マグリット展

2015年05月06日
Rene-Magritte.jpg
《ゴルコンダ》 1953年

マグリット展
2015年3月25日(水)~6月29日(月)
国立新美術館 
ルネ・マグリット(1898-1967)は、ベルギーの国民的画家であり、20世紀美術を代表する芸術家。言葉やイメージ、時間や重力といった、私たちの思考や行動を規定する“枠”を飛び超えてみせる独特の芸術世界は、その後のアートやデザインにも大きな影響を与え、日本でも高い人気を誇ります。日本におけるマグリットの展覧会は、1970年代以降何度か開かれてきましたが、本格的な回顧展は2002年以来、実に13年ぶりとなります

fc2blog_20150418234735755.jpg
《大家族》

マグリットをまとめて見るのははじめてです。
日本では「大家族」はじめ美術の教科書に載っていて、とても人気がありますが、実は世界的評価はそれほどでもないよ…みたいな話も聞いたことがあります。正直言えば、見てがっかりしたりして…という不安がありました。
ところがこれが、おもしろい、内容も充実していてとても良かったです。
見るかどうか迷っている方がいたら、見て後悔はしないはず、保証します。

03a125_20150427173024371.jpg
《恋人たち》 1928年

お互いを見ているようで見えていない、現実の恋人同士なんてそんなもの…といったところか?
ミュージアムショップでこの複製画が完売していて入荷待ち、現代の世相にフィットするものがあるのでしょうか。

1925年ごろ、抽象画からシュルレアリズムへ移っていったきっかけは、キリコやエルンストだったらしい。初期の作品も展示され、画家としての変遷がわかります。
作品に登場する男性の顔はどれもマグリット本人に似ています。そして代表作の中の人物像は、ポスターにもなっている「ゴルコンダ」などもそうですが、現実と乖離して存在しているように見えて、それがマグリット自身が社会に感じていたことなのかなとも思う。
大きな鈴、馬、青空、花、いずれもマグリット本人にとって意味のあるものなのだなとわかります。

fc2blog_20150419201344cf3.jpg
《絶対の探求》

どのような意図かは置いておいて、おもしろい作品だなと思います。
マクロもミクロも同じパターンを繰り返す、この世はフラクタルな世界なのかな。

15mag1.jpg
《白紙委任状》 1965年

「白紙委任状」とは、最終的には、自分に好きに出来るということらしい。
作品に関連が見えにくいタイトルが多いです。
多くの作品にマグリット本人による言葉(解説)…しかも長文が添えられていますが、わかるようなわからないような、何を言っているのいるのか理解できない言葉多数(汗)
画家(表現者)であるならば、作品にそのもので勝負すべきで…まあ、それが一般的な考え方だろうと思います。タイトルや長々とした解説で作品を補完していることが…もしかしたら、彼の評価に微妙な影を落としているわけのようにも感じます。
ただ、作品を前にすると、そんな理屈より作品の魅力、美しさに気をとられます。

10highlight_w10.jpg
《光の帝国Ⅱ》 1950年

街は夜、空は昼。ありふれた世界の中の違和感。
空がなんとなくすてきで、逆光ならばこのような風景はあるかもと、違和感なく見てしまいました。

20150406204446.jpg
《ガラスの鍵》 1959年

シュールな風景も洗練され、バランスがあり美しい。
シュールを感じ取る前に、私はマグリットのブルー、青空が相当好きなんだなと、今回と改めて思いました。

highlight_w16.jpg
《空の鳥》 1966年

Twitterじゃありませんよ(笑)
空と鳥が同じ画面に描かれることは、ごく普通の風景。空に鳥がいるのだから、鳥が空になってもいい…鳥が青空になったとたんありえない風景になる。

マグリットにとって、人間の条件は『見えるもの全ては自分の中にあるもの』つまり人は、心の中にあるものしか見えないということでしょうか?
代表作「大家族」は、空と海はこの世界の全てを含んでいるのだから「大家族」で正解?まあ、そんなことより青空に惹かれましたが(笑)

fc2blog_2015041823481283f.jpg
《アルンハイムの地所》

この作品も空や鳥の頭をした雪山のブルーが美しくてうっとり見とれてしまう。

戦時中の「ルノワールの時代」の作品など、普通っぽく美しい女性像があったり、これまで知っていたマグリットとは毛色の違う作品もあり、興味深かったです。
不器用に見えて意外と器用かも?後半生はダリの影響もあるんですね。
いずれにしても、マグリット壮大な理屈大会であり、全体像が見える、充実のマグリット展でした。

関連記事
アート・美術館 | Comments(2) | Trackback(0)
Comment
恋人たち
バラエティーに富んでいますね。知ってる絵が多いけれど、作者のことは良く知りませんでした。

この「恋人たち」の複製画が売り切れ?この絵、こわいよ~。こんなの飾れないよ~。
>matieさん
私たちの世代だとおなじみですよね。マグリットの人物像については私もよく知らなくて、今回の企画展でも深く知った感じはしないですけどね。理屈っぽいのは間違いない(汗)

「恋人たち」がなぜ人気があるのか?ムンクの「叫び」が人気があるのに近い感じかな?
あ、日本だけかな?(笑)

管理者のみに表示