アルチンボルド展

2017年09月06日
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ジュゼッペ・アルチンボルド《春》1563年 油彩/板

アルチンボルド展 公式サイト
ジュゼッペ・アルチンボルド(1526-1593年)は、16世紀後半にウィーンとプラハのハプスブルク家の宮廷で活躍した、イタリア・ミラノ生まれの画家です。
自然科学に深い関心を示したマクシミリアン2世、稀代の芸術愛好家として知られるルドルフ2世という神聖ローマ皇帝たちに寵愛されたアルチンボルドは、歴史上でもひときわ異彩を放つ、宮廷の演出家でした。そんな「アルチンボルド」の名は何よりも、果物や野菜、魚や書物といったモティーフを思いがけないかたちで組み合わせた、寓意的な肖像画の数々によって広く記憶されています。奇想と知、驚異と論理とが分かちがたく交錯するそれらの絵画は、暗号のようにして豊かな絵解きを誘い、20世紀のシュルレアリスム以後のアーティストたちにも、大きな刺激を与えました。
本展は、世界各地の主要美術館が所蔵するアルチンボルドの油彩・素描(帰属作品を含む)計30点を中心に、およそ100点の出品作品により、この画家のイメージ世界の生成の秘密に迫り、同時代の文脈の中に彼の芸術を位置づけ直す試みです。日本で初めて、アルチンボルドのユーモアある知略の芸術を本格的にご紹介するこの機会を、どうかご期待ください。


おもしろかったです。
ボスターになっている目玉「春」はアルチンボルドの作品の中でも、別格に美しい。
バラ色の頬と肌色、華やかな頭部の花々、清潔感のある襟は白い花、体は春らしい柔か緑の植物。
顔のパーツも植物。目はパンジー、白い歯はすずらん。近寄ってよく見ると、一つ一つが別個の植物にしか見えません。顔に合わせて無理に植物の形をゆがめる事なく、自然にままに…自然に見える形で配置していています。
全て実在の植物、「春」には80種類の植物が描かれているらしい。

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《紙の自画像(紙の男)》 1587年 鉛筆、ペン、インク、水彩、灰色の淡彩/紙 

アルチンボルドのデッサン力がわかる自画像。同展にダヴィンチの素描もありますが、負けてないです。
紙で形作られた描き方、普通に素描じゃないのは習慣なのかも。

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ジュゼッペ・アルチンボルド《夏》1572年 油彩/カンヴァス

離れて見ると、人ですが、近寄ると人は消え、野菜しか見えません。
鼻はキュウリ、歯はグリンピース、夏野菜豊作!って感じで楽しい。体は夏に収穫を迎える麦。
このような作品は、寵愛された皇帝への捧げもの。縁起物だったり、王宮を象徴するものを多数盛り込まれているらしい。知的で寓意に満ちた作品。
「夏」は、大航海時代に遠い異国からもたらされたトウモロコシやナスなど、新しい野菜も描かれ、見る人が見ればなるほどとわかる…そんな楽しみ方をしていたらしい。

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ジュゼッペ・アルチンボルド《秋》1572年 油彩/カンヴァス

秋はぶどうの収穫とワインの仕込み。
顔は果物や根菜類でとても自然に見えます。髭の口元は…栗のイガ!この発想もユニークです。

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ジュゼッペ・アルチンボルド《冬》1563年 油彩/板

冬は老人というのは納得、古木の枝や根っこが老人にしか見えませんね。鼻や耳は折れた枝、口はサルノコシカケみたいな茸。

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連作「四代元素」より《大気》 油彩/カンヴァス スイス、個人蔵

大気…とは空、空に暮らす鳥で肖像画。頭にこんなに鳥がいたら怖い(汗)
それもこれも超リアルなのでより怖いのかも。

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連作「四代元素」より《大地》 1566年(?) 油彩/板

大地…ということで、大地に生きる動物たちで肖像。
サイズは無視していますが、シカ、象、羊…ウシ科やネコ科の動物など、いずれも実在の動物たち。鳥類もそうですが、当時の最先端の博物学を学んでいるということが大事なポイント。「これは新大陸で最近みつかったあれで…」とか、知的な楽しみ方をしたのでしょう。

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連作「四代元素」より《火》 油彩/カンヴァス 

火を制する事は「高度な技術力」を持っているという事。大砲や火薬、皇帝の力を誇示しているらしい。
「火の車」とは違う(笑)
もし現代にアルチンボルドがいたら、「宇宙」もあったに違いないと思う。

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連作「四代元素」より《水》1566年 油彩/板

これはアルチンボルドの作品の中でも特に不気味としか(汗)
リアルな海の生物が…眉はエビ、口はサメの口、ヒゲは深海生物のヒゲ?体には大きなカニ、エビ、タコに覆われてる。
そして不気味さの中に真珠のネックレスとイヤリング…ミスマッチじゃない、どれも海から来るものだから。赤いサンゴもおしゃれ?

写実を極めた植物や生物は見事、革新的で見る者の知的レベルや、高い地位の人しかもち得ない情報レベルを試すような作品。いいのか悪いのか、芸術作品をというよりは知的なゲームをしているような感じです。
アルチンボルドの作品は近寄ると「人」が消え、個々の生物がうごめいている…離れると生物が消え「人」が現れる。その加減、多重さがすごい。
後年、アルチンボルドをまねた画家も登場しますが、近寄っても離れても人の枠にはめられた感じで、アルチンボルドには遠く及ばない。

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《司書》油彩/カンヴァス

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《ソムリエ(ウェイター)》1574年

司書とソムリエは、四代元素のような威力とちがって、なんかかわいい。
ディズニーアニメのキャラクターにいても違和感ないです。

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《庭師/野菜》1590年頃 油彩/板

これも楽しい作品、逆さまにすると野菜の入ったバケツにしか見えない。人はまったく連想できません。
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