藤田大洋著「オービタル・クラウド」

2017年03月15日




2020年、流れ星の発生を予測するWebサイト“メテオ・ニュース”を運営する木村和海は、イランが打ち上げたロケットブースターの2段目“サフィール3”が、大気圏内に落下することなく、逆に高度を上げていることに気づく。シェアオフィス仲間である天才的ITエンジニア沼田明利の協力を得て、“サフィール3”のデータを解析する和海は、世界を揺るがすスペーステロ計画に巻き込まれて―第35回日本SF大賞、第46回星雲賞日本長編部門、ベストSF2014国内篇第1位。

グローバルな時代、ネットを支配する者が世界を支配するのだろうか?そんな思いにとらわれます。
読み初めてまもなく、文面に登場する大量の専門用語について行けなくなりそうになりました。
これが日本SF大賞受賞。いつのまにか自分は時代遅れのSF読みになってしまったのかも?…と感じてしまうほど(汗)
理解できないところはそのままですが、読んで行くうち、なんとかなったかも?(苦笑)

シェアオフィスで個人で仕事をする…優秀だけれども、ごく普通の感覚の持ち主である主人公和海、天才肌のエンジニア明利。
政情不安で、あらゆる規制がかかった中東で研究をつづける研究者。
軌道ホテルや宇宙ツアー、宇宙ビジネスに乗り出すIT富豪の陽気な親子。
南の島で気ままに暮らす富豪の天文マニア。
暗躍する北の女性工作員。日本に愛想つかし北に引き抜かれる天才エンジニア。
そしていつどこで起きてもおかしくないテロ。
近未来の設定ですが、今現在といってもおかしくないです。
解説にもありましたが、登場人物も設定も今現実にいそうな存在で、ストーリーの中心もテロなので、近未来SFといよりはミステリー色が強いです。

それにしても、国境も人種も関係ない、だれでも使えるパソコンやスマホで、やろうと思えば1人か、あるいは少人数でもスペーステロが出来てしまうことは、ある意味恐ろしい。
たぶんそれは、私自身が理解できない部分が多すぎるから、怖さが増すのかもしれません。

気になったのは、北をめぐる国際情勢がとても重要な設定なんですが、アレが「貧者の核兵器」であるなら、暴走することはちょっと考えにくい。細かく書くとネタバレになるので書きませんが、あくまでアレは交渉のカードで、暴走した次点でいろいろな意味でアウトかなと思う。
設定がとてもリアルなので、その辺がよけい気になりました。

感想は、ストーリーと技術が、息つく暇なく展開していくので、忙しくてストーリーを楽しむ余裕が、自分では難しかったなと思う。設定が最大の見所です。
それぞれの立場とそれぞれの思い、描かれてはいるけれど、とにかく忙しくて(苦笑)群像劇として、登場人物の味わいとか、空気感をもう少し描いて欲しかったかな。
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