飛騨の円空 千光寺とその周辺の足跡

2015年02月17日
飛騨の円空 千光寺とその周辺の足跡
2015年1月27日(火)~4月5日(日) 
福島県立美術館
s飛騨の円空展オモテ
 江戸時代前期、美濃国(現在の岐阜県)に生まれた僧、円空(1632-1695)は、近畿から北海道まで諸国を巡って造仏修行に励み、各地に5,000体以上の仏像を残しています。今回は円空ゆかりの飛騨・千光寺を中心に、岐阜県高山市所在の円空仏100体あまりを展示します。震災復興支援として開催される本展では、素朴で慈愛に満ちた円空仏の魅力をご紹介します。

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金剛力士(仁王)像 吽形(千光寺)

大木がそのまま金剛力士に化身したような。木の節、曲がりもそのまま、というより金剛力士のために木があったのかもと思うくらい。とても迫力あります。
仏像制作の既成概念をふきとばす「地面に生えたままの立木を彫刻した像」。根元が朽ちてしまい、今から150年ほど前に切り取られたそうですが、現状でも2m。

円空の肖像画がありました。がっちりとした顎、横幅のある鼻、なるほど作品は自分に似た顔になるのだなあと思う(笑)

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中央が不動明王立像

円空の多くの作品が、丸太を縦に二つ割り、四つ割りし、最小限のノミ入れで製作されています。作品によっては、まるたを彫刻するトーテムポール、アフリカ美術の彫像のようにも見えます。
ノミの彫りがそのまま、未完成のようにも、稚拙なようにも見える円空、実際目の前にすると、存在感は半端なく、荒々しいノミの跡も個性にしか感じられません。

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三十三観音立像(千光寺)

丸太の二つ割り、四つ割りは、丸木を無駄なく使い、多くの仏像を作るため、最小限のノミ入れで目鼻、頭と胴、合掌を表現するのは、多くの仏像を手早く仕上げ、たくさんの人に配る(貸し出す)ためだったらしい。
家族が病気になった時、不幸な出来事があった時、仏を借りて自宅に持ち帰り心のよりどころとしたらしい。

取り上げられる機会も多いし、人気もあるしで、円空の作品は知識として知ってはいましたが、実際に間近で見ないと良さはわからないものだと思いました。
円空の仏は、信仰に根ざした暮らしに必要なものとして製作されたものであり、信仰されることによって仏が宿る?仏像として育つ?…そんな気もします。
身近にあってこそ価値がある。仏像としてのクオリティや高い技術、豪奢な作りを世に知らしめるものではないんですね。

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柿本人麿坐像

ゆったりくつろぐ人麿像。足を崩しリッラクス、表情も穏やかで、見てるこちらもリラックスできます。

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賓頭盧尊者坐像(びんずるそんじゃざぞう)

微笑みがなんともかわいらしい僧。円空が愛される訳がわかりますね。

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右は迦楼羅(かるら)または鳥天狗(からすてんぐ)立像

名称がはっきりしないこれは、火難除けの神、秋葉権現かもしれないという。
鳥の頭がユニーク、これも円空。どこかの民芸品のようでもある。

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左から聖観音菩薩立像(清峰寺)、千手観音菩薩立像(清峰寺)、龍頭観音菩薩立像(清峰寺)

円空の多くの作が一本彫りですが、この千手観音の脇手は別材。
初期の作品は、ノミの跡もなく木肌も滑らか、時を経て荒々しいまでの仏を作るようになったんですね。

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両面宿儺坐像(千光寺) 部分

ポスターにもなっている両面宿儺坐像(りょうめんすくなざぞう)「『日本書紀』に登場する異形の飛騨の怪物、1つの胴体の前後に2つの顔、4本の手足を持つ」
強い意思、頑健な体つき、一つの作品として堂々とした彫像です。ゴツゴツとしたノミの一彫り一彫りに無駄がない。
一見稚拙?思える円空ですが、この作品、横顔を見れば、彫刻家としての力量がよくわかります。

私は音声ガイドを借りることは、ほとんどないのですが、仏教美術に自信がないこともあり、今回は借りてみることに。というか、ナレーターが井浦新さんだからですね(笑)彼の日本美術に対する情熱は日曜美術館でよくわかっていたので。
音声ガイドを使ってみて…展示の解説プレートを近くまで行って読まなくていいのは楽ですが、なんとなくTVをナレーション付きで見ているいるような錯覚が(汗)
正しい知識(解説)は大事なことですが、その場その時だけにしかない「作品と自分の対話」という点では、なくてもいいかなという気もします。先に解説が刷り込まれ、「なんだこれは?」とか、怖い、キモい、一目惚れとか、その人の経験からくる印象とか…そういう個人の対話をせばめるという意味で。
理想は、2回目を見るときは音声ガイドがいいかもしれない(苦笑)

参考 東京国立博物館140周年 特別展「飛騨の円空―千光寺とその周辺の足跡―」

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