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ブリューゲル展 画家一族 150年の系譜

2019年01月29日
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ブリューゲル展 画家一族 150年の系譜
2019年1月11日(金)~3月31日(日)
郡山市立美術館

16世紀のフランドル(現在のベルギーにほぼ相当する地域)を代表する画家ピーテル・ブリューゲル1世。聖書の世界や農民の生活、風景などを時に皮肉も交えながら描き、当時から高い評価を得ました。

息子のピーテル2世、ヤン1世も父と同じ道を歩みました。長男のピーテル2世は人気の高かった父の作品の忠実な模倣作(コピー)を描き、次男のヤン1世は父の模倣にとどまらず、花など静物を積極的に描き、「花のブリューゲル」などと呼ばれ名声を得ました。
さらにヤン1世の息子ヤン2世も、子供の頃から父の工房で絵を学んで画家となり、ヤン2世の息子たちもまた同じ道を歩み、ブリューゲル一族は150年に渡り画家を輩出し続けたのです。(ちなみに農民の生活を多く描き、本展にも出展されるダーフィット・テニールス2世は、ヤン1世の娘の夫です。)
本展では、このブリューゲル一族の作品を中心に、16、17世紀のフランドル絵画を紹介します。

貴重なプライベート・コレクション、そのほとんどが日本初
本展では、ピーテル・ブリューゲル2世による《野外での婚礼の踊り》などブリューゲル一族の画家たちが生み出した宗教画、風景画、寓意画、静物画などおよそ100点を展示。その多くが、通常観ることのできない貴重なプライベート・コレクションに収められています。そのため、出展される作品のほとんどが日本初公開となります。


ブリューゲル展は、昨年1月東京から始まり全国を巡回、この福島展が最後です。
やはり名の知れた画家となると人の入りが違う、駐車場には県外ナンバーの車も多く見られました。人が多いと言っても、東京からしたら空いてる…ってくらいの人出ですが(笑)
ブリューゲルと言えば、一昨年「バベルの塔展」を見ていたので、ブリューゲルはわかったような気でいましたが、バベルの塔展が、バベルを微に入り細に入り味わい尽くす!という観点だとしたら、今回はブリューゲル一族が時代の中でどのように作品を生み出していったのかという視点です。アプローチが違うと、また別のおもしろさがあり、楽しめました。

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ヤン・ブリューゲル1世《ノアの箱舟への乗船》1615年頃

初代ブリューゲルは、初期の頃はボスの影響でへんてこな、でもちょっとかわいい絵を描いていましたが、やがて宗教画や農民の生活などを描くようになりました。
ちょっとくどいノアの箱舟は、肉食獣も一緒、ノアの箱舟はこうなんだよ!って意味付けも大事なんだと思います。
風刺画、教訓、道徳を説くような、絵画はそういう役割を担っていた時代です。

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ヤン・ブリューゲル1世(?) ルカス・ファン・ファルケンボルフ アーチ状の橋のある海沿いの町 1590–1595年頃

現実世界と幻想的な神々の世界を同時に描いたようなミスマッチ。合成した風景画。
指輪物語のラスト、フロドがエルフの国に旅立つシーンを思い出したり。
この時代ではないようなな透明感のある明るい色彩は、フランドルで絵の具の開発?が進んでいたかららしい。

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マールテン・ファン・ファルケンボルフ、ヘンドリク・ファン・クレーフェ《バベルの塔》1580年頃

1世のあの有名な「バベルの塔」の影響をうけているとされています。言われなくともそう思うくらい捉え方が似ています。巨匠作でなくとも、天使が舞っていたり、より大衆受けする宗教画なのかもしれません。

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ピーテル・ブリューゲル2世《鳥罠》1601年

オリジナルは父、人気のあった作品を息子がコピーすることも普通に多かったらしい。いったい何枚あるのか?ですが、贋作とは別物、ブリューゲルは工房、お客様の要望に職人さん達がこたえていたということですね。
オリジナルと比べてどうかというより、目の前のこの作品はとても美しい。印刷でセピアっぽい色は、バラ色に近いような優しい肌の色のような感じで癒されます。色も構図もいい。
うちにも1枚、ブリューゲル工房にお願いしたい(笑)

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ヤン・ブリューゲル1世、ヤン・ブリューゲル2世《机上の花瓶に入ったチューリップと薔薇》
1615-1620年頃

花のブリューゲルと言われる、息子のヤン。美しいですねえ!じっくり見入ってしまいます。季節の違う花もあるので、きれいなものを集めて再構築ってことでしょうか。
チューリップが流行を越え、高値売買されていたバブルの時代です。こういう絵画も人気があったのでしょう。
ヤンは素描も美しいです。

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ヤン・ブリューゲル 2 世作「籠と陶器の花瓶に入った花束」、1640–1645年頃

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ヤン・ブリューゲル2世《聴覚の寓意》1645-1650年頃

芸術というより、ここにバイオリンが、さえずりの美しい鳥が、聴覚がいい鹿が…いるとか、細かく楽しむ感じ。
柱にアルチンボルトのような意匠が…はやっていたのかな?
他に「平和の寓意」「戦争の寓意」「嗅覚の寓意」(スカンクがいた!)、「愛の寓意」もありました。

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ヤン・ファン・ケッセル1世《蝶、カブトムシ、コウモリの習作》 1659年

ちょっとない…くらいの透明感のある色は、大理石に描かれているかららしい。
大理石は重いので、飾るのは大変そう、大きなサイズでは無理ですね。

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アブラハム・ブリューゲル《果物の静物がある風景》 1670年

ひ孫の時代になると、作品も大きくなってきます。画材、絵の具なども良くなってきたということのよう。
流行やオーダーも変わってきます。イタリアに学んだアブラハムは、様式もイタリア風、フランドルの雰囲気ではないですね。

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ピーテル・ブリューゲル2世《聖霊降臨祭の花嫁》1616年以降

なんか楽しそう。みんなずんぐりしていて、やはりホビット族を連想してしまう。

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ピーテル・ブリューゲル2世《野外での婚礼の踊り》1610年頃

当時の結婚式はこんな感じというのがわかりますね。明るい赤が効いています。
食べて飲んで歌って踊って、楽しそうです。どさくさにまぎれてチューとか(笑)
婚礼なのに、奥に座る花嫁が浮かない顔をしています。マリッジブルーかと思ったら、妊娠しているので踊りに加われないかららしい。
おっちゃんたちの「股間」につい目がいきますが、当時はでっかく見せる詰め物が流行していたからです(笑)

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マールテン・ファン・クレーフェ《農民の婚礼(6点連作)》1558-1560年頃

このブースのみ撮影可。連作だと、結婚式がより盛り上がる一大イベントってのがわかりますねえ。

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