原安三郎コレクション 広重ビビッド

2016年12月16日


原安三郎コレクション 広重ビビッド
2016年10月29日(土)~12月11日(日) 福島県立美術館
原安三郎コレクション 広重ビビッド | 全国巡回展情報

日本財界の重鎮として活躍した日本化薬株式会社元会長・原安三郎氏(はらやすさぶろう・1884~1982)の蒐集した浮世絵コレクションのうち、歌川広重(うたがわひろしげ・1797~1858)最晩年の代表作である〈名所江戸百景(めいしょえどひゃっけい)〉、および〈六十余州名所図会(ろくじゅうよしゅうめいしょずえ)〉を中心にご紹介いたします。前者は江戸名所、後者は五畿七道(ごきしちどう)の68ヶ国の名所を題材としており、とくに前者は当時からたいへんな人気を博していました。需要の増加とともに、摺りの手数を簡略化した「後摺(あとずり)」が複数制作されるようになりますが、本コレクションのものは、貴重な「初摺(しょずり)」のなかでもとくに早い時期のもので、国内にも数セットしか存在しません。初摺の行程では、広重と摺師が一体となって色彩や摺りを検討しながら進めており、広重の意思が隅々まで込められています。また、版木の線が摩滅せずシャープなため、美しい彫りの線が確認できます。つまり本展では、広重が表現しようとした形や、生涯を通じて追い求めた色彩および彫摺技法の粋を見ることができます。さらに、保存状態が極めて優れているため、退色のない摺りたての姿が鑑賞できる、またとないチャンスです。このふたつの揃物(そろいもの)を全点公開するのは、本展が初めてのこととなります。
〈名所江戸百景〉に関しては、江戸在住の広重が実際に足を運び、写生したものが基になっていると考えられています。一方、〈六十余州名所図会〉については、その大半が典拠資料を参考にしていますが、画面構成に広重の心象風景による表現を加え、オリジナリティーを出しています。
あわせて、本展では葛飾北斎(かつしかほくさい・1760~1849)や歌川国芳(うたがわくによし・1797~1861)の名所絵なども展示いたします。とくに、現存数の少ない北斎の〈千絵の海(ちえのうみ)〉が10図すべて揃うのも見どころのひとつです。国内外でも稀に見る名品の数々をぜひお楽しみください。


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六十余州名所図会 美作 山伏谷 
歌川広重 大判錦絵 嘉永6年(1853)

広重は見る機会が比較的多いですが、これだけ揃うとやはり壮観。
頻繁に取り上げられる有名作品から、私にとって初見(記憶がないだけかもしれません)まで、見応えがありました。
またずいぶん昔に見ていても、時を経て見ると印象も変わり、新しい発見やおもしろがありました。

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六十余州名所図会 阿波 鳴門の風波 
歌川広重 大判錦絵 安政2年(1855) 

最もインパクトがあったのはこの作品。
轟音と飲み込まれそうな迫力の鳴門の渦潮。
六十余州名所図会は、実際に現地には行かず、参考資料を基に描いたそうですが、だからこそ描けるのかもしれませんね。
広重ならブラックホールだって描けそう!(笑)

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六十余州名所図会 「紀伊 和歌之浦」

花札みたいです。
こんな鳥瞰では実際見られないですが、一連の作品で、広重の構築力のすごさを見せつけられた感じ。

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名所江戸百景 するかてふ 
歌川広重 大判錦絵 安政3年(1856) 

名所江戸百景は、現代なら東京ガイドブックですね。
江戸在集の広重が足を運び、スケッチしたのではないかという。こんな場所なら行ってみたい、情報がたくさん詰まってます。

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名所江戸百景 市中繁栄七夕祭

大胆な構図におお〜と思う一方、七夕飾りでは繊細で優美な曲線を描いている。色といい、とてもかわいらし作品。
広重のチャンネルの多さに感心。

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名所江戸百景 亀戸梅屋舗
歌川広重 大判錦絵 安政4年(1857)

ゴッホも所有していた有名作品。
改めて見ると、現実の風景にはないだろう赤のグラデーションが艶っぽいですね。

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名所江戸百景  大はしあたけの夕立
歌川広重 大判錦絵 安政4年(1857) 

これも有名な作品ですね。
雨や風、雪…広重の表現は、特に荒れた天候で(笑)独創的で本当にすばらしい。
上部の黒い煙のような雲が雰囲気を盛り上げてます。

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名所江戸百景「深川洲崎十万坪」歌川広重 

かっこいいです!広重は鳥になれるのでしょうか?こんな鳥瞰、俯瞰は、現代なら空撮やドローンで見慣れてますが、当時、想像して描くってすごいです。
遠景に描かれているのは筑波山、江戸なら富士山と思ってましたが、このシリーズでは富士山と同じくらい?筑波山が登場してました。

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名所江戸百景 王子装束ゑの木 大晦日の狐火 歌川広重 大判錦絵 安政4年(1857)

これはおもしろい作品で、じっくり見てしまいました。ファンタジー小説の挿絵だと言われても納得しそう。
「深川洲崎十万坪」もそうですが、「江戸」というファンタジー世界がどこかにあるのかも。
日本昔話というより、アーサー・ラッカムやカイ・ニールセンなど、イギリスの挿絵の黄金時代のような、西洋的な香りがします。
アーサー・ラッカム

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冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏
葛飾北斎 大判錦絵 文政末~天保初期(1829~32)

広重以外も名作多数。北斎や国芳の作品も。
「冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏」の刷りの再現など、興味深い展示もありました。
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