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祝・英語版 早野 龍五、糸井 重里「知ろうとすること。」

2015年07月26日
「知ろうとすること。」翻訳が進んでいることは聞いていたのですが、いよいよ出版。英語版(Kindle用)がAmazonで買えます。





福島第一原発の事故後、情報が錯綜する中で、ただ事実を分析し、発信し続けた物理学者・早野龍五。以来、学校給食の陰膳(かげぜん)調査や子どもたちの内部被ばく測定装置開発など、誠実な計測と分析を重ね、国内外に発表。その姿勢を尊敬し、自らの指針とした糸井重里が、放射線の影響や「科学を読む力の大切さ」を早野と語る。未来に求められる「こころのありよう」とは。文庫オリジナル。

「知ろうとすること。」の感想は、書きそびれたままになってしまったんですが、福島で暮らす私にとって、大変共感できる内容でした。わかりやすく読みやすいので、たくさんの人に読んでほしいです。

原発事故後の福島には、原発や放射線の専門家、学者、医療関係者など、有名無名たくさんの専門家が入ってきました。
中にはただ不安をあおるコメントを連呼してテレビ出まくり、いつのまにかいなくなった…みたいな人もいましたが(汗)
今思うと、いろいろな方が入って来たのは、福島にとって良かったのだなと考えています。
国や東電の一方的な発表だけではわからないこと、疑心暗鬼、誰を信じていいかわからない、そんな頃でしたし。専門分野を背景に、様々なアプローチでデータを収集し、見解を聞くことが大事でした。

早野さんはそうした方の一人です。放射線の専門家として、事故後からTwitterでコメントを発表、早い時期から福島に関わってきました。
常にデータがあり、そして見えて来たこと、今後の見通し。
そもそも、原発の仕組みすらよくわかっていなかった私たちがいます。本書は、糸井重里さんの素人目線で話を聞くという流れ。これがわかりやすさですね。

そして、もう一つ大事なことは、データ上「大丈夫」と結論が出ても、心の不安をぬぐい去ることはできないということです。そこに根気よく応えていくことが、福島のこれからには大切になってきます。
その一つの象徴が、早野さんたちが開発した「ベビースキャン」です。

事故後の廃炉処理はまだまだ遠く、課題は山積み、事故も終わったとは思っていません。
…ですが、福島の人が毎日泣きながら暮らしているわけではないです(原発事故起きる前、福島の人は全員何の不安もなく、希望に満ちて幸せだった…なんてこともないわけで)
これは原発の賛否とは別です。
私たちは、生きていかなくては…と言うとちょっと大げさですが、一般的な日常を送っている。これらも暮らしていくわけです。
そしてその暮らしや未来は、できる限り明るく健康的なものにしたいわけですよ。それってあたりまえのことですよね?

原発事故の全てを網羅することは不可能ですし、異論もあるとは思いますが、原発事故後の福島はまだまだわかってもらえていないと日々感じています。
この本で、私たちのことが少しでもわかってもらえたらと思います。

一番読んで欲しいのは、福島は危険「触らぬ神に祟りなし」的に、全て遠ざけて、知ろうともしない人ですが、まあそういう人には、何を言っても無駄だろうなあ。
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「福島難しい・面倒くさい」になってしまったあなたへ
福島第一原発事故から4年経つ今も、メディアでは放射線の問題ばかりがクローズアップされている。しかし、福島の現実は今どうなっているのか、そして、福島の何を今語るべきなのか? 『「フクシマ」論』で鮮烈な論壇デビューをはたした社会学者・開沼博が、福島問題を単著で4年ぶりに書き下ろし。人口、農林水産業、観光業、復興政策、雇用、家族、避難指示区域……。福島を通して、日本が抱える「地方」問題をもえぐりだした一冊。


こちらも読んでだいぶたち、感想を書きそびれてしまいましたが、おすすめ。
社会学者の立場で見る福島、この本一冊で、福島の課題のかなりをカバーしていると言ってもいい。分厚くボリュームもあるので、手を出しにくいかもしれませんが、読みやすく、おもしろいです。
『福島を通して、日本が抱える「地方」問題をもえぐりだした一冊』という部分にも共感します。

観光、避難、被爆、復興予算、米、産業、人口減少など、テーマごとに25項目、きちんと整理されているので、気になる部分を集中的に読むにも最適です。
個人的に、福島の問題を考える時、コンテンツがヒントになるので、折に触れて引用させてもらおうかなと思っています。

本書も「知ろうとすること。」も、広い意味で、福島でよりよく暮らしていくことを目指しているわけですが、そうしたポジティブな内容の本に対し「なんらかの圧力」のようなものを匂わせるレビューをたまに見かけます。
なぜか、危ない、危険な内容の方が「真実」となるらしい。
どのような根拠でそうした発言をするのかわかりませんが、福島に住んでいる私には、この2冊は「よく言ってくれました」という気持ちです。
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福島第一原発の事故から3年半。福島で本来起こりえなかった、がんの増加が起こりかけているのはなぜか。
長期にわたる避難の弊害、マスコミの罪、原発の是非とエネルギー問題、さらには現代文明の未来についてまで考察した、原発問題を総括する一冊!
福島在住の作家、玄侑宗久氏との対談も必見。
放射線でがんは増えないが、避難でがんは増える!日本人はリスクを避けようとして、リスクに向かって突き進んでいる!


実は立ち読みだけなんですが、「放射線でがんは増えないが、避難でがんは増える!」の帯に、私は結構納得しました。
原発事故による健康被害は、当初考えられたものより、限りなく低いとされています。
ただ、事故直後は、最悪の事態を考えざるをえなかった。あれからいろいろなことがわかってきました。

中川さんは、避難による生活環境の変化やストレス、放射線への不安、自主避難のストレスや不安が、がんを増加させていると書いています 。
それも原発事故の被害に違いないのですが、放射線によるものとされてしまうのを(正しい知識が伝わらないのを)危惧しているようでした。
もっと早い段階に、正しい情報を伝えることができたのなら、避難は最小限で、不安も少なく、結果としてがんなどの病気の発症を少なくできたかもしれないと。

事故当時の混乱は、今となるとどうしようもなかったかなと思います。とにかく不安が満ち満ちて、パニックになった人もいました。あの状況で「心配ないです」と発言しても、誰も聞いてはくれなかったはず。

私は福島に住んおり、生活圏内には避難してきている方も住んでいます。
「福島の人に病気が多い、みんな体調不良」みたいなことを、未だに発言する方もいますが、そのような話は聞いたことがありません。
生きていれば、時には病気にもなりますし、避難者には高齢者が多いので病院の世話になっている方が多いですが、事故後極端に多くなったようには見えません。

私の超個人的な思いですが…
事故から1〜2年位までは、自分がもしがんになったら、原発事故のことを考えてしまうだろうなと想像していました。
時は流れ…今はそう思わないです。これから先、自分ががんになったとしても(日本人の2〜3人に1人ががんになる時代ですから可能性は大)原発事故による放射線の影響とは思わないでしょう。
この3〜4年、病気で亡くなった知人もいますが、放射線の影響等とはみじんも考えなかったです。

原発事故によって様々な問題が出てきました。
私の暮らす地域では、福島への根拠のない差別や偏見、悲劇の中に封印するかのような風潮で、大きなダメージを受けました。私から見て、放射線の実害より、そちらの傷の方が大きい。
そして、その傷が癒える見込みはたってなように思います。原発とは罪深いものです。

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