ルーヴル美術館展

2015年05月04日
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ティツィアーノ「鏡の前の女」1515年頃

ルーヴル美術館展
2015年2月21日(土)~6月1日(月)
国立新美術館
この度、パリのルーヴル美術館のコレクションから厳選された83点を通して、16 世紀から19 世紀半ばまでのヨーロッパ風俗画の展開をたどる「ルーヴル美術館展 日常を描く―風俗画にみるヨーロッパ絵画の真髄」を開催いたします。 「風俗画」とは、人々の日常生活の情景を描いた絵画です。そこには、家事にいそしむ召使い、物乞いの少年、つましい食卓につく農民の家族、庭園に集う貴族の男女など、身分や職業を異にする様々な人々の日常がいきいきと描写されています。一方で、風俗画には必ずしもありのままの現実が描かれているわけではありません。日常の装いのなかに、複雑な道徳的・教訓的な意味が込められていることもあります。これらを読み解いていくことも、風俗画ならではの楽しみといえます。 本展には、17世紀オランダを代表する画家、フェルメールの傑作《天文学者》が初来日するほか、ティツィアーノ、レンブラント、ルーベンス、ムリーリョ、ル・ナン兄弟、ヴァトー、ブーシェ、シャルダン、ドラクロワ、ミレーなど、各国・各時代を代表する巨匠たちの名画が一堂に会します。 膨大なコレクションを誇るルーヴル美術館だからこそ実現できる、時代と地域を横断する、かつて例を見ない大規模な風俗画展。ヨーロッパ風俗画の多彩な魅力を、是非ご堪能ください。

膨大なルーヴルのコレクションから、今回のテーマはヨーロッパの風俗画。
16世紀のヨーロッパでは、絵画にランク付けがあり、もっとも最上位にあるのが歴史画、続いて肖像画(貴族など身分の高い人)、風景画、静物画、風俗画の順だとか。庶民の暮らしを描いた風俗画は最下位の位置付けなんですね。

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ボージャン「チェス盤のある静物」

マンドリンの質感や光がいいですよね。ただひたすら美しいと思って鑑賞しますが…
「触覚(トランプ、ビロードの巾着、チェス盤)、味覚(パン、ワイン)、嗅覚(花)、聴覚(マンドリン、楽譜)、視覚(鏡)といった具合に「五感」と関連づけられます」
絵画は個性の発露ではなく、なんらかの目的や理由付けがあるのが17世紀頃のヨーロッパ。というか、それが美術の原点か。
当時は狩の獲物など、食べ物を描いた作品も多いですね。豊かなイメージを飾りたいという意味や、写真のような記録(自慢)の意味もあるのでしょう。

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レンブラント 「聖家族」、または「指物師の家族」 1640年

レンブラントならどんな作品もじっくり見たいと思う。琥珀色の夜の灯がレンブラントらしい。
聖家族を庶民の暮らしとして描いた作品。

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バルトロメ・エステバン・ムリーリョ 「物乞いの少年(蚤をとる少年)」 1647-48年頃

美術の教科書などで子どもの頃から見慣れている有名な作品。親のない子どもが路上にあふれていた17世紀のセビリヤの現実を描いている。子どもの頃は何も考えず上手い絵だと思ってましたが…大人になった今の自分が、そのような背景を知ってから見ると、リアルに想像できて切ないですね。

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ジャン=バティスト・グルーズ 「割れた水瓶」1771年

かわいらしいお嬢さんの肖像画ですが、なんかおかしい。
はだけたドレス、白いドレスもくすんでいるような…。割れた花瓶は処女喪失(とその罪と代償)を意味し、その教訓のための「道徳画」らしい(汗)

当時の風俗画は、道徳を説く内容が多いのだなとわかります。
台所仕事をする女性の絵も多く、家事や育児がパーフェクトにできるのが当時の理想の女性、教科書みたいな目的なんですね。
一方、金貸し、怪しい占い師と詐欺師、トランプに興じる人々、抜歯屋、酒場のリアルな作品も多数。美しさや楽しさとは遠い、これらの絵を飾るのかなと想像すると…むむむ。

展示は6章に分かれ、それぞれにテーマがあります。
第3章は「雅なる日常ー日常生活における恋愛遊戯」としていますが、多くの作品は、娼婦と客を描いた作品などで、この場合「恋愛」か?と疑問が…それとも、これが恋愛という解釈が当時の常識だったのだろうかとという疑問が。

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フランソワ・ブーシェ 「オダリスク」 1745年(?)

美しい色彩、女性の白肌、ブーシェらしい作品。
万事禁欲的なオランダに対しフランスは違うねえ、色っぽいねえ(笑)
しかしこれは風俗画じゃないと思う。

ポスターにもなっているティツィアーノ「鏡の前の女」は、16世紀のヴィネツィアの美人画、ふくよかな白肌が当時のモテ条件。美人ははかなさの象徴でもあったらしい。
そんなすてきな美女の絵もあれば、ノミを取る女性もあり(汗)

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ヨハネス・フェルメール 「天文学者」1668年

今回の目的はやはりフェルメール。
地球儀に手を伸ばし、1人想像の世界に没頭する学者、窓からの光が学者と手元に差しドラマチック。閉じた空間が完璧な世界になっていますね。この空間に魅了されます。
日本のどてら着ていたり、背景や小物など、いろいろなところに意味があるらしいのですが、ぱっと見た時の世界観や絵画としての美しさに理由はいらないと感じます。

じっくり見ているうちあれこれ考えます。
「天文学者」は庶民の風俗画という気はしない(笑)ここまでのラインナップからすると別世界感がすごいので。
普通の人を庶民とするなら、この『天文学者」は美しきオタクだろうか?室内で1人、想像をめぐらしていることもあり、日常的な暮らしの匂いがしないのです。

後半の画家を取り上げた最終章、コローのアトリエ、素描する青年なども素敵でした。
今回の企画展、おもしろい作品、見所もたくさんありますが、個人的な感想ですが、全体を通してみると、テーマづけもよくわからないし、まとまりない印象は否めないです。
風俗画というくくりでできること、線引きが難しいのかもしれませんね。

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