没後20年 ルーシー・リー展

2016年02月10日
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没後20年 ルーシー・リー展
郡山市立美術館
2016年1月16日(土曜日)~3月21日(月曜日)
没後20年 ルーシー・リー展|展覧会について
ルーシー・リー(1902 ~1995)はウィーンに生まれ、のちにロンドンに移住し活動した陶芸家です。ルーシー・リー様式ともいうべきモダンかつ情緒豊かな器物型スタイルを打ち立て、世界的に高く評価されました。イギリスでも芸術分野の発展に大きく貢献したと評価され、1991年、大英帝国勲章を受章しました。
1920年代から30年代にかけて、ウィーンの工業美術学校で学び、ウィーン工房のヨーゼフ・ホフマンら、当時の一流デザイナーの薫陶、影響を受けました。38年、ロンドンに移住すると、当時のイギリス陶芸界を代表する陶芸家、研究者、画廊主などの評論、アドバイスを積極的に吸収し、ウィーン時代に学んだウィーン工房様式、バウハウス様式、バーナード・リーチ様式、さらにはギリシャ様式、中国・韓国の古典的陶磁器様式などを幅広く学び、自己のスタイルを打ち立てていきました。
またウィーン時代から60 年代にかけて精細で大がかりな釉薬実験を繰り返し、これまでになかった釉色を数多く開発しました。ルーシー・リー様式を考える上で、切り離せないモダンで情緒豊かな色感を作り上げました。
ルーシー・リースタイルの特徴は、たおやかな曲線を描く美しいアウトラインを持つ碗型と鶴首とも称される細く長い首部を持つ花瓶型に大別されます。
今回の展覧会は、そのスタイルが形成されていく過程で作られたさまざまな様式の変貌、そして大成されたルーシー・リー様式の魅力を約200点の作品で紹介する、ルーシー・リーの全貌展です。


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《陶製ボタン》 1940年代

裕福なユダヤ系の家に生まれたルーシーは、ナチス・ドイツのオーストリア併合より、1938年ロンドンに避難。
イギリスでは無名、創作活動も難しい頃、経済的に支えたのが陶製ボタンだったらしい。たくさん展示されていました。バラエティ豊か、大ぶりでインパクトのあるデザインは、洋服を選びますね。
1980年代、三宅一生はルーシーのボタンに着想を得てデザインしたという。その後はボタンの価値が上がってしまって、簡単に洋服に使うこともできなくなったと三宅さんは話していますが、今、当時の洋服を持っていたら、コレクターアイテムですね。

1946年、ルーシーの工房にハンス・コパーがきて、テーブル・ウェアを制作。
私はルーシーよりハンス・コパーの方を知名度が上だと思ってましたが、どうなんだろう?
コパーとは当時の売れ筋商品のテーブル・ウェアを作っていたらしい。こういうふうに、経済的に自立していることが大事なんですよね。

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《溶岩釉鉢》 1970 年頃

不純物を混ぜてごつごつした風合いを出したり、釉薬や制作方法で研究熱心だったらしい。こういう風合いは日本にありそうでないかも。
そして器のシルエットは西洋的なボウルの形に見える。モダンデザインの世界ですね。

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《青釉鉢》1980年頃 

マットな青がすてきでした。
陶芸というと、私はすぐさま日本をイメージしてしまいます。
ルーシーの作品はシンプルで、日本の陶芸に通じるものがあるなと、見始めて思うのですが、見れば見るほど、その世界に入って行けば行くほど、日本の陶芸とは違うものだなとわかってきます。
細い高台、繊細なラインは、これしかない…ルーシーが極めたラインなんだと、だんだんとわかってきます。

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《ピンク線文鉢》1980年頃

鮮やか色もルーシーの特徴。このピンクはとてもきれいでした。クロムの成分らしい。
公式サイトには「ウィーン時代から60 年代にかけて精細で大がかりな釉薬実験を繰り返し、これまでになかった釉色を数多く開発しました。」とあります。

細い線描き、水色、淡いピンクや黄の鮮やかな色合い、繊細なシルエットや優美な曲線は、言葉にすると女性的ですが、独特の緊張感があります。アーティストとして譲らない美意識の到達点、凛として甘えを許さない感じを受けます。
白い器もとても美しかった。李朝の白磁のような。

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(左)《スパイラル文花器》 1980年頃 
(右)《線文花器(赤)》 1974年頃 

花器はパーツを轆轤で挽いて継ぐ「コンビネーション・ポット」という制作方法。
スパイラル文花器では、カプチーノ泡のような…何かが浮かび上がっては消えていくような…。口の部分の揺らぎが有機的で、なんとも言えないおもしろさ。シャンピニオンの堅いとこにも似てるが(笑)。
線文花器は古典文様のような、遺跡から出土しそうなデザイン。
長く伸びた首、ルーシーの花器はどれもほっそり美しい。ハイヒール履いたお嬢さん的。

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《緑釉鉢》1980年頃

光沢のある金、黒いブロンズ釉、緑のバランスが日本にはない感じ。
某有名鑑定家なら「ヨーロッパの黒い森(シュヴァルツヴァルト)を思わせるいい景色ですねえ…」とかなんとか言うのだろうか?(妄想)
小さな器の小宇宙、その点は、器の名品全てに共通するものがありますね。

会場の最後にルーシーを取材した短いドキュメンタリー。
おお〜デビット・アッテンボローがインタビュアーなんだ。彼はルーシーの熱心なコレクターらしい。

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