FC2ブログ

レオナルド・ダ・ヴィンチと「アンギアーリの戦い」展

2016年05月21日
326x458.jpg

レオナルド・ダ・ヴィンチと「アンギアーリの戦い」展 特設サイト
レオナルド・ダ・ヴィンチと《アンギアーリの戦い》展(宮城県美術館)
2016年3月19日〜 5月29日
宮城県美術館

レオナルド・ダ・ヴィンチの未完の大壁画計画《アンギアーリの戦い》は、今も多くの謎と痕跡を残しています。同壁画はイタリア・ルネサンス美術の歴史の中でも、最も野心的な装飾計画のひとつとされています。シニョリーア宮殿(現パラッツォ・ヴェッキオ)を舞台にレオナルドとミケランジェロが戦闘画において競演したエピソードは大変有名ですが、レオナルドの壁画と同じ広間に描かれるはずだった《カッシナの戦い》についてもミケランジェロの原寸大下絵に基づく模写によって知ることができるのみで、その計画の全貌はいまだ明らかにされていません。レオナルドはこの壁画を完成させることができませんでしたが、部分的に描かれた壁画はその後、半世紀以上のあいだ人々の見るところとなりました。しかしその壁画は、最終的に1560年代にジョルジョ・ヴァザーリの新たな壁画装飾によって覆われてしまいました。それでもレオナルドの作品は、激烈な戦闘場面を描く絵画表現の新しい基準を確立し、その後に続く世代の芸術家たちに大きな影響を与えることとなったのです。
本展のメイン作品は、失われたレオナルドの壁画の中心部分をなす「軍旗争奪」の戦闘場面を描いた、日本初公開の《タヴォラ・ドーリア(ドーリア家の板絵)》として知られる著名な16世紀の油彩画です。本展ではさらにミケランジェロが構想した壁画の原寸大下絵を模写した、同じく日本初公開の16世紀の板絵《カッシナの戦い》が出品されます。原作が失われた二大巨匠の壁画が、いずれも本邦初公開の貴重な板絵作品により500年の時を超えてならびあう、イタリア美術史上初の展示が日本で実現する運びとなりました。レオナルド自身による同壁画の習作素描、レオナルドの構図に基づくその他の模写作品や派生作品、関連する資料類、関連する歴史的人物の肖像画など《タヴォラ・ドーリア》を中心に《アンギアーリの戦い》に関する作品・資料を一堂に集めた初の企画展として、レオナルドが試みた視覚の革命を検証し、イタリア美術史上の一大エピソードである失われた壁画の謎と魅力に迫ります。


美術展というより、歴史の謎解きに来た感じの企画展でした。
なにしろダ・ヴィンチとミケランジェロが主役でも彼らの作品はないという…(汗)
あ、1点だけある…馬のお尻を描いたダ・ヴィンチのデッサンがありました。
TVなどでも取り上げられていたので、予習はできていたつもりですが、この企画込み入った話でして…つまり謎解きだから(苦笑)

showcase_img24.jpg
アリストーティレ・ダ・サンガッロ(本名バスティアーノ・ダ・サンガッロ)
《カッシナの戦い》(ミケランジェロの下絵による模写)
1542年 油彩/板 78.7×129 cm
ホウカム・ホール、レスター伯爵コレクション

16世紀、フィレンツェのヴェッキオ宮殿の壁画に、隣り合わせ(もしかして対面)で、ダ・ヴィンチとミケランジェロが戦争をテーマに競作をする企画がもちあがりました。
ミケランジェロが担当したのは《カッシナの戦い》、これは戦いに赴く兵士が水浴びして準備、気合いを入れている場面。筋肉もりもり、裸体を得意とする彼にふさわしい場面ですね。
ただ、画面下に溺れたような人の手があって、どういう意味か?ネットには、水浴びをしてる所を襲われた…という記述もありました。
制作が始まったものの、ミケランジェロは別の仕事が入ったとかで、途中降板…おいおい(汗)今回展示されているのは、彼のデッサンを模写したものだけ。

showcase_img20.jpg
作者不詳(レオナルド・ダ・ヴィンチに基づく)
《タヴォラ・ドーリア》(《アンギアーリの戦い》の軍旗争奪場面)
16世紀前半 油彩とテンペラ/板
85.5×115.5 cm
ウフィツィ美術館(2012年、東京富士美術館より寄贈)

これが今回の主役です。
壁画の依頼を引き受けたダ・ヴィンチは、壁画で一般的なテンペラやフレスコではなく、油彩で描こうとします(自分にとってやりやすいといということでしょうか)。
ところがこれは技術的に大失敗…定着せず?ほとんどが流れ、失われてしまいました。おいおい(汗)素材にふさわしい技法をしなかったダ・ヴィンチの致命的なミスですね。
結局この壁画は途中で断念、未完のまま50年ほど放置され、後年に別の壁画に覆われてしまいました。
完成していれば大傑作、未完でも傑作、放置されていた50年間、その評判を聞いた画家が多数訪れ感銘をうけ、模写されたり、完成予想図を描かれたり、インスピレーションを与え続けました。
模写の中で最も現物を再現していると思われるのが、今回の《タヴォラ・ドーリア》

大きな壁画の一部分、模写であっても迫力あります。人と馬がダイナミックに絡み合い格闘する。武器も斧のようなもの、残酷で力ずくな当時の戦闘の様子がわかります。
金箔も深い色合いも、有名な歴史の一場面にふさわしい格調。
ただ、どこがどうなっているのかよくわからない。この馬のお尻の前半身は?馬の下敷きになりそうなこの人の体勢は?
軍旗はどれ?などなど。

slide4.jpg
で、こんなフィギュアを作ったのが東京芸大。
おもしろい!2次元の復元ではなく、3Dの立体というのが今っぽい(笑)
これが本当によくできています。見えない部分も時代考証を重ねて、小物の細部まで再現しています。
後ろから脇から、上から斜めから、立体で見ると、なるほど体の向きはこっちか〜、ああ位置関係はなるほど〜と、理解が進みます。

そして、これを平面で表現するという…あらためて、ダ・ヴィンチの構成力のすごさに圧倒されます。
ダ・ヴィンチの戦争表現は革新的だったらしい。この作品がこの後、戦争画のジャンルを作ったと言われれば、なるほど思います。

showcase_img31.jpg
アンギアーリのために描いたとされるダヴィンチのデッサン

元の作品は失われてしまいましたが、残された膨大な資料、評判などで、当時を知ることができるそうです。
会場にはアンギアーリの模写や、インスピレーションを受けた作品も多数展示されています。ただ、それらは模写や派生という域をでていないような気がして、見る側としてちょっと冷めてしまいました。

個人的には、この展示会のオマケについてきたような、最後の展示室、ダ・ヴィンチの発明を模型にしたブースがおもしろかったです。
ロケットや計算機…似たようなものがなかった時代、ダ・ヴィンチの奇才天才ぶりがよくわります。
自動肉焼機なんてのもあって、暖炉の熱い空気が上っていくと、そこに換気扇のファンみたいなのがあって、熱風になればなるほどファンが早く回り、肉のかたまりを吊るした串に伝わり、早く回るので、肉は絶対焦げない…とか(笑)
自動演奏出来る太鼓は…これはもう明和電気!(笑)


関連記事
アート・美術館 | Comments(0) | Trackback(0)
Comment

管理者のみに表示