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「白熱光」グレッグ イーガン著

2018年05月22日


遠い未来、融合世界との意思疎通を拒んでいた孤高世界に、未知のDNA基盤の生命が存在する可能性が浮上。融合世界のラケシュは友人パランザムと共に、それを探すべく銀河系中心部を目指す。一方、“白熱光”からの熱い風が吹きこむ世界“スプリンター”の農場で働くロイは、老人ザックから奇妙な地図を見せられる…二つの物語の果てにあるものとは!?世界の法則を自ら発見する魅力溢れるハードSF。

イーガンを読むことは定期的に自分の「SF力」を確認するためかもしれない(笑)
読みやすい、わかりやすいとは言えないけれど、いつも自分の想像に及ばない未知の魅力に溢れています。

遠い未来、人類は宇宙へ進出、銀河系において他の種族とともに「融合世界」を構築しています。ところが銀河系の中心には、融合世界とは隔絶した別の世界「孤高世界」があるらしい。
ストーリーは、人類の末裔ラケシュの孤高世界への探索と、銀河の中心孤高世界「スプリンター」に住む知的生命体の長い物語が交互に描かれています。
といってもエイリアンとのファーストコンタクトものではないし、ましてや宇宙戦争や壮大な歴史が描かれているわけではないので、冒険やストーリーのおもしろさを期待すると挫折します。

遥かな未来、融合世界では、生命由来の存在(天然って意味)もあれば、生まれも育ちも電脳世界の人もあり、人はネットワークによって旅をします。
余談ですが、人型ロボットで有名な石黒浩教授(マツコロイド制作者)は、アンドロイドと人は、当たり前に共存しいくようになるし、人はやがて電脳世界に移っていく。宇宙が生身の人間にとって危険(放射線など)でも、電脳であれば環境も時間(寿命)問題ない、そのようにして人類は宇宙へ進出していくはず…と話しています。

「白熱光」で描かれる世界はまさにそれで、融合世界では必要に応じて何らかの形(体)になったり、アバターとして存在したりもできます。宇宙を人間の寿命で旅することは、光速だとしても何万年もかかったりで、現時点で不可能ですが、データ(電脳)として存在しているならば不死といってもいいので関係ありません。
それにしてもラケシュの旅は、いつ到達するのか、戻ってくることができるのかもわからない。そもそも旅に終わりがあるのかすらわからない。純粋に知的好奇心のみです。

もう一つの世界、スプリンターは一般的な惑星とは異なる重力で支配された岩石世界。知的生命体は岩石のトンネルに住む非人類型。環境を受け入れ、集団で穏やかに暮らしています。
ある時、スプリンターに住む男性ザックが「重さ」に興味を持ち、この世界を形作る、何らかの法則があるのではないかと観察を始めます。
地道な観測によって、少しづつ解き明かされる物理法則、その過程は解説にもある通り、天動説から地動説へ転換していくような感じです。
物理の記述は正直難解でわからないところも多いのですが(汗)、この世界が少しづつ解き明かされていく静かな興奮、それが最大に読みどころ、じわじわと感動がやってきます。

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