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日高 敏隆 「ぼくの生物学講義―人間を知る手がかり」

2010年12月19日

ぼくの生物学講義―人間を知る手がかりぼくの生物学講義―人間を知る手がかり
(2010/10)
日高 敏隆

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動物行動学者、日高敏隆(1930~2009)は、動物行動学を日本に根付かせた方で、専門書以外に、生物学の入門書、動物行動学から見た人間や社会など一般向けのエッセイも数多く残しています。
本書は晩年、精華大学の客員教授として半年間講義をおこなったものをまとめたものです。
これまでの研究成果などではなく、これまでの日高氏をまとめたみたいな内容、日高先生のものの見方、考え方、発想のプロセスなどがよくわかります。
難しいところにはあまり踏み込まず、一般向けといっていい内容、講義を起こしたのものなので、難しい言葉もなく読みやすかったです。

●ほ乳類の中で、二本足で生活している人間はとても変わっている。
●男女の性のなりたち、結婚はなぜ必要か
●言語無くしてはありえない人間
●結構有名な「利己的な遺伝子」の話 などなど

動物行動学の立場から人間社会を見た多くのエッセイのダイジェスト版みたいな。
日高先生のエッセイはほとんど読んでいるので、私は復習している感じ。

おもしろいなと思ったのは、最後の方。
「イマジネーションから論理が生まれる」「イリュージョンで世界を見る」の章です。
発想(イマジネーション)がどんな風に生まれるか、
何かをふっと思いつく、なぜ思いついたのかわからない、研究というもはそういうことによくあるらしい。
しかし新しい学説、成果は、学会発表などでは論理的な裏付けがないと認められませんから、「こうではないか!」とまず思いついたことに、論理を後付けしている場合が実は多いらしい。
イマジネーションは特別なことではない、しかしその分野を研究してきたベースがあってこそで、何も知らないでいては生まれないということ。
研究に限らず発想とはそういうものかもしれませんね。

「イリュージョン」は思い込みの不思議について。
人間はものを見る時に、実物を見てるから実物どおり見えているわけではない。こんな感じだった…という思い込みで見ている。
全てを注意して見ることは不可能だから、人間は思い込みで頭の中を整理しているらしい。
やっぱり人間は動物としちゃ変わっている方なのかな?(笑)

本書は日高先生の最後の講義録になるとか。
日高先生の著書で読むものがなくなっていくのがとてもさみしいです。
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