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梨木 香歩「渡りの足跡」

2010年10月11日

渡りの足跡渡りの足跡
(2010/04)
梨木 香歩

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オオワシ、オジロワシ、ワタリガラス、オオヒシクイ…渡り鳥を訪ねて、北海道、ロシアなどを旅するエッセイ。
梨木氏は作家であり、写真家でも学者でもありません。たぶん冒険を好むタイプでもなないと思います。
渡り鳥にシンパシイを感じ、ひたすら会いたいと願い、旅に出た、そんな感じをうけました。
渡り鳥を人に置き換えているような書き方もあるけれど、感情移入するのではなく、独立した個として見る、その自然との距離感が私好みでした。
静謐な文章の底から熱い想いが伝わってきます。

渡り鳥についての記述も興味深いけれど、根底にあるのは、渡り鳥を観察しながら、自分の心と向き合い、市井の人々の人生に思いをよせるということでしょうか。

「さあ、出発しよう、というときの衝動は『帰りたい』という帰巣本能とほとんどんど同じもののような気がしてならない。
生物は帰りたいところへ渡る。自分に適した場所、自分を迎えてくれる場所…たとえそこが、今生では行ったはずのない場所であっても」

どのようにも解釈できそうな文ですが、理由とか言い訳とか、何かにつけ取りつくろうとする私の日常生活に、ちょっとした波紋を投げかけてくれたような。

鳥や人だけでなく、旅で出会った野生動物も魅力的。ドラマチックなことは何もないけれど、それが野生の日々、とてもリアルでした。

そろそろ冬の渡り鳥がやってくるシーズン、私の地元では、白鳥飛来のニュースがありました。


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