かきつばた

2016年05月26日
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公園のかきつばたが咲いていました。
ふと、光琳の燕子花図屏風を思い出しました。

燕子花図屏風は平安時代の伊勢物語、第九段「八橋」の場面を描いた作品。
京に住むある男が、自分は必要のない人間だと思いこみ、友人と連れ立ち東国へと住む国を探しに出かけました。
道に迷いながら三河の国八橋という所にたどり着くと、川が蜘蛛の巣のように分かれていて、橋が八つ渡してあることから「八橋」という名がついていました。
沢のほとりで馬を降り、乾飯を食べました。その沢にはかきつばたがきれいに咲いていて、それを見たある人が「かきつばた」の5文字で歌を詠んでみなさいと言う。

 唐衣
  着つつなれにし
   つましあれば
    はるばる来ぬる
     旅をしぞ思ふ

着慣れた衣のように慣れ親しんだ妻を都に残し、こんなに遠くに来てしまったなあ。
(それをきいた)一行は、乾飯に涙をこぼすので、乾飯がふやけてしまった。

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伊勢物語は作者不詳ですが、在原業平がモデルで、「八橋」は業平が京都を追われた時の様子を描いたのではないと言われているそうです。
公園のかきつばたは、明るい日差しの下で咲き誇り、都落ちをする物悲しさとは無縁のよう。それとも、華やかであればあるほど、寂しさとの落差があるということでしょうか。

以前の記事 燕子花と紅白梅 光琳デザインの秘密 2015年04月30日
国宝 燕子花図屏風  1701-04年頃 根津美術館
6曲1双屏風・紙本金地着色


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池に映る姿も美しい。
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Comment
水面
水面に映るカキツバタ、美しいですねえ。

この手の花を見ると、思い出すのはやっぱり光琳の燕子花図屏風か、ゴッホのアイリスですよね~。

まあ、ゴッホのアイリスには、カキツバタの楚々とした感じはないけれど。
>matie さん
> この手の花を見ると、思い出すのはやっぱり光琳の燕子花図屏風か、ゴッホのアイリスですよね~。

燕子花図屏風は昨年見る機会があって、実際のカキツバタの印象との違いを感じています。この満開のカキツバタから、あの屏風絵が生み出されるって、すごいなあと。光琳はとてもデザイン的で、モダンアートと言ってもいいくらいです。
ゴッホのジャーマンアイリスは猛々しいですよねえ、好きですけど。

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