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福島のこの頃 サン・チャイルドと私

2018年09月01日
ヤノベケンジさんの作品はとても好きなんですが、福島をめぐって、ちょっと残念なニュースがありました。

福島で賛否両論...「子ども立像」 福島、現代アート表現に 2018年08月14日 福島民友
 現代美術家ヤノベケンジさんが原発事故からの復興の願いを込め制作し、福島市が今月、福島駅近くの「こむこむ」に設置した子どもの立像「サン・チャイルド」の表現に一部から批判の声が上がっている。一方、現代アートという観点から「表現として抽象化している」「福島の未来を明るく思う作品」など肯定的な声もあり、13日には木幡浩市長が「指摘を真摯に受け止め、市民の意見を聞いた上で取り扱いを検討する」とのコメントを発表した。

↓この記事が一番まとまっているようです。
防護服を着た子供像「サン・チャイルド」は、なぜ福島で炎上したのか

最終的にサン・チャイルドは撤去することとなりました。
私個人の結論を言ってしまうと、サン・チャイルドを福島駅前の公共施設に展示することには賛成できません。

ヤノベさんは原発事故後のチェルノブイリを訪れて、作品を制作しています(アトムスーツなど)。
東日本大震災後は、福島のアートイベント「福島現代美術ビエンナーレ」に毎回作品を展示しています。いずれも巨大な子どものアート作品です。
会場ではちょっとお話する機会もあったりで、私にとって親しみを感じる方です。

子どもの立像「サン・チャイルド」は、福島現代美術ビエンナーレ2012で福島空港に展示され、アートイベントの作品の一つとして、私も当時見ています(この記事の一番最後の写真)
私がこれまで、直接見て来たヤノベさんの作品は、いずれも大きな子ども、大きくてかわいい。とても魅力的です。
「サン・チャイルド」もそうした大きくてかわいい作品ではありますが、福島の原発事故をうけての作品です。

アート作品とは、作家がどのような表現をしようと自由です。それが過激であろうとつまらないものであろうと作家個人の表現ですから。ちょっと違うのでは?という解釈でもです。
批判を受けることも、必ずしも世間に迎合しないことも作品の一部です。これは評価や、見る側の好き嫌いとは全く関係ありません。
私にとってアートとはそういうものです。

しかし美術館やイベントに作品として展示するのではなく、公共施設に恒久的に設置されるとなると、それはオフィシャルであり、メモリアルであり記念碑の意味になるような気がします。
サン・チャイルドを公共の場に展示することは、希望や悲しい事故を忘れない…というより、この場所(福島)が汚染された地域と烙印を押されたような…私はそのような気持ちになりました。
受け止め方は様々あると思いますが、アートと記念碑は全く違う。私は、ヤノベさんの作品のファンでありながら、きっぱりそう感じた自分にちょっとびっくりしているくらいです。

防護服(どっちかいうと宇宙服だけど)をイメージさせ、顔に絆創膏、ガイガーカウンターを持つ子ども。
福島市内で防護服が必要になったことはない、カウンター「0」はこの世界であり得ない…ということだけが問題ではないと思います。
では、実際防護服着用がルールだった原発から近い地域、今も帰還のめどがたっていない帰宅困難区域にこの立像があったらどうなのだろう?
…やはり、いらないかな、私はそう思います。

私は福島の中通り地方で、事故前と変わらない普通の暮らしをしています。
原発事故後の福島県には、現実的な危機もたしかにありましたが、それはほぼ過ぎました。
問題はその後です。見えない恐怖や不安にあおられ、社会の風評に長く翻弄された…今もそうです。
反原発の象徴となり、まるで福島が危険であればあるほど都合がいいか?…そんな風に感じたこともありました。きちんと検査された野菜や米を出荷しても、毒を撒いていると言われたり、福島の人は結婚できない、女の子は子どもを産めない、みんなガンになる…等々。
本心から心配しているのかもしれませんが、そうした状況に、福島の人々は怒りや屈辱感、あるいは無力感を覚えてきました。

サン・チャイルドを公共的な場所に設置するということは、そうした良くない記憶を思い起こさせる…私を含めそのように感じる人が多かったということではないでしょうか。
(ただ撤去されなくとも、設置されて時がたてば町になじみ、誰も気に留めなくなる、モニュメントとはそういうものだとも思っていました。)
これがヤノベさんの他の作品、フローラやサン・シスターなら、何の問題もなかったのですが、残念です。

私がヤノベさんの作品が好きなことに変わりはありません。
今後も活躍して欲しいと心から願っています。

「サン・チャイルド」撤去へ 福島市長謝罪、設置継続は困難 2018年08月29日 福島民友
 木幡浩市長は記者会見で「賛否が分かれる作品を『復興の象徴』として設置し続けることは困難と判断した」と述べ、謝罪した。
 展示が始まった今月上旬から、交流サイト(SNS)などで、立像が防護服姿であることや、線量計を模した胸のカウンターが「000」となっていることが「風評被害を助長する」「非科学的」との批判が集中。作品の表現を評価する声もあり、市の対応が注目されていた。


【8月18日付社説】サン・チャイルド/賛否を福島の未来への糧に 福島民友

福島市のサン・チャイルド騒動で作者ヤノベケンジ氏謝罪 「これ以上対立が生まれることは避けたい」「細心の注意を払うべきだった」2018年08月28日
ヤノベケンジさんのコメント。
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ヤノベケンジさん作品について書いた以前の記事
写真はすべて私が撮ったもの。かわいいでしょう?
私がどれだけヤノベさんの作品に親しんできたかよくわかる(笑)

ヤノベケンジ+増田セバスチャン「フローラ」〜福島現代美術ビエンナーレ2016 2016年11月14日
二本松の菊人形に「フローラ」登場
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舘形比呂一 ダンスパフォーマンス「棘」〜福島ビエンナーレ2014 2014年10月18日 
喜多方開催「サン・シスター」展示
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福島現代美術ビエンナーレ2012 ぶらぶら歩き 2012年09月21日
サン・チャイルドが福島空港に展示されたイベント
2012091531

胸さわぎの夏休み イチハラ×やなぎ×ヤノベ×小沢=∞、美術館で熱くなれ! 2010年08月18日
こちらは震災前の美術展。「ジャイアント・トらやん」の他に、ヤノベさんがチェルノブイリで着たアトムスーツも展示。…今となると複雑ですね。

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