がめに向かう時の鬼気迫るような精神性、染めへのあくなき探求心など、伝統工芸とはここまでストイックにあらねばならないのかと、圧倒されてしまいました。
当時すでに、大きな賞を受賞していたはずですが、その後人間国宝になり、あらためてその世界の頂点に立つ人は違うのだなと感じました。

実際に志村の作品を見たのはずいぶん後、それも数点で、一度まとめて見たいと思っていました。今回は二人展ですが、かなりの点数が展示されました。
工芸作品は、写真や映像でわかりにくいものの筆頭で、特に着物は、柄であれば華やかさはある程度伝わると思いますが、志村の作品のように色合いと質感が命の作品を写真で判断することはできないと言っていいのではないでしょうか。
作品を見て感じることは、美しい存在感です。繊細な色遣いもいいですが、織りの質感がしっかとした存在感を主張しています。この段階で、昔本を読んだことは別にいいやと(苦笑)で、ただ目の前の作品を堪能して帰ってきました。
ありきたりの言い方ですが、本物は見ていて飽きないものですね。手仕事のすごさを感じます。

ほとんどの作品は着物に仕立てられています。ここまでたくさん見てしまうと、これを身に纏ったらどんな感じだろうかと想像します。着物…なんですから(笑)
人間国宝の作品を、実際買えるのかどうか、誰がいくらで買うのかもわかりませんが、今度は着たところをぜひ見たいと思いました。

福島県立美術館

一色一生 (講談社文芸文庫―現代日本のエッセイ)一色一生 (講談社文芸文庫―現代日本のエッセイ)
(1994/01)
志村 ふくみ

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本書は豪華装丁版もあるようです。
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