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NHKスペシャル 病の起源 第3集 腰痛

2008年11月06日
4月から始まった「病の起源」(全6集)は、人がいかにしてこの病気に罹るようになったのかを、人類の進化から読み解くという内容です。
病と進化の関係を探ることで、今、新しい治療法が生まれつつあるようです。最前線の医療取材もあります。テーマとなる病に悩むという理由がなくても、病とどうつき合っていくかなど、十分楽しめるというか、興味深い内容です。

第1集「睡眠時無呼吸症」、第2集「骨と皮膚の病」、第3集「腰痛」、第4集「読字障害」までが放送されました。今月、第5集、6集が放送予定です。
いい番組だと思いますので、年末年始などに一挙再放送があるかもしれません。

次回放送予定
11/16/糖尿病 11/23/アレルギー

NHKスペシャル 病の起源
第3集「腰痛」の初回放送は先月でしたが、私は諸事情で見られず、再放送を待っていました。
「腰痛」はあまりに一般的だし、目新しさもないかもと思っていましたが、予想を大きく裏切るおもしろい内容でした。

腰の原因になる椎間板は年齢による劣化もありますが、人類が二足歩行を始めた時から負担のかかりやすい構造としてあり、腰痛の原因はそこにあると長く考えられてきました。しかし実際は、長距離を歩く狩猟民族にこれといった腰痛はありません。狩猟生活から農耕生活に移ってから、つまり前屈みの作業が多くなったこととで、椎間板に大きな負担(負荷)がかかるようになり、腰痛が増えたということのようです。

…と、ここまでフムフムと見ていましたが、俄然おもしろくなるのはこの先でした。
実は腰痛の85%は原因がわからないと言うではありませんか。
ギックリ腰の理由もわからないと。この場合、椎間板ヘルニアや他の病気、スポーツによる疲労、ケガなどの特定できる原因でなく、あくまで腰に原因がある原因不明の痛みという意味です。
これまで医者(整形外科医)もずっと逃げていた、真剣に取り組むようになったのはここ10年だそうです。

研究がすすむ中、理由のわからない慢性的な腰痛に悩む人の多くに、ストレスの多い生活があることがわかってきました。
箱の選別という単純作業をした場合と、この作業にプラス計算を組み合わせるというストレスを与えた場合、腰にかかる荷重を正確に調べると、ストレスが多い方が、より大きな荷重が腰にかかっているという結果がでました。作業は同じでも、ストレスが腰の負担を大きくしているということです。
また、慢性腰痛に悩む人に、慢性的な痛みのある時と、痛みがない時に人為的に外から痛みに与えた時では、脳のどの部分が活性化しているかをMRIで調べると、体が感じる痛みは同じなのに、脳の活性化する場所がずいぶん違っていることがわかってきました。

慢性的な痛みに悩む人は、脳の前頭葉に痛みの記憶があり、この記憶(心)が感情のコントロールを妨げ、痛みを増幅しているのでは、痛みを重症化しやすくしているのではないかということでした。
腰痛治療の先端を行くある医大では、慢性腰痛の患者に、整形外科医と心身医療科医がチームとなって治療にあたるという取り組みが始まっています。
※腰痛の全てが心因性ではありません、念のため。また心因性と診断されることで、自分が弱いと責めてはいけません。

ケースとして、作家の夏樹静子氏が登場していました。氏は以前、原因不明の激しい腰痛に悩まされ、休筆を余儀なくされました。多くの病院を訪ねましたが原因はわからず、だいぶたってから心療内科で、心因性と診断されました。当時新しいジャンルに挑戦中だったことが大きなストレスになったのではないかということでした。そして休筆一ヶ月後には、痛みがやわらぐという結末。

番組で触れてはいませんが、夏樹氏の腰痛との戦いは「椅子がこわい」というタイトルで出版されています。
読んでなくて申し訳ないですが、5年ほど前、私の知人が重い腰痛に悩んでおり、こういう本があると教えてくれました。

「痛み」というのは自己申告で、血圧やコレストロール値みたいに客観的な数字に表せないんですよね。
そのため、大げさ、我慢が足りないとか、特に原因が特定できない場合最悪は「ウソツキ」とまで言われてしまうことがあります。
今回のように、活動している脳の状態をMRIで見ることができて、痛みの存在など、初めてわかることも多いのではないでしょうか。腰痛が原因不明の痛みであることから、長らく放って置かれたことを考えれば、ここにきてすごい進展のような感じがします。

テレビを見たから腰痛が治るわけではないですが、知ることでつき合い方を学べると思います。
ちなみに、痛みが激しくない限りできるだけ歩くことが心因性腰痛に効果的だそうです。歩くことに集中しすることで、脳がストレスから解放されるそうです。
(つまり、ああ仕事に遅れる!納品が!…なんて気持ちで歩くのはダメってことですね)
腰痛に限らず、少しの時間でもいいから、悩みから解放される時間を持てると、心の持ち方も明るくなりますよね。

腰痛放浪記 椅子がこわい (新潮文庫)腰痛放浪記 椅子がこわい (新潮文庫)
(2003/07)
夏樹 静子

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