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福島のこの頃 帰還の町

2017年08月16日
お盆休み、田舎に帰省、混雑する交通機関などのニュースを見ていました。
夏休みはランドセルが最も売れる時期、田舎にやって来た孫にランドセルを買ってあげる…それが日本全国どこの地方でも多いパターンらしい。
外で遊び回る子ども、駅で別れを惜しむ祖父母と孫、原発事故直後の福島県の状況を思うと、ごく普通の日常が戻ってきたことが感慨深いです。
震災の頃に生まれた子どもも小学生、月日が経つのは早いものですね。

先日NHKスペシャルで「帰還した町で ~原発事故7年目の闘い」という番組が放送されました。原発事故で避難指示がでていた区域が、今年の春、放射線量の低下と除染により、かなりのエリアが帰還が可能になったのですが、それから3ヶ月を追った番組です。
福島県では連日、原発事故関連、その後や避難区域のニュースがありますが、全国的には関心も薄れてきているだろうなと思います。
一般的な認識はわかりませんが、避難指示が解除された地域で、適切な除染や調査が行われていれば、被爆のリスクは限りなく低く、暮らすことに問題はないと私は考えています。

しかし帰還するにあたり、課題は放射線以外の所に山積みです。
まず、元避難区域へ行ったことがある方はご存知と思いますが、除染でた土が膨大に…延々と続く風景に、故郷に戻ったと素直には喜べないはずと思います。
イノシシ、アライグマ、ハクビシン…避難で無人の住宅地は動物王国のよう。
イノシシ被害は、震災前から田舎では大問題で、畑を荒らされたとか、ゴルフ場の芝生を耕したとか(汗)よくある出来事でした。
無人となった市街地は、野生動物の天下、餌となる果樹や小動物も豊富、無人の家は動物にとってかっこうの住処らしい。
久しぶりに避難区域の自宅に行ってみると、イノシシ家族がぞろぞろ出てきて「うちに何か御用ですか?」といった感じで、あっちが強気だった…そんな話も聞きます。
番組では帰還し、念願の畑仕事を始めた老夫婦を取り上げていました。イノシシの勢いに畑を柵で囲う苦肉の策。檻に入るのは動物でなく人間の方(汗)…とまあ、そんなこんなの「人 VS 動物」は地道にやっていくしかないらしい。

そして、避難指示が解除された町に戻ってきたのは、どの自治体でも目標を大きく下回る人数。そのほとんどが高齢者です。番組で取り上げた人が…ということもありますが、少なくとも大半は高齢者です。
わかっていたこととはいえ、こうなってくると、ライフライン、インフラ、行政もなりたちません。

避難指示が解除された地域の課題は、原発事故でクローズアップされましたが、今どこの地方でも問題になっている、人口減少、少子高齢化、過疎、限界集落…です。
福島県は原発事故によって、それらが加速したということなんですよね。

社会問題として捉えなくとも、たとえばちょっと田舎の出身で進学、就職が都会…となれば、そう簡単に田舎にもどって暮らすとはいかないと思います。
田舎の企業に魅力が無い、または超狭き門、あるいは自営業、農業や漁業に魅力を感じられないことも大問題なんですが。

福島県内であっても、田舎より福島市や経済が盛んな郡山市に居を構えることが多いです。
仕事、子どもの学校、生活の利便性を考えると、働き盛りの世代は何事かががおきなくても、あえて田舎に住むことは考えにくい。
私の自宅も田舎ですが、国道4号線、東北新幹線、東北自動車道からはさほど離れていないので助かってます。
私の知り合いに、実家が飯舘村(避難指示が出ていた山間の村)で、郡山市の会社に就職、自宅を新築した方がいますが、現実的に飯舘村に暮らす事は考えにくいと言います。
(福島県は広いので距離感がわからないかもしれませんが)いわゆる「ど田舎」と就職して暮らしている都市部の関係は、なんとなくわかると思います。

お盆休み、田舎の実家に帰省した方も多いと思います。
ストレスばかり、辛い会社勤めなんてやめて、田舎でのんびり暮らしたい…そんな事を考える方も多いと想像します(笑)。
けれど、生活を大きく変えて田舎で暮らすメリット、手だて、理想の暮らしを手に入れられる人はとても少ないのが現実ですよね。
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NHKスペシャル 
シリーズ東日本大震災  帰還した町で ~原発事故7年目の闘い~
初回放送 2017年8月9日(水)
原発事故により、およそ9万人が避難指示を受けた福島・原発周辺の町。国は除染を進め、段階的に避難指示を解除してきた。そして今春、4町村で一斉に避難指示が解除。帰還困難区域を除く、ほぼすべてで、帰還が可能になった。
帰還対象者が最も多い浪江町。戻った住民たちが直面したのは、町に住みついた野生動物だった。巨大なイノシシが群れを成し、家屋や田畑を荒らしていた。また、屋根裏で繁殖するアライグマは、人間にとって重篤な感染症をもたらす恐れが指摘されている。
さらに、今なお残る放射能汚染への不安。国による除染は屋外に限られ、室内は住民自らの責任に任されている。今回、専門家が調査したところ、室内に放射性物質が入り込んでいる事例が見つかった。大きな健康被害にはならないまでも、「不要な被ばくは避けるべき」と専門家は指摘する。
6月末の時点で、浪江町に帰還した住民は264人。帰還対象者の2%に留まっている。限られた人数に対し、取り戻すべき故郷はあまりに広大だ。苦闘する人々の4か月を追った。


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参考
イノシシ排除戦略策定へ 避難区域12市町村 | 東日本大震災 | 福島民報(2017/04/27 )
 東京電力福島第一原発事故により避難区域が設定された県内12市町村で深刻化しているイノシシ被害の対策として、有識者でつくる県の専門家チームは平成29年度内にイノシシ排除広域緊急戦略を策定する。
 南相馬市と浪江町で行うイノシシ駆除の実証実験のデータをはじめ、12市町村の被害状況などを踏まえて排除技術や人材育成の手法を盛り込む。
 さらに、12市町村の担当者らはイノシシの生態や被害対策について月1回程度研修し、来年1月までに市町村ごとの駆除の実施計画を策定する。


クローズアップ現代 激増する野生動物 ~福島の生態系に何が~
No.3379 2013年7月11日(木)

東京電力福島第一原発事故から2年余り。人が全く住まない空間が生まれた結果、周辺地域では人が手入れしていた田んぼや畑は草が生い茂り、ネズミやイノシシなど野生動物が急増している。家屋や農作物への被害は深刻で、除染が進みようやく住み慣れた家に帰れると思っていた人の中には、帰還をあきらめる人も出ている。しかし、その駆除には限界があり、対策には課題も多い。事態を重くみた福島県は今年4月、IAEAと共同プロジェクトを立ち上げ、野生動物がどれだけ増えているのか、どうやったら元の環境に戻せるのか対応に乗り出した。もともと人と動物が適度のバランスをとって共生していた里山を多く抱えていた原発周辺地域。その生態系に何が起きているのか、実態に迫る。

震災から6年近く経った今、家が次々と壊される浪江町 福島の空にドローンを飛ばす理由とは  2017年02月17日 ハフィントンポスト
地震や津波で壊れたわけではないのに、震災から6年近く経った今、自宅を壊さなくてはいけなくなった人がいる。
避難指示が解除されると、住めなくなった家にも税金がかかるようになる。そのため、やむを得ず自宅の建て壊しを選ぶ人が出ている。
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