リバプール国立美術館所蔵 英国の夢 ラファエル前派展

2016年01月06日
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ジョン・エヴァレット・ミレイ《いにしえの夢─浅瀬を渡るイサンブラス卿》1856-57年 

リバプール国立美術館所蔵 英国の夢 ラファエル前派展
2015年12月22日(火)〜2016年3月6日(日)
Bunkamura ザ・ミュージアム
ロセッティ、ミレイ、ハントらがラファエル前派を結成し活躍した19世紀中頃のリバプールは、造船業や様々な工業によって、また工業製品を輸出する英国随一の港町として大変栄えていました。リバプール国立美術館は、リバプール市内及び近郊の3美術館などの総称で、ラファエル前派の傑作を有する美術館として世界的に知られています。本展では、リバプール国立美術館の所蔵品から、ラファエル前派及びその継承者たちの油彩・水彩など65点を紹介し、近代における英国美術の英国らしさを「英国の夢」をキーワードに浮き彫りにしていきます。

リバプール国立美術館…なかなか見る機会が少ないかも。
ラファエル前派はドラマの一場面、ストーリーを想像させる作品が多くて、とても楽しいです。
登場人物の目線、衣装、背景にも意味があり…あるいは意味深?見ていると、あと引く感じもあります。
特にミレイはドラマチック、《いにしえの夢─浅瀬を渡るイサンブラス卿》この馬上の二人はどんな関係なのだろう?卿が少女を救い出したのだろうか?それともどこかへ送り届ける重要な役目をおっているのだろうか?…などなど、いろいろ想像してしまいます。

少女から、乙女、女神から、いろっぽい女性まで、美女多数!モチーフが堕落した女性であっても、やはり美しい。人物だけでなく背景の豪華さ、衣装のドレープや折り重なる布の質感、花は花弁が透けるような繊細な表現なども見所。
とにかく美しい作品が多いのもラファエル前派の楽しみな部分ですね。
ケイト・グリナウェイ、めずらしいラスキンの風景画など、小さい作品も逃せないです。
美しく豪華な挿絵の本を、順繰りめくっていくような企画展でした。

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ジョン・エヴァレット・ミレイ《春(林檎の花咲く頃)》1859年 
描かれているのは妻やその妹たちなど身近な人々で、各人物の将来が顔や物腰に象徴的に暗示されています。

モデルはミレイの妻の妹達。
見たとたん、私は「若草物語」を連想しましたが、女性達のそれぞれの行く末、個性という意味では外れていないような気がします。
りんごの花がとてもリアル(身近な花なのでよく知っています)で美しい。

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ジョン・エヴァレット・ミレイ《ブラック・ブランズウィッカーズの兵士》1860年 

兵役か前線に送られる恋人との別れだろうか?
ドレスの光沢が見事でじっくり見ました。

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ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ《シビラ・パルミフェラ》1865-70年 
超越的な「美」の偶像として描かれた玉座に座る女性単身像。シビラ・パルミフェラとはヤシを持つ巫女のことで、ヤシは美の勝利を表します。左側には愛を象徴する目隠しされたクピドと薔薇、右側には死の運命を暗示するポピーと頭蓋骨、そして魂の象徴である蝶が描かれています。

これぞ「ロセッティ顔」。近寄りがたい超越的な「美」。
彫像のような感じをうけます。

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ローレンス・アルマ=タデマ《お気に入りの詩人》1888年

ローマ時代の設定で描くタデマ。失われた楽園という感じかかな。
緻密で豪華な舞台設定でも、女の子たちのリアルな恋バナが聞こえてきそう。

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エドワード・ジョン・ポインター《テラスにて》1889年

映画の1シーンのような。

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アルバート・ジョゼフ・ムーア《夏の夜》1890年

半裸の女性達はセクシーなようで、近寄りがたい女神たちのようにも見えます。それにしてもゴージャズな雰囲気。
装飾的でギリシャ・ローマ時代のレリーフにありそうな構図。

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ウィリアム・ヘンリー・ハント《卵のあるツグミの巣とプリムラの籠》
1850-60年頃 水彩、グワッシュ・紙
鳥の巣や卵を描いた静物画で名声を獲得し、「鳥の巣のハント」と呼ばれた画家の典型的な作例です。

巣にそっと手を伸ばして卵に触れてみたい。
どうやったらこんなに描けるのか?という緻密な水彩画。

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エドワード・コーリー・バーン=ジョーンズ
《スポンサ・デ・リバノ(レバノンの花嫁)》1891年
水彩、グワッシュ・紙
『旧約聖書』の「雅歌」を主題とする3mを超える水彩画の大作。花嫁の両側には純潔の象徴である白ユリが咲き、空中には北風と南風の擬人像が女性の姿で表されています。虚ろな眼差しの花嫁には、この画家の作品にしばしば見られる、愛の体験がもたらす喜びと悲しみの情趣が漂っています。

とても大きな作品。これが水彩画とは!よく見ると紙をつないでいることがわかります。
運命に翻弄されるかのようなダイナミックな風の表現がすごい。

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ジョン・ウィリアム・ウォーターハウス《デカメロン》1916年
10人の若い紳士淑女が1人1話ずつ、10日にわたって100の物語を紡ぐボッカッチョの『デカメロン』。美しい庭園で物語に耳を傾ける男女が描かれていますが、どの物語が語られているのかを示すヒントは与えられていません。判断のすべてが鑑賞者の推測に委ねられている唯美主義の傑作です。

デカメロンを知らなくとも、これはどんな場面なのだろうと想像してしまいますね。
女性達の表情、仕草、衣装、立ち位置、説明的でないところがかえって後をひく。

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ジョン・ウィリアム・ウォーターハウス《エコーとナルキッソス》1903年
ギリシャ神話の美青年ナルキッソスと彼に恋する「こだま」の妖精エコーの物語。ナルキッソスは泉に映る美しい若者が自分の姿とは知らず魅了されてしまいますが、エコーはその傍で彼の言葉をただ繰り返すことしかできません。

わりと有名なナルキッソスの物語。エコーがキュートな魅力で切ない、応援したくなります。

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Comment
ラファエル前派
こんにちは。
私も『ラファエル前派 英国の夢』展を見てきましたので、作品のご紹介読ませていただきその絵画の美しさが再び目に浮かび、ラファエル前派展』展を追体験することができました。今まで見たことのなかったミレイの『春(林檎の花咲く頃)』やウォーターハウスなど『デカメロン』の多くの美しい作品やバーン=ジョーンズの『スポンサ・デ・リバノ(レバノンの花嫁』などの個性的な作品にも魅了されました、今まで見たことのなかった英国の美しい唯美主義的作品をたくさん感傷できてよかったと思いました。

『ラファエル前派 英国の夢』展から印象に残った作品について感想と画家の魅力とラファエル前派という美術運動が何だったのか考察してみました。読んでいただけると嬉しいです。ご意見・ご感想などコメントをいただけると感謝いたします。

>dezire
コメントありがとうございます。
見応えのある、すてきな展覧会でした。


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