クラーナハ展 500年後の誘惑

2017年01月05日
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クラーナハ展―500年後の誘惑|開催中の展覧会|国立西洋美術館
クラーナハ展 500年後の誘惑
2016年10月15日(土) 〜 2017年1月15日(日)
国立西洋美術館
ルカス・クラーナハ(父、1472-1553年)は、ヴィッテンベルクの宮廷画家として名を馳せた、ドイツ・ルネサンスを代表する芸術家です。大型の工房を運営して絵画の大量生産を行うなど、先駆的なビジネス感覚を備えていた彼は、一方でマルティン・ルターにはじまる宗教改革にも、きわめて深く関与しました。けれども、この画家の名を何よりも忘れがたいものにしているのは、ユディトやサロメ、ヴィーナスやルクレティアといった物語上のヒロインたちを、特異というほかないエロティシズムで描きだしたイメージの数々でしょう。艶っぽくも醒めた、蠱惑的でありながら軽妙なそれらの女性像は、当時の鑑賞者だけでなく、遠く後世の人々をも強く魅了してきました。
日本初のクラーナハ展となる本展では、そうした画家の芸術の全貌を明らかにすると同時に、彼の死後、近現代におけるその影響にも迫ります。1517年に開始された宗教改革から、ちょうど500年を数える2016-17年に開催されるこの展覧会は、クラーナハの絵画が時を超えて放つ「誘惑」を体感する、またとない場になるはずです。


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ルカス・クラーナハ(父)《ザクセン公女マリア》1534年 リヨン美術館

クラーナハらしい女性像。クラーナといえばこの顔、無表情でちょっと気の強そうな切れ長の目が特徴です。
硬質の白い肌には、若々しさとか、わかりやすいお色気は少ないように思う。この感じがクラーナハの好みのタイプなのでしょうね(笑)
ドレスは当時の流行のスタイル、凝ってます。

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ルカス・クラーナハ(父)《マルティン・ルターの肖像》
1525年、油彩/板、ブリストル市立美術館

クラーナハと意識して見てないですが(それ以前に教科書で見ているので)、ルターの肖像画の大半がクラーナハなんですね。
ビジネス感覚に長けたクラーナハは、ビジネスとして積極的に政治に関わっていたらしい。ルターの肖像画は、今で言うなら選挙ポスターみたいなもの。ルターのビジュアルアイデンティティーを確立したのはクラーナハということですね。

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ルカス・クラーナハ(父)「ルクレティア」 
1510/13年頃(個人蔵)

着衣の女性像は堅気な感じがしますが…脱いだとたんに濃密なお色気が…(笑)
聖書のエピソードをモチーフにしていても、描かれた女性のドレスは当時の流行、今も昔も流行の装いをさせることは、リアルなエロスを感させるポイント。
だんだんとクラーナハの世界に引き込まれていいく。

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女性のヌード描きたいなら、神話や聖書の題名付けとけときゃOK!って作品。

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ルカス・クラーナハ(父)「ヴィーナス」 1532年

今回の目玉のひとつ「ヴィーナス」。思ったよりずっと小さい作品です。
神話や聖書に題材をとっても、それはヌードを描く建前で、目的はもっとプライベートな依頼(需要)として描いたらしい。クラーナハの工房で売れ筋商品。
その小ささは、寝室などの密室でこっそり見るのにふさわしい。アクセサリーやヘアスタイルは当時の流行、わざとらしい透明な布が、よりセクシャルを強調している。
上半身は無垢な少女っぽ体で無表情、下半身はむっちり、よく見るとバランスがおかしい。いろいろギャップがあって、より危うい感じに…そこに生まれるエロスを狙っていると思われ、見る側はまんまとひっかかる(笑)

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イラン出身レイラ・パズーキが、クラーナハ「正義の寓意(ユスティティア)」を、中国の画工100人に数時間模写させた。そして壁一面に並べたもの。

なんじゃこりゃ〜な迫力、なにしろ壁一面ですからね(汗)
オリジナルに似ているようで違う、よく見ると上手いのと下手なのいろいろ、当たり前ですが全て違う。ずっと見ているとめまい起こしそう。

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ルカス・クラーナハ(父)《ルクレティア》1532年 ウィーン造形芸術アカデミー

こちらがオリジナル。
子どもっぽいバストと豊かな下半身、アンバランスが生むエロスがクラーナ好み。透明な布はむしろ裸体を強調。

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ルカス・クラーナハ(父)《ホロフェルネスの首を持つユディト》
1530年頃、油彩/板(菩提樹材)ウィーン美術史美術館

ポスターにもなっているユディト。
ゴージャスさに目を見張りました。これはすばらしい、必見です!
北方らしい雰囲気の美女、肩に広がる豊かな金髪が美しい。帽子のビロード使い、とても凝った豪華な衣装、立てた剣の強さ、羽飾りのついた帽子のかぶり方のかっこよさときたら。
そして…手元にある生首。打ち取られた男の顔がなぜか恍惚としている。
ここでもギャップの魅力が全開です。

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女に骨抜きなってしまう男(の絵)多数(笑)
アダムとイブでは、女が男の肩に手を回していて、あきらかにイブに主導権。イブが「リンゴ食べても黙ってりゃわかんないって」…とアダムに耳打ちしてる感じです。

ビジネスとしてクライアントの要求に応え、個人的なヤバいオーダーにも応える。
それでいて、妖しい自分のカラーは主張する。
クラーナハ、なかなかすごいです。

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クラナッハ展
こんにちは、
私も「クラナッハ展」を見てきましたので、画像とレポートを拝見し。クラナッハの作品みたときの感動が甦って来ました。クラナッハの裸体画しは非常に美しく顔は清純な少女のようでしたが、薄布などをまとっているのがかえってセクシーで、誘惑されてしまいそうな雰囲気を感じました。ホロフェルネスの首を持つユディト』顔や衣装の美しさに魅了されましたが、左下の首を切られた生首が妙に絵の中に調和していて、不思議な魅力がありました。


私は展示されていたルーカス・クラナッハの描いた作品を通じて、ルーカス・クラナッハという画家の本質を掘り下げて、ルーカス・クラナッハの全貌を整理し本質を考察してみました。読んでいただけると嬉しいです。ご意見・ご感想などコメントをいただけると感謝いたします。


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