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ハイビジョン特集 「京都 天下無双の別荘群」

2010年09月22日
南禅寺界隈、明治時代に政財界の大物が贅を、そして美意識を尽くした別荘を巡る番組。
今回のハイビジョン特集は、5月にNHK「ワンダー×ワンダー」(私は見逃していたので)で放送された「京都 天下無双の別荘群」の拡大版。
映像が美しく、想像以上におもしろかったです。
(それ以前も関連の番組があったようなのですが、私は全く見ておらず)

ハイビジョン特集  「京都 天下無双の別荘群」  
NHK-BShi   9月18日(土) 午後8:00~9:30
再放送/9月25日(土)午前11時30分

参考/「ワンダー×ワンダー」(2010.5.29放送)

番組で取り上げた別荘の現状をわかる範囲で調べてみると…

○細川家別邸…現在の所有者は細川家ではありません。
○對龍山荘(たいりゅうさんそう)…旧伊集院兼常別荘(薩摩の実業家)、非公開
 平成13年特別公開 
 對龍山荘(京都観光タクシー京都観光案内と紅葉情報)
 市田氏對龍山荘庭園 特別公開 
○無鄰菴…旧山県有朋別荘、現在は京都市所有、公開中。
 京都市/無鄰菴
○何有荘(かいうそう)…旧稲畑勝太郎邸、2010年クリステーズのオークションでラリー・エリクソンが購入。
 wikipedia-何有荘
○碧雲荘…野村グループ創業者が建設、現在も野村グループ所有。国指定重要文化財、非公開。
 野村別邸 碧雲荘
○清流邸…旧塚本与三次邸(近江出身の実業家)、現在は大松(株)所有、非公開
 清流邸(大松株式会社)
○流響院…塚本与三次が建設。
 三菱→戦後は連合軍の宿舎→京都の呉服商が外国人向けショールームに→現真如苑所有、現在建築当時の姿に修復中。期間限定で公開予定。
 真澄寺別院 流響院 (写真が美しい)
○桜鶴苑…現・目黒雅叙園グループ。婚礼、宴会場。
 桜鶴苑について


最高の職人と最高の材、取り上げられた別荘は、日本家屋の美を追求し、いずれも見事な庭園を持っています。琵琶湖疎水のおかげで、水をふんだんに利用した滝や池も見事。
東山を借景として、町中ありながら、雄大な自然を感じさせます。

もっとも気に入ったのは對龍山荘、京都の呉服王が建てたこの屋敷は、「庭屋一如」庭と屋内が溶け込むような空間。
開放的ということではないんですね。建物が庭や外に近づいた…寄り添うような感じと言えばいいか。
1階からの外を見ると、低く伸びたひさしの先に外が地続きのような感じ。
障子を開けなった2階からの眺めは、庭と東山の山々が一体となり、都会から遠く離れた山々のような。

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他の屋敷もそうなのですが、ここも水辺が建物に組み込まれています。
この感じ、何かに似ているなあと…。
思い出しました、ライト設計の「落水荘」。
落水荘のコンセプトも自然の中に暮らすことでしたよね。もっともこちらは本当に自然の中にあるお屋敷ですが。
落水荘のリビングからの眺めは、對龍山荘の低い位置から外を眺めるイメージ。
落水荘の水の流れと一体となった建物は、水辺に浮かぶような對龍山荘と庭園の滝を連想させます。

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落水荘外観

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落水荘リビング

碧雲荘もすごいですねえ。野村グループの創業者野村徳七は、茶道、能楽に傾倒、碧雲荘には茶室、能舞台、そして道具の数々があるようです。
かつて野村徳七に能を指南したシテ方の家には、徳七から頂いたという小面が…う~ん美しい!
庭園は10人の庭師が365日手入れをしているとか、その維持、管理にかかる費用は想像しただけで…(汗)
碧雲荘は当初からオーナーが変わらない数少ないケース。野村グループだからこそか、いずれ公開の機会もありそうですが。

それにしても、後世に残る文化財がここにある理由は、貧富の差が激しい明治の、いわば特権階級の人々がいたからで、道楽と言ってもいい。
文化とはそういういびつさから生まれると思うと、ちょっとフクザツではありますね。

番組の最後、林原美術館館長のお話が興味深かったです。
別荘の持ち主は代わっていくもの、しかし公のもではなく、個人がどのように大事に伝えるか。主がいなければ建物も庭も生きない。主の想い、それが伝統文化を守ることであり、継承の仕方である。

主が次々代わっていったり、外国人が所有したりすることには、抵抗がないと言ったら嘘になります。
しかし、別荘を維持し続けることは(経済的に)素人目にも大変なこと。細川家が手放したのもそういった理由からではないかと推察できます。
豪華な花見の宴をひらいていた清流邸の現主(呉服商)の、「預かり物、次の世代に大切な『心』を残したい」という言葉が印象的でした。
今現在、自分が所有してはいるけれど、いずれ代わっていくだろう、それが時代…というふうにも捉えることができました。華やか場面でとても謙虚な言葉に聞こえました。


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