映画「メッセージ」

2017年06月05日
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映画『メッセージ』オフィシャルサイト
「プリズナーズ」「ボーダーライン」などを手がけ、2017年公開の「ブレードランナー 2049」の監督にも抜擢されたカナダの鬼才ドゥニ・ビルヌーブが、異星人とのコンタクトを描いた米作家テッド・チャンの短編小説「あなたの人生の物語」を映画化したSFドラマ。ある日、突如として地球上に降り立った巨大な球体型宇宙船。言語学者のルイーズは、謎の知的生命体との意思疎通をはかる役目を担うこととなり、“彼ら”が人類に何を伝えようとしているのかを探っていくのだが……。主人公ルイーズ役は「アメリカン・ハッスル」「魔法にかけられて」のエイミー・アダムス。その他、「アベンジャーズ」「ハート・ロッカー」のジェレミー・レナー、「ラストキング・オブ・スコットランド」でオスカー受賞のフォレスト・ウィテカーが共演。

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原作の評価は高く、私は出版された頃に読んでいました。ある意味革新的、SFといってもエンターテイメント系ではないです。どう映像化するのか…想像つかなかったですが、短編と映画のボリューム考えると、原作にないものが増えているのかなと。まあ、細かい所は忘れてしまってますが。

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未知の宇宙船、知的生命体、言語、これらを視覚化できるのが映画の醍醐味。日本の書のような文字(?)がでてきたり。
ルイーズの暮らす家、周囲の自然環境ががひっそりとして癒される感じがいい。ルイーズの心模様を映し出すようですてきでした。宇宙船が飛来したモンタナの雄大な自然も美しいです。
知的生命体のビジュアルについては、つっこんでいる人もいるけれど、これもありかと思います。

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SFのジャンルの一つ、知的生命体とのファーストコンタクト。
けれど映画の最大のテーマは、ルイーズが新たな知的生命体の言語を学ぶことによって、物事の認識が変わっていく、時間の概念も変わっていってしまうことです。
宇宙人との邂逅というマクロなできごとも、ミクロである個人の思考に内包されていく。
未来は今を内包し、今は未来を内包する…みたいな。
原作にはない大戦争が始まってしまうかも?…な部分は、映画的展開ですが、個人の内面(ミクロ)と世界の奔流(マクロ)のリンクを際立たせる意味で悪くないかもしれません。
原作の邦題は「あなたの人生の物語」、ここにヒントがあるかもしれませんね。

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ルイーズの変化は内面的なもので、何か答えがあるわけではなく、映画のラストも全て謎めいたまま残される。SFを好きでない人には、わかりにくいかもしれません。
謎めいたまま終わることが必要なので、なんだかよくわからないとか、それ言語学者の仕事か?と言ってしまうとつまらない映画になってしまいます(汗)
異なる言語を学ぶ事によって、考え方も変わると言いますが、あの延長と言ってもいいかも。
謎があるから、その先の大きな世界(宇宙)を想像できる。

SF的には、量子力学をつきつめていくと「あるか、ないか」みたいな白黒つかない話なりますよね。現時点で、宇宙も物質も、私たちにはわからない事が山ほどあるわけで、そういう意味でこのSFはありじゃないかな。
私は、般若心経の「色不異空 空不異色」などににある、この世のものは実体がないみたいな部分に共通するような気がしています。
女性向けというレビューも読みました。運命を受け入れること、共感的な意味合いでみると、そうかもしれません。

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主演のエイミー・アダムスが、誠実でひたむき、すてきでした。


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映画化が20年前なら、主演はジョディ・フォスターかもなあ…と思ったら、つまりこれを思い出したってことでした。

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Comment
ネタバレなしの感想は無理
この作品、上映早々に見てきました。きっかけは本屋に平積みしてある帯の広告から。ちなみに短編集とはいえ、その厚さに購入はパス。映画を見る上では、読まずに見た方が正解でした。

ニルギリさんは、この作品から「コンタクト」をイメージされたそうですが、私がイメージしたのは、どんでん返しぶりに「シックスセンス」
そろそろ、ネタバレに近づきます。

多分作者の狙いなのでしょうが、冒頭のヒロインの娘の物語はてっきり過去の物語と勘違い。宇宙人の時間の概念がうんたらかんたらの下りでは、過去に戻って娘の病を直すのか、これまた勘違い。
ちなみにヒロインがなかなかの老け顔も勘違いに一役かったかも。

それまで、まったりと流れていた話が中国の将軍の下り辺りで
「オ~~~~ツ」
と見事に引き込まれました。
よく考えると、この落ち(というかヒロインの未来)はありか?とも思いますが。

この作品はプログラムもこっていて、サイズが普通の半分。中身は文字びっしり。買うと安心しちゃうのでほとんど読んでいないけど。

これだけ、配給会社を含め思いがこもった面白い作品、もう少しうまく広告すれば良かったのに私は思います。
>クッツさん
> ニルギリさんは、この作品から「コンタクト」をイメージされたそうですが、私がイメージしたのは、どんでん返しぶりに「シックスセンス」

ああ、そうか、私は原作のイメージがあるからね。
原作は賞もらったりで評価高いみたいなので読んでのです。こういうアプローチか〜と。

> 多分作者の狙いなのでしょうが、冒頭のヒロインの娘の物語はてっきり過去の物語と勘違い。

そこが一番わかりにくいとこですね。
私はヒロインの内面の変化が主軸と見ているので。ゆえに起承転結とかエンターテイメントを期待すると、肩すかしというか。

> それまで、まったりと流れていた話が中国の将軍の下り辺りで

そこが一番原作と違うとこですね(笑)

> この作品はプログラムもこっていて、サイズが普通の半分。中身は文字びっしり。買うと安心しちゃうのでほとんど読んでいないけど。

最近買ってないなあ。

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