生誕200年 ミレー展 ―愛しきものたちへのまなざし

2014年11月12日
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生誕200年 ミレー展 ―愛しきものたちへのまなざし
2014年11月1日(土) – 2014年12月14日(日)
宮城県美術館
 ジャン=フランソワ・ミレー(1814-75)は、それまで絵画の主題とはなりえなかった厳しい農民の労働を見つめ、荘厳な農民画の世界を生み出した画家として知られています。その背景には、フランス初の風景画派の誕生の地となった、バルビゾン村の自然豊かな制作環境がありました。また一方で、幼い頃から育まれた自然に対する畏敬、身近な者への慈愛も、その作品を語る上で欠かすことのできない要素です。 
 家族や近しい人たち、大地と自然、そこに根ざして生きる人々や動物たちなど、ミレーは自らが愛情と共感を寄せたものたちをモチーフとし、温かさと尊厳を備えた作品を描きました。そこにはノルマンディーの寒村で過ごした子供時代のまなざしや、妻と共に9人の子を育てた父親としてのまなざしを感じることができます。
 ミレーの生誕200年を記念するこの展覧会では、画風を模索する初期の作品から、バルビゾン村移住後の名品まで、国内外のミレー作品約80点によりその制作の跡を追います。


「落ち穂拾い」や「種まく人」など、ミレーというイメージはすっかり出来上がっていますが、初期の作品から見ることで画家としての変遷もあり、新鮮な気分で鑑賞できました。

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《ポーリーヌ・V・オノの肖像》油彩・麻布 1841-42頃 山梨県立美術館

ミレーの最初の妻ポーリーナの肖像が3点。ありきたりな表現ですが、若く美しい妻への賛美、愛情があふれる作品でどれもいいです。
1枚目は瑞々しい肌とバラ色の唇が印象的。少女、聖女的な雰囲気。

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《青い服を着たポーリーヌ・オノ 油彩・カンヴァス 
1841-42年 トマ=アンリ美術館 

2枚目の肖像画は同じ時期のポーズ違い。こちらを見つめるまなざしがピュア、理知的な額、何事も見透かされてしまいそうな雰囲気もあります。指先が緻密に描き込まれています。

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《部屋着姿のポーリーヌ・オノ》1843-44年 油彩・カンヴァス トマ=アンリ美術館

結婚生活は数年、ポーリーナは若くして結核で亡くなります。死期が近いポーリーナは青白い顔で部屋着姿、妖精のような雰囲気。もう半分はあちらの世界に行ってしまっているような、この世の人ではなくなっていますね。

ミレーは2番目の妻カトリーヌの肖像画も描いていますが、こちらはたくましい、家事のシーンも多く丈夫で働き者!という雰囲気でギャップが…(汗)

ポーリーナの家族、オノ家の肖像画もあります。目元がポーリーナそっくりで、家族なんだなあ、当たり前ですが。すごく写実ってことです。
ポーリーナの肖像画を見ていると、大正期の夭折の画家の作品を見ているような錯覚が…というか、ミレーから多大な影響を受けたのは日本の若い画家たちの方ですね。
「犬を抱いた少女」という作品はまるでフラゴナールのような、こんなファンタジックな作品も若い頃は描いてたんですね。モデルは「故郷の親友の妻の連れ子の妹」…何じゃそりゃ?

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《刈り入れ》パステル・紙   1866-67年 ひろしま美術館

パステルですがけっこう大きい作品。下書きなのかもしれませんが、油彩と違って明るいタッチ、ミレーの筆遣いがわかって興味深いです。

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《種をまく人》1847-48年 油彩・カンヴァス ウェールズ国立美術館

「種をまく人」何枚もあるそうで、これははじめの頃の作品。
背景には牛、農作業のリアリティのある作品ですが、自分がよく知っている「種をまく人」とは全く違う。それくらい「種をまく人」はいわばアイコンとして認識しているのだなと思う。

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《牛に草を食ませる女》油彩・カンヴァス1857-58年 ブル王立修道院付属美術館   

シンプルなシルエットは「晩鐘」などに通じる作品、とてもミレー的。夕暮れのほの暗さが俗っぽさを打ち消し、静謐な美しさがあります。

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《落ち穂拾い、夏》油彩・カンヴァス 1853年 山梨県立美術館

子どもの頃は何も考えずに見ていましたが、落ち穂を拾わなくてはならない貧しい農婦を描いているんですよね。
ミレーが農民や牧童を描き始めた頃の作品は、労働や生活の悲哀がリアルに感じられるような気がしますが、後世に名作と評価される作品は、そういった感情や泥くささがすべて昇華され、神聖な作品になっている。
多くを語らず、美しく優しいまなざしだけがそこにあるような気がします。


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Comment
ご来仙?
ニルギリさん、こんにちは~

県美術館にいらしたんですか?水くさい…(笑)私はまだ見にいけてないのですが、来週あたりにと思っています。

今季は試合を見ていないので…すっかりご無沙汰しておりましたが、ニルギリさんの撮られたお花の写真を見にいつもお邪魔はしておりました。美術関係の記事も楽しみにしております。

余談ですが…XOIは24日に観にいきます。楽しみですね~
>MIeさん
仙台は、前日の夜急きょ行こうと思い立って(笑)
仙台は人が多いけれど、美術館は意外と混んでなくてゆったり見られて良かったですよ。

XOIいらっしゃるんですね。私は23日にまいります。
どんなショーになるかさっぱりわからないですが楽しみですよね!

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