生誕三百年 同い年の天才絵師 若冲と蕪村

2015年05月02日
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生誕三百年 同い年の天才絵師 若冲と蕪村
2015年3月18日(水)~5月10日(日)
サントリー美術館 
正徳6年(1716)は、尾形光琳(おがたこうりん)が亡くなり、伊藤若冲(いとうじゃくちゅう)と与謝蕪村(よさぶそん)というふたりの天才絵師が誕生した、江戸時代の画壇にとってひとつの画期となりました。
伊藤若冲(享年85、1800年没)は、京都にある青物問屋の長男として生まれ、23歳の時に家業を継ぎますが、30代中頃には参禅して「若冲居士(こじ)」の号を与えられ、40歳で隠居して絵を描くことに本格的に専念します。
一方、与謝蕪村(享年68、1783年没)は、大坂の農家に生まれ、20歳頃に江戸へ出て俳諧を学びます。27歳の時、俳諧の師匠の逝去を機に、北関東や東北地方をおよそ10年間遊歴します。その後40歳頃から京都へうつり俳諧と絵画のふたつの分野で活躍しました。
若冲は彩色鮮やかな花鳥図や動物を描いた水墨画を得意とし、蕪村は中国の文人画の技法による山水図や、簡単な筆遣いで俳句と絵が響き合う俳画を得意としていました。一見すると関連がないようですが、ふたりとも長崎から入ってきた中国・朝鮮絵画などを参考にしています。
本展覧会は、伊藤若冲と与謝蕪村の生誕300年を記念して開催するもので、若冲と蕪村の代表作品はもちろん、新出作品を紹介するとともに、同時代の関連作品を加えて展示し、人物、山水、花鳥などの共通するモチーフによって対比させながら、彼らが生きた18世紀の京都の活気あふれる様相の最も輝かしい一断面をご覧いただきます。


期間中6回の展示替えがあり、見られない作品もりますが、展示数は多く大変見応えがありました。
私が見たのは4月19日、中盤の頃ですね。

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‘双鶴・霊亀図’ 伊藤若冲(18世紀)

何と言っても若冲、ここ数年見る機会が多くありましたが、まだまだ作品があり、若冲の多彩さを堪能できます。
双鶴・霊亀図では、鶴のユーモアが感じられる丸々とした輪郭に猛禽類のような鋭く冷たい目つき、いかにも若冲らしい。霊亀の尾のにじみに生命が宿っている感じもすごい。
葡萄はやっぱりうまいなあ。隠元豆やかぼちゃのような植物を描いた小品もしゃれているし、子犬の作品も楽しい。
どーんとした迫力の達磨図も見られると思っていなかったでよかった。

黒々と光沢のある尾羽、華やかな羽、おなじみ鶏や鶴を描いた極彩色の作品も。
以前TVで取り上げられた代表作「動植綵絵」の中で、真っ白な鳳凰や孔雀の、その白さがとても気になっていたのですが、今回同じ技法と思われる白鶴を描いた作品があり、じっくり見られたのはうれしい。
白は今も純白、色あせるというのは「白」という色に対し変ですが、白が生命力と瑞々しさを保っていたことが印象に残りました。
「動植綵絵」

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奥の細道画巻(部分)与謝蕪村筆  一巻(18世紀)
【展示期間】4/15~5/10

蕪村については実は注目したことがなく、俳人であり、そこから派生した俳画、文人画というイメージがありました。
挿絵とはいわないけれど、上の作品のような、リラックスした筆運びの小品、マンガチックな印象。(芭蕉リスペクト多数)
今回は大作も多く見応えありました。私が持っていた蕪村の印象を変えるものとなりました

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重要文化財 富嶽列松図 与謝蕪村筆 一幅 18世紀【展示期間】4/15~5/10

力強くもデザイン的なこの作品も蕪村。

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山水図屏風 与謝蕪村筆 六曲一双のうち右隻 天明2年(18世紀)【展示期間】3/18~5/10

蕪村の作品でもっともインパクトの強かった作品がこちら、六曲一双、68歳で亡くなる前年に完成した最晩年の大作。銀箔に水墨画、あちこちに淡彩が見られます。
きらきらと画面全体から光が発せられているような、幻想的な風景が広がっています。箱庭のようで、引いてみると雄大な世界が広がる。アナザーワールド、ファンタジーぽい。
金箔のような華やかさとはちがって銀箔渋いです。また、見る角度によって光線が変わるような感じ、ずっと見ていても飽きません。
この作品だけでも、ここに来た意味あると思いました。
この日の展示にはありませんでしたが、重要文化財「鳶・鴉図」も猛烈に見たくなりました。

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象と鯨図屏風 伊藤若冲筆 六曲一双 寛政9年(18世紀)【展示期間】3/18~5/10

でた若冲の象!あり得ない感じの象(笑)どこから見ても若冲ですね。背中の牡丹がかわいい。
ユーモラスな動物にも、凶悪キャラのようにも見えて、やはり若冲は楽しい。
そしてクジラは、大きさを感じさせる背中、シンプルに描いた潮吹きが空の大きさを感じさせていい。

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伊藤若冲作『乗興舟(じょうきょうしゅう)』(18世紀)

版画の様でちょっと違う。漆黒が印象的なこれは「拓版画」という技法らしい。派手な作品ではないです。
別な世界、とどかない遠い世界のような感じ、黙っていてもずばっと入ってくるのが若冲ですが、ずいぶん地味な作品のようにも感じます。
展覧会を見てしばらくたったころ「美の巨人たち」で取り上げられ、なるほど…と。若冲としても異色の作品だったんですね。
美の巨人たち 伊藤若冲『乗興舟』 テレビ東京・BSジャパン
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