ブリューゲル「バベルの塔」展

2017年05月26日
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ボイマンス美術館所蔵 ブリューゲル「バベルの塔」展
16世紀ネーデルラントの至宝―ボスを超えて―

2017年4月18日(火)~7月2日 (日)
東京都美術館

副題に「16世紀ネーデルラントの至宝―ボスを超えて」とある通り、ブリューゲルのみならず、彼が手本とした先駆者ヒエロニムス・ボスの油彩2点、そして彼らが生きた時代、16世紀ネーデルラントの絵画、版画、彫刻を全体で約90点の出品作でご紹介します。
迫真の写実と輝くような美しい色彩が印象的な油彩絵画、ボスの怪物モチーフが所狭しと、描かれる版画作品、そして木彫の粋を尽くした彫刻作品など、16世紀ネーデルラント美術の精華をご覧いただきます。
また、今回の展覧会では新しい試みとして作品を美しく見やすく展示することに加え、東京藝術大学COI拠点の特別協力により芸術と科学技術を融合させ、原寸を約300%拡大したブリューゲル「バベルの塔」の複製画を制作・展示します。また、同拠点は「バベルの塔」の3DCG動画も制作し、多様なメディアを駆使してこの傑作の魅力に迫ります。


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「四大ラテン教父(聖アウグスティヌス、聖アンブロシウス、聖ヒエロニムス、聖グレゴリウス)」

ネーデルランドというか、ヨーロッパで木彫という意味で新鮮。日本の仏像を連想し親しみを覚えます。

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枝葉の刺繍の画家《聖カタリナ》1500年頃 / 枝葉の刺繍の画家《聖バルバラ》1500年頃

たくさんの宗教画がありました。細密で豪華な作品多数。この2点は特に美しい、表情、ドレスの刺繍、背景、緻密です。
宗教的な意味を知らなくとも、神聖な気持ちになりそう。

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ヒエロニムス・ボス《放浪者(行商人)》1500年頃
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ヒエロニムス・ボス《聖クリストフォロス》1500年頃

バベルと共に目玉となっているボスです。ボスと言えば「快楽の園」などの、人間の醜さを描いたおどろおどろしい、怖いイメージがあり、あまり好きではなかったのですが、この2点を見て印象がかわりました。まず美しい作品だということ、拒絶反応は全くなく、すっと引き込まれます。
登場人物の姿、遠景、近景、小道具など「快楽の園」ほどではないですが、たくさんの寓意に満ちたモチーフが描かれています。
「放浪者」の建物は、さまざまなモチーから娼館。男はその誘惑を断ち切るように去ろうとしている。あるいは罪を犯したことを悔いて逃げようとしているのか。
「聖クリストフォロス」は、キリストを背に川を渡った聖人。「吊された熊」は、危機が去ったことを意味するらしい。
あれはこれは?
会場ではモチーフの詳しい解説もあり、なるほどと思います。

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ピーテル・ブリューゲル1世《バベルの塔》1568年頃

いよいよバベルの塔です!
朝日新聞の見開きの広告に、原寸大のバベルの塔が載っていたのでわかったいたのですが、それほど大きな作品ではありません。
透明感のある背景、奥行き、立体感のある美しい作品です。
混み合う会場では「(近くで見る方は)立ち止まらないで下さい」とのことで、じっくり見ることは出来ません。
それよりも、仮にじっくり見ることができたとしても…細か過ぎて全然わからない!わからないったらわからない。虫メガネプリーズ!という状況(汗)

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そんな我らために、会場では細部までわかるように、300%拡大し詳細がわかるよう画質調整したプリント、解説、ビデオ上映まで、至れり尽くせり。
拡大してもなお細かい、レンガを運ぶ人、てっぺんの建設現場、生活している人の洗濯物、教会…どうやったらここまで描き込めるのか?驚異としか言いようがないです。

■巧みな仕掛け…動画で鮮明に 東京芸大が立体CG・拡大複製画
 芸術と科学技術を融合させた新たな表現をめざす東京芸術大学COI拠点が、「バベルの塔」の魅力により迫るべく、3次元のコンピューターグラフィックス(3DCG)映像および拡大複製画を制作、「バベルの塔」展で展示している。制作にはボイマンス美術館と朝日新聞社が作品調査や画像提供に協力。その過程で、ブリューゲルが絵画で表現した巧みな仕掛けも、見えてきた。
■縦横3倍に拡大、質感も再現
「バベルの塔」が展示された空間では、同作品の縦横を約3倍に拡大して制作された縦162センチ、横201センチの複製画を見ることもできる。


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芸大の立体CGで構造の詳細を見ることができます。
構造計算は大丈夫でしょうか?耐震構造でないと思う(笑)

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ピーテル・ブリューゲル1世、彫版:ピーテル・ファン・デル・ヘイデン 《大きな魚は小さな魚を食う》1557年

ブリューゲルは当初、ボス風の版画を制作していたらしい。「大きな魚は小さな魚を食う」とは、弱肉強食みたいな意味。
ボス風ではあるけれど、ボスのような禍々しさ、妖しさは少なくて、どことなくユーモラスなのがブリューゲルらしいところでしょう。

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ヨアヒム・パティニール《ソドムとゴモラの滅亡がある風景》1520年

滅亡するまちから、天使に導かれて避難するロトと娘達。
ドラマチックでダークファンタジーの場面のよう。

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会場入口もバベルの巨大プリント。ここまで拡大してもなお細かいのがすごいです。
バベルの塔=細かい!とまず言うしかない(汗)


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