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日曜美術館「ベラスケス 肖像画の告白」

2010年04月07日
ディエゴ・ベラスケス(1599-1660)は17世紀スペインの宮廷画家。
その最高傑作とされる「ラス・メニーナス(侍女たち)」、だれもがどこかで見たことがある有名な絵画ですが、この絵にまつわるベラスケスの秘密が、最近明らかになってきた…というのが、今回の番組テーマです。

「ラス・メニーナス」は王女マルガリータと、王女につかえる侍女を描いた絵で、これまで様々な研究や解釈が行われてきました。
今回はその中でも、絵の左端に描かれたベラスケス自身の肖像画が焦点です。
言われてみればそうなのですが、自分が仕える王族の肖像画の中に、自分も描く、それもかなり大きく、存在感がある形に描くというのは、画家の地位が高くなかった時代を考えれば不思議です。
栄華を極めたスペイン・ハプスブグ王朝時代、国王の寵愛を受け、宮廷の役人としても最高位にのぼりつめたベラスケスの自信がそうさせた…そのことは間違いないようなのですが、実は…。

BO

ベラスケスは、セビリアの下級貴族の出身とされてきましたが、実は平民出身で、ポルトガルからきた「コンベルソ」というカトリックに改宗したユダヤ教徒の家の出身だったことがわかってきました。コンベルソは、当時弾圧や差別を受ける低い身分であり、それが明るみになれば出世などは望めない出自でした。
それを生涯ひた隠しにし、上りつめたベラスケスはどんな人物だったのか。

彼は貴族だけでなく、道化や使用人あらゆる人々を描いています。自分より遥かに地位が低い、底辺に暮らす人であっても、描かれた人物は絵の中で貶められることなく、品格や深い知性が感じられます。
その背景には、ベラスケスが自分こそが底辺にいたかもしれないという、弱者に対する共感があったのではないかということでした。

そうはいっても彼は野心の固まりであり、宮廷最高の地位である「王宮配室長」に昇進しても、その地位に飽き足らず、ついに貴族の称号を手にします。
鋭い洞察力で世界を読み、周到な計画練る、自己演出の天才でもあったのでしょう。
王族と一緒に肖像画に納まるベラスケス、「ラス・メニーナス」のベラスケスは、当初控えめな横向きで、顔も一回り小さかったことが調査でわかりました。
しかし、地位を上り詰めた自信と誇りが、堂々と正面を向かせ、貴族の称号である胸の赤い紋章を誇らしげに見せる構図に変わっていったのではないかということでした。

ベラスケスはとても好きな画家です。特に人物画は、その人の本質が見えてくるようなものが多く引き込まれます。
想像ですが、彼の人物画は、実物以上の見た目や理想の姿に描くのでなく、あくまで忠実に描いて、それでいて品位を失わない。
地位に関係なく対象と向き合いその目線で描く、それは画家としての本質だと思うのですが、宮廷で上り詰める野心と同じ人物であるというのは不思議ですね。
それが飽きない魅力となっているのでしょうか。


日曜美術館 「ベラスケス 肖像画の告白」
NHK教育 4月4日放送
再放送:4月11日 20:00~
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