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追悼・伊砂利彦回顧展 &青柳いづみこのドビュッシー

2011年02月08日
展覧会HPより抜粋
伊砂利彦(1924-2010)京都生まれ。京都市立絵画専門学校卒業後、家業の染物の仕事に就きます。その傍ら、工芸作家として型絵染の作品を、新匠工芸会などで発表しました。
伊砂は、陶芸家富本憲吉の言葉「模様から模様を創らず」を信条としていました。その意味について伊砂は「参考本から引出してきた模様を使わず、自然を熟視し、心に感じたものを描き写し、それから模様を創る」ことと述べています。
松の枝葉を再構築した<松>、水の波紋がみせる一瞬の美を追求した<水>、さらにはドビュッシーやムソルグスキーらの音楽から受けるイメージを造形化した<音楽>などの連作は、伊砂の独創的な視点と確かな表現力のなせる技です。


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「松-月待ち-」1965年

美術館所蔵の伊砂利彦作品を展示し追悼する、規模は小さいものでしたが、じっくり見るには良い機会でした。
作品の多くは和紙に型染め、青から藍、墨、セピアなど抑えた色調がほとんど。(唯一「娘道成寺」の連作のうち「怨」が禍々しい赤で目を引いてい」ました。)
家業が染物屋の家に生まれた伊砂は伝統工芸が基本、発表の場も工芸のカテゴリーになるわけですが、そのような枠にとらわれずに見ると、大胆なモダンアートという感じです。
自然を徹底的に観察し、感じたものを作品にするという行為は、アーティストであればごく普通のことですが、型染めという、ある意味制約のある表現手段では具象を離れ、ポイントを絞り、イメージを凝縮して作品が生まれます。伊砂の作品は、伝統工芸に通じる文様であり、幾何学模様のようであり、図形の数学的な美しさ、抽象がというよりはポップアート、モダンアートに近い。
レトロな着物にモダンを感じたことがある方も多いと思いますが、伝統工芸とモダンアートの類似を改めて感じます。

伊砂は音楽に着想を得た作品を多く発表しており、今回は長唄「娘道成寺」、ムソルグスキー「展覧会の絵」、ドビュッシー「前奏曲集1」「前奏曲2」をイメージした作品が展示されていました。
そして今回の企画展で楽しみにしていたのが、記念コンサート。伊砂と生前親交があったというピアニストであり文筆家の青柳いづみこさんのピアノ演奏です。
伊砂作品の中から、今回はドビュッシーにしぼり、「前奏曲集1」から、有名な「亜麻色の髪の乙女」を含む10曲、他を演奏しました。
青柳さんはドビュッシーの研究もされた、いわば専門家であり、著作も多くあるそうです。

展示会場にピアノと椅子をならべ、伊砂がドビュッシーをイメージし制作した作品を目の前にして、青柳さんのお話と演奏を聴くという企画。
コンサートよりは少しくつろいだ雰囲気、私は早めに着いたので前の方の席、ピアノも作品も至近距離、贅沢な気分を味わえました。
青柳さんは、指の調子があまり良くなくてとおっしゃっていたけれど、素敵なピアノでした。

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「瀬」1978年

ドビュッシーは自然から多くの着想を得た作曲家であり、日本の自然に対する感性あこがれていたと青柳さん。そして水にまつわる作品がとても多い。
展示された伊砂の作品に「瀬」という川のせせらぎをモチーフにした作品がありましたが、これがドビュッシーの感性とぴったりなんですよね。
自然からのインスピレーションを、アートで表現するのか、音楽で表現するのか…この2つの手法に驚くほどの共通性があるんですねえ。
音楽には数学的な美しさがあると言われますが、伊砂の作品に数学的な美を感じたこともつながりを感じます。

前奏曲集1の「沈める寺」はとても好き曲、生で聴けてうれしい。お話を聞いた後だと、この曲により東洋的なものを感じます。
最後は「月の光」、月明かりが浮かぶ、美しいですね。

追悼・伊砂利彦回顧展
福島県立美術館
2011年1月15日(土)~2月13日(日)

青柳さんのCDと著書も販売されていました。本を一冊購入し、サインもして頂きました。
そういえば、主催者のあいさつで、美術館の乏しい予算では青柳さんに来て頂くことはなど本来できないけれど、伊砂さんを親交があったということでお引き受け頂いたと話していました。
この日の観覧料は(作品数が少ないこともあり)常設料金260円、コンサートは観覧チケットに含まれます。なんとお得で贅沢な気分、感謝します。


モノ書きピアニストはお尻が痛い (文春文庫)モノ書きピアニストはお尻が痛い (文春文庫)
(2008/11/07)
青柳 いづみこ

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Comment
2/9 10:00に拍手コメントを書いて下さった方へ
お手間を取らせてすみません。
コメントありがとうございました。

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