FC2ブログ

「日高敏隆の口説き文句」

2011年02月12日

日高敏隆の口説き文句日高敏隆の口説き文句
(2010/07/29)
不明

商品詳細を見る


日高敏隆作品であれば、まずは買ってみるいう位ファンの私ですが、この本は生前の日高先生とかかわりのあった人々が、日高氏についてゆるゆると、時にまじめに語った内容で、あまりにバラエティに富んだ人選に…微妙か?とためらったのですが、おもしろかったです…いや、日高ファンとして楽しめました(笑)

登場するのは、全く畑違いの方から研究外でつきあいのあった方々、岸田秀(評論家)、内田春菊(漫画家)、山下洋輔(ジャズピアニスト)、赤瀬川源平(画家・作家)…。
栗林彗(写真家)、中西進(国文学者)、梶田真章(法然院貫首)、松井孝典(物理学者)、今森光彦(写真家)、養老孟司(解剖学者)…
一般的な著名人の他に、猫好きつながりとか、岩波書店時代の人脈、もちろん本業の昆虫、動物行動学や、動物行動学含めた環境にまつわり出会った人々、大学で世話になった教え子たちなど、かなりな数、しかも皆てんでバラバラなことをおっしゃってます。

「口説き文句」というタイトル、しゃれっ気のある日高先生のことをよくわかっているタイトルだと思いましたが…あれれ?本当に口説かれたっぽい人もいて…(滝汗)
岸田秀氏は、1960年代フランス留学時代に親交があったそうで、日高先生は当時から女学生にモテモテだったとか。
その後ドイツに留学した日高先生は、岸田氏に聞かれもしないのに、フランス人を口説く時とドイツ人を口説く時はコツが違う…とかなんとかしゃべくってたらしい(笑)
フランス語、ドイツ語、英語、ロシア語に堪能で訳書もありました。この世代としては驚異的、語学の才能ですかね、うらやましい。

前半はコアな仕事の話しもなく、くだけた感じですが、徐々に若い頃研究に取り組む日高先生の様子など、まじめな内容になってきます。
ここでの「口説き」とは、具体的にその道に進むことをすすめた専門分野や、きっかけです。日高先生が仕事で関わるうちにでた言葉や何気ない会話も多く、相談されたりしたわけではなく、おもしろい先生だなと関わってたら、この道に進んでましたみたいなケースも。
エライ先生ですが、上下関係や肩書きに左右されない、もっというと「生きとし生けるもの全てが平等」なのが日高先生なのです。

1990年代頃からは第一線を退き、教育や環境について提言をするようになり、幅広い分野で活躍していました。
組織や権力と難なくつきあい、割と順調に世渡りをした方だと、広い意味では思いますが、この時代つきあいのあった方から、その影の苦労(みたいなもの)も見え隠れします。
そうは言っても、いつでもどこでも飄々として人生を楽しんでいる様子は、たぶん周りを幸せにしたんだろうなと思います。

まじめなところでは、法然院貫首の梶田真章さん。宗教家らしい命や感謝についてのお話が続くのですが、日高先生との対談の中で「『共生』と言う言葉に違和感を感じる…(略)…人間は自然の一部以外の何物でもないのに、『自然と人間』などという人間と別個の存在であるかのように捉える西洋流の悪癖はやめるべき…自然とは自分も生かされている生き物同士の支え合いのしくみ(縁起の道理)」と言っています。

で、この次の章が、多くのシンポジウムで日高先生と一緒だったという、宇宙や惑星が専門の松井孝典さん(物理学者)なのですが、地球の本質は「システム」だと述べています。
「(地球のシステムは)地表と大気をつなぐ水の循環であり、地球内部のエネルギーと太陽のエネルギーによって駆動されている…人間圏は大気や海やその他の(システムの)構成要素と同様」

人間も生物も、システム=しくみの一つ、そこに至る道筋は全く違うものの、宗教と科学で同じ事を言っているんですね。
このような本でなければ、結びつけて考えなかったかもしれません。
というか、それが日高先生のものの見方だったな、言われてみればそうだなと思いました。

もっと議論したかったという人など、意見が異なる方も多くいて、必ずしも日高先生礼賛ではないと思います。
…が、全体を見ると、やっぱり「日高敏隆ファンブック」かな?(笑)
日高先生の著書を読んでいないと、この本は楽しめない、ファンの特権であるような気がします。


関連記事
| Comments(2) | Trackback(0)
Comment
管理人のみ閲覧できます
このコメントは管理人のみ閲覧できます
>SOさん
古い記事にコメントありがとうございます。
私の自然観、社会観に大きく影響しているのが日高先生とデイビット・アッテンボローなんです。

この本は、日高先生の影響力はすごいなと思いながら読みました。
研究分野にとどまらず、エライ先生になっても、分野の垣根も気にせず、たくさんの人と交流があったみたいですね。
「アニマ」で南沙織さんと対談ですか~(笑)…単純に好みのタイプだったんでしょうね。最終回だから、好きな人呼んでいいと言われたんじゃないですか?(笑)
相手がどう思っているかは気にしないでしょう、あの先生のことですから(笑)

管理者のみに表示