オルセー美術館展 印象派の誕生 ―描くことの自由―

2014年07月31日
オルセー美術館展 印象派の誕生 ―描くことの自由―
国立新美術館 2014年7月9日(水)~10月20日(月)

有名作品も多数、見応えのある企画展でした。
現地で見ないと…とまあ、そうとも言えるのですが、旅先ででっかい美術館のすべてを集中力もって鑑賞することはほぼ不可能なわけで、こうしてはるばる日本に来てくれた作品をじっくり鑑賞できるのはうれしいことです…混んでいて大変ですが(汗)

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エドゥアール・マネ 《笛を吹く少年》1866年

想像していたより大きな作品、そして絵の具の今筆を置いたかのようなつやつやした光沢…赤いズボンが鮮やかで、華やかな印象です。
少年がとても生き生きしてるんですよね。肌の透明感、瑞々しいタッチに見とれました。
背景のない描き方もこうして目の前にすると斬新。
日本の場合、子どもの頃から教科書でおなじみの作品ですので、既視感が勝ると思っていましたが、とても新鮮な気持ちで見ることができました。
そしてこれは傑作なんだなと実感。

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ジャン=フランソワ・ミレー 《晩鐘》1857-59年

農民を描くといえばこの人。ミレーの「晩鐘」を日本で見られるとは…。
写真や映像ですとセピアが勝り、全体的な印象は禁欲的でちょっと古めかしい雰囲気ですが、実際に見るとすみれ色やあかね色…日が落ちるあの一瞬の色があり神秘的、とても美しい。そして夕暮れに色彩も輪郭も滲んでいく時間の流れを感じ取れます。

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ギュスターヴ・カイユボット 《床に鉋をかける人々》1875年

これの作品は以前「美の巨人たち」で取り上げられていて、ぜひ見たいと思っていました。
最先端を行く都市パリで、底辺で働く人々を描いた作品。
格式のありそうなお屋敷、黒光りする床、そして黙々と働く男たちの背中や腕の筋肉、いずれも美しい。そういう目的で描かれたのではないのかもしれないけれど、男たちには貧しさや苦しさより、静謐な美を感じます。

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アレクサンドル・カバネル 《ヴィーナスの誕生》1863年

マネの「草上の昼食」が「わいせつ」だと非難された時代、女性の裸体を描くなら「女神(ヴィーナス)」と言えば許されるのじゃ…という時に引き合いに出される作品(笑)
素直に美しくて、とてもエロティックな作品だと思います。まあこういう女性はあまりいないような気もしますが(苦笑)

ルフェーブル「真理」(1870年)という作品が同時に展示されていました。一糸もまとわぬ女性が真理の光(?)を掲げているのですが、傷一つない理想化された裸体は現実とはかけ離れた美で、「真理」もまた現実とはかけ離れた(あり得ない)というところでひっかけたのか?…ふと深読みしてしまいました。

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クロード・モネ《 草上の昼食》1865-66年
油彩/カンヴァス418×150 cm(左) 248.7×218 cm(右)

こちらは例のマネの「草上の昼食」に触発されたモネの「草上の昼食」。
でかい…分断されてしまったのは残念ですね。
マネの「草上の昼食」にタッチが近いですが、こっちは服を着てる(笑)作品としてというよりは、マネありきとして見てしまいますね。
参考 マネ「草上の昼食」

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フレデリック・バジール 《家族の集い》1867年

こちらも大きな作品、別荘に集う家族の肖像。
「何不自由ない富豪の家族には隠された秘密が…!?」とか「遺産を巡る骨肉の争いが…」とか、作品が好きかどうかより…何かに秘密がありそうな家、そういう想像ばかりがふくらんで困りました(笑)

集団を描いた作品ではクールベ「市から帰るフランジェの農民たち」に惹かれました。クールベの描く複数の人物画は、一見普通に見えて、なんとなく妙な空気が漂う…親しいようなそうでもないような、ちょっと困ってしまうような人物同士の距離感が面白い。

人物画では、肖像画的な作品も多い中、ドガ、モネ、ラトゥールなど…ドラマの場面を切り取ったような作品も。19世紀後半、人物画の過渡期でもあるのかなと思います。

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クロード・モネ 《かささぎ》1868-69年

たくさんの風景画の中でもっとも気にいったのはこれです。ノルマンディー地方の冬景色。
夜の間に降り積もった雪が朝日に融け始め、その水分を含んだ空気が冬の鋭い光を乱反射し、あたりは柔らかな光に満ち溢れる。そんな朝の一瞬のように見えます。

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クロード・モネ 《サン=ラザール駅》1877年

色彩を帯びた光や影が輪郭と入り交じる、まさに印象派らしい作品。
どこかとらえどころがない…ゆえに、あの向こうには何があるのだろう?こちらの想像をかき立ててきます。

風景画では、シスレーやピサロなどメジャーな作家がずらり。
セザンヌの風景画も素敵でした。「マンシーの橋」で描かれた緑はとても濃く豊か、この場所に立ってみたいと思いました。

動線のいい美術館でも休日は混み合います。それを押してもいく価値ある企画展だと思います。
様々な作品があり、気に入った作品もきっと見つかるのでは?

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Comment
ミレー
昔々、東京に住んでいた時に、ミレーの晩鐘を見ました。ミレーは好みの画家ではないので、有名だから見ておくか、みたいな感じで。でも絵の前で動けなくなりました。やっぱり名作と言われるものはそれだけのものがある、と姉と話したものです。あれ、何年前だろう。。。
>matieさん
> やっぱり名作と言われるものはそれだけのものがある、と姉と話したものです。

ですよねえ。
今回はメジャーな画家も多かったので、余計そう感じたのかもしれません。
「晩鐘」は実際見ると、透明感があって美しいと思いました。

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